土田ヒロミ 写真展 新・砂を数える @ LADS Gallery
[2026年08月30日(Sun)]
今日8月30日(日)まで、大阪・淀屋橋のLADS Galleryで、「土田ヒロミ 写真展 新・砂を数える」が開催されています

新・砂を数える
1989年、世界の東西は雪解し、その急激な政治的変化はベルリンの壁を崩壊させた。日本でも天皇の崩御、世俗的には美空ひばりの死が昭和の終焉を表象した年。私は、それまで都市に現れていた群衆の風景を時代の表象として〈砂を数える〉(注1)と題し、撮影(1975-1990)を続けていたが、この世紀末に一つの時代の終わりを予感。その後のバブル経済の崩壊。前世紀末の蒸気機関の革命と対応するかのように登場してきたデジタル革命による時代が急速に変容する大状況の中で、日本人の群れの集団的カタチが急激に変容し、散分的に風景化してきたことに着目し〈新・砂を数える〉と題しその状況の撮影を加速した。さらに、カメラの背後にいて画面上には存在するはずのない撮影者の私を、その画面上に潜入加工した。現実の記録に虚構な像を重ねあわせるという、反写真美学的冒涜をも試みている。それでも、現れるイメージは、基本的な「写真」という遠近法の美学的構造を持たせることで、真実の仮象として受容されることになる。
写真は、銀塩時代からも嘘をつくことが多くあった。本来、表現美学的には写真=事実という関係性はありえない。その「写真=事実」の関係性は、デジタルによっていよいよ脆弱性を増している。〈新・砂を数える〉は、群れの問題と共にデジタルデータがもたらしている前述の「写真表現の現在」を思考しようとした作業である。2000年に至り、デジタル技術は、写真は必ずしも真実を語るものではないことをいよいよ自明に示すことになった。そして現在、写真はさらにそのフェイクの側面を肥大させてきている。その事象の表現が2000年初めに発表した〈新・砂を数える〉のテーマであったが、20年以上前に発表したこのシリーズが今もなおリアリティを持っていることを期待する。
今回の展覧会のために、私のみならず、多くの方々に作品の中に自身の姿を合成させることに協力いただいた。訪ねたこともない風景の中にいる誰かや自分自身を眺める時、不思議な違和感を覚えることでしょう。映像の欺きと錯覚がもたらす心地良さを、この〈新・砂を数える〉の作品で体験いただけますと幸いです。
(土田ヒロミ)
https://note.com/hiromitsuchida/n/n418a0285bcf6
https://www.ladsgallery.com/exhibitions/room260801-opn.html
日時
2026年8月1日(土)〜30日(日)12:00~19:00(最終日17:00まで)
場所
LADS Gallery
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋4丁目8-5 淀屋橋クリスビル 1F
06-6575-7376
・地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅(�H・�K番出口)より徒歩5分
・地下鉄四ツ橋線 肥後橋駅(�D-A・�E番出口)より東へ徒歩5分
・京阪電鉄 京阪本線 淀屋橋駅 より徒歩7分(北改札口・地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅に連絡)
・JR大阪中央南口 大阪シティバス「大阪駅前」より
62系統「淀屋橋(市役所前)」下車 南へ徒歩10分
88系統「肥後橋」下車 西へ徒歩7分
土田 ヒロミ
(つちだ ひろみ)
1939年福井県南条郡堺村(現・南越前町)生まれ。1963年、福井大学工学部卒業後、ポーラ化粧品本舗に入社。1964年、東京勤務を機に東京綜合写真専門学校研究科で学ぶ。1966年、同校卒業。1971年、独立し写真家の道を選ぶ。同年、「自閉空間」で第8回太陽賞受賞。1976年ごろから開始した「ヒロシマ三部作」は『ヒロシマ1945-1979』(朝日ソノラマ 1979)、『ヒロシマ・モニュメント』(冬青社 1995)、『ヒロシマ・コレクション』(NHK出版 1995)として刊行され、現在に至るまで広島の撮影を続けている。1984年、第40回日本写真協会年度賞、1987年、第3回伊奈信男賞を受賞。2008年、「土田ヒロミのニッポン」(東京都写真美術館)により第27回土門拳賞受賞。1992年から96年まで東京綜合写真専門学校校長を務める。2000年から13年まで大阪芸術大学写真学科教授。主な写真集に『俗神』(オットーズ・ブックス 1976)、『砂を数える』(冬青社 1990)、『新・砂を数える』(冬青社 2005)、『BERLIN』(平凡社 2011)、『フクシマ』(みすず書房 2018)、『Aging』(ふげん社 2022)など。東京都写真美術館、東京国立近代美術館、横浜美術館、ボストン美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、カーネギー美術館、カナダ国立美術館、テート・モダン、ポンピドゥー・センターなどに作品が収蔵されている。
『新・砂を数える―土田ヒロミ写真集』
(冬青社 2005.6)

『Hiroshima Monument』
(ふげん社 2025.6)

