希少植物ツルマンリョウと日本最大のハマセンダンに会えました(2)ハマセンダン
[2024年12月25日(Wed)]
【前回の続き】
再びバスに乗り込み、樹木クイズの答え合わせをしながら、次の目的地、山陽小野田市竜王山西側山裾の大濱神社跡の裏手に生育するハマセンダンに会いに行きました
大濱神社は、大濱炭礦株式会社の関係者によって建立された神社です。鳥居や狛犬には「昭和三十二(1957)年」とあります。

大濱(大浜)炭鉱は海底炭鉱で、1942(昭和17)年から1963(飽和38)年11月まで採炭していたそうで、ここの下の海岸に坑口があった、と草野さんに教えていただきました。
※山口県文書館の「小野田の景観絵はがき 大浜炭鉱選炭場・本山炭鉱選炭場・中国電力株式会社小野田発電所」で、ここの海岸にあった大浜炭鉱選炭場の様子が分かります。http://archives.pref.yamaguchi.lg.jp/msearch/photo/286718
坑口は「本山炭鉱斜坑坑口」のように残っていないのでしょうか?
ハマセンダンはその大濱神社跡の裏手にあります。

神社の建立時期は定かではありませんが、その頃は既に巨木(樹齢170年くらい?)だったハマセンダンから圧倒的な大自然のパワーを感じ、ご神木として崇めてこの地に神社を建てたのかもしれません。ちょうど社殿跡の台座がそんな位置にあるのです。

▲右下が社殿のあった台座
どちらにしろ、神社の方が後から建立されているので、
本樹は、現在廃社されている大浜神社内にあるが、ハマセンダンは神社によく植栽される榊(栄える木)や神社に縁のある樹種ではないことから、人の手によって植栽されたものとは考えにくく、地形的に見ても、本樹は自生種である可能性が高い。
「山口県の文化財」より引用
という前提はおかしいです。でも、自生種であるということには賛同。

「ハマセンダン」の名は、海岸付近に自生していること、羽状複葉の葉がセンダン科の「センダン」に似ていることからつきました。

余りに背が高く、葉の形状を地上から視認できないので、草野さんと落葉している葉を探したのですが、見当たらず、葉の形状を確認することはできませんでした。
葉は対生し、⻑さ15〜30cmの奇数羽状複葉で、7〜15枚の⼩葉からなり、⼩葉下部は歪んだ披針状楕円形〜卵形で、⻑さ3〜10cm、幅1.5〜3.5cm、葉先は鋭尖形、基部はくさび形、縁は全縁(浅い鋸歯があることもあり)、表面は濃い緑色で裏面は緑白色、両面とも無毛、葉柄は4〜10mm。……と教えていただきました。
冬にかけて葉は黄葉しますが、今年はまだという感じでした。

草野さんは、木全体の感じはハゼノキやカラスザンショウに似ている、と言われていました。
ただ、ハゼノキの葉は互生で、カラスザンショウにはトゲがあります。

地元では樹皮がゾウに似ていることから「ゾウノキ」と呼ばれていたそうで、2011(平成23)年に草野さんが同定し「我が国最大級のハマセンダン」と確認されました。
確かに、灰黒色で、いぼ状の突起の皮目(ひもく)が特徴的な樹皮はゾウの肌に似ています。
見事な樹冠と相まって、威風堂々して確かに巨象にも見えます。

幹高1.5m部分で大きく三つに枝が分かれており、3分枝した枝は、更に分枝しています。
@太さ1.9m 更に1.8m上方で2分枝
A太さ2.7m 更に2.1m上方で2分枝
B太さ2.9m 更に1.8m上方で3分枝

半常緑高木です。
九州南部では常緑樹ですが、山口県では北限だということもあり、黄葉した後、落葉します。
県内では、山陽小野田市梶の火ノ山、下関市の火の山や満珠・干珠、また萩市の笠山や須佐のフォルンフェルスや相島など日本海沿岸で生育しています。特に、北浦ではハマセンダンの大群落が形成され、その黄葉は「冬の風物詩」だそうです! 見に行かねば・・・

竜王山のハマセンダン
山口県指定文化財(天然記念物)
平成30(2018)年3月2日指定
(種名)ハマセンダン
(科名)ミカン科
(属名)ゴシュユ属
(樹形)落葉高木
(特徴)
目通り(胸高1.3mで測定したときの幹の周囲)5.2m、根回りは約12m、樹高は約15mで、国内最大級。
樹齢はおよそ250年と思われますが樹勢は旺盛です。
暖地の、海岸に近い山林に生育する木で、本州(三重県以西)、四国、九州、沖縄、台湾、中国大陸南部にかけて分布しています。
雄株と雌株があり(雌雄異株)、7〜8月、枝先に多数の緑白色の小花をつけます。
雌株には直径5〜8mmの偏球形の果実がつき、10〜11月に赤褐色に熟します。
竜王山は標高136.2mで、三方を海で囲まれた独立の山です。そのため、山地性と海岸性の植物が混在し、独自の豊かな植生を見ることができます。この地にハマセンダンが生育しているのは、ここが海岸沿いの山地だからなのです。国内では、他にも徳島県指定文化財のハマセンダンなどが知られていますが、その周囲3.6mと比べても、竜王山のハマセンダンの大きさが分かります。

このハマセンダンは落葉時に果実がみられないことから雄株だそうです。
※「竜王山のハマセンダン」についてはこちらのサイトにアップされています。
文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/259072 https://bunkaapi.nii.ac.jp/heritages/detail/389901
山口県の文化財 https://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/bunkazai/detail.asp?mid=110146&pid=bl
山陽小野田市公式HP https://www.city.sanyo-onoda.lg.jp/site/bunkazai/ryuozan.html
※センダンについては、こちらに記事をあげています。
https://blog.canpan.info/jointnet21/archive/175
再びバスに乗り込み、樹木クイズの答え合わせをしながら、次の目的地、山陽小野田市竜王山西側山裾の大濱神社跡の裏手に生育するハマセンダンに会いに行きました

大濱神社は、大濱炭礦株式会社の関係者によって建立された神社です。鳥居や狛犬には「昭和三十二(1957)年」とあります。
大濱(大浜)炭鉱は海底炭鉱で、1942(昭和17)年から1963(飽和38)年11月まで採炭していたそうで、ここの下の海岸に坑口があった、と草野さんに教えていただきました。
※山口県文書館の「小野田の景観絵はがき 大浜炭鉱選炭場・本山炭鉱選炭場・中国電力株式会社小野田発電所」で、ここの海岸