昨年6月28日(土)〜9月7日(日)に開催された中之島香雪美術館特別展「土田ヒロミ写真展「ヒロシマ・コレクション」―1945年、夏。」はとても印象的でした。

新・砂を数える
1989年、世界の東西は雪解し、その急激な政治的変化はベルリンの壁を崩壊させた。日本でも天皇の崩御、世俗的には美空ひばりの死が昭和の終焉を表象した年。私は、それまで都市に現れていた群衆の風景を時代の表象として〈砂を数える〉(注1)と題し、撮影(1975-1990)を続けていたが、この世紀末に一つの時代の終わりを予感。その後のバブル経済の崩壊。前世紀末の蒸気機関の革命と対応するかのように登場してきたデジタル革命による時代が急速に変容する大状況の中で、日本人の群れの集団的カタチが急激に変容し、散分的に風景化してきたことに着目し〈新・砂を数える〉と題しその状況の撮影を加速した。さらに、カメラの背後にいて画面上には存在するはずのない撮影者の私を、その画面上に潜入加工した。現実の記録に虚構な像を重ねあわせるという、反写真美学的冒涜をも試みている。それでも、現れるイメージは、基本的な「写真」という遠近法の美学的構造を持たせることで、真実の仮象として受容されることになる。
写真は、銀塩時代からも嘘をつくことが多くあった。本来、表現美学的には写真=事実という関係性はありえない。その「写真=事実」の関係性は、デジタルによっていよいよ脆弱性を増している。〈新・砂を数える〉は、群れの問題と共にデジタルデータがもたらしている前述の「写真表現の現在」を思考しようとした作業である。2000年に至り、デジタル技術は、写真は必ずしも真実を語るものではないことをいよいよ自明に示すことになった。そして現在、写真はさらにそのフェイクの側面を肥大させてきている。その事象の表現が2000年初めに発表した〈新・砂を数える〉のテーマであったが、20年以上前に発表したこのシリーズが今もなおリアリティを持っていることを期待する。
今回の展覧会のために、私のみならず、多くの方々に作品の中に自身の姿を合成させることに協力いただいた。訪ねたこともない風景の中にいる誰かや自分自身を眺める時、不思議な違和感を覚えることでしょう。映像の欺きと錯覚がもたらす心地良さを、この〈新・砂を数える〉の作品で体験いただけますと幸いです。
(土田ヒロミ)
https://note.com/hiromitsuchida/n/n418a0285bcf6
https://www.ladsgallery.com/exhibitions/room260801-opn.html
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋4丁目8-5 淀屋橋クリスビル 1F
・地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅(�H・�K番出口)より徒歩5分
・地下鉄四ツ橋線 肥後橋駅(�D-A・�E番出口)より東へ徒歩5分
・京阪電鉄 京阪本線 淀屋橋駅 より徒歩7分(北改札口・地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅に連絡)
・JR大阪中央南口 大阪シティバス「大阪駅前」より
62系統「淀屋橋(市役所前)」下車 南へ徒歩10分
88系統「肥後橋」下車 西へ徒歩7分
1939年福井県南条郡堺村(現・南越前町)生まれ。1963年、福井大学工学部卒業後、ポーラ化粧品本舗に入社。1964年、東京勤務を機に東京綜合写真専門学校研究科で学ぶ。1966年、同校卒業。1971年、独立し写真家の道を選ぶ。同年、「自閉空間」で第8回太陽賞受賞。1976年ごろから開始した「ヒロシマ三部作」は『ヒロシマ1945-1979』(朝日ソノラマ 1979)、『ヒロシマ・モニュメント』(冬青社 1995)、『ヒロシマ・コレクション』(NHK出版 1995)として刊行され、現在に至るまで広島の撮影を続けている。1984年、第40回日本写真協会年度賞、1987年、第3回伊奈信男賞を受賞。2008年、「土田ヒロミのニッポン」(東京都写真美術館)により第27回土門拳賞受賞。1992年から96年まで東京綜合写真専門学校校長を務める。2000年から13年まで大阪芸術大学写真学科教授。主な写真集に『俗神』(オットーズ・ブックス 1976)、『砂を数える』(冬青社 1990)、『新・砂を数える』(冬青社 2005)、『BERLIN』(平凡社 2011)、『フクシマ』(みすず書房 2018)、『Aging』(ふげん社 2022)など。東京都写真美術館、東京国立近代美術館、横浜美術館、ボストン美術館、ニューヨーク近代美術館、サンフランシスコ近代美術館、カーネギー美術館、カナダ国立美術館、テート・モダン、ポンピドゥー・センターなどに作品が収蔵されている。
『新・砂を数える―土田ヒロミ写真集』
(冬青社 2005.6)
『Hiroshima Monument』
(ふげん社 2025.6)
昨年6月28日(土)〜9月7日(日)に開催された中之島香雪美術館特別展「土田ヒロミ写真展「ヒロシマ・コレクション」―1945年、夏。」はとても印象的でした。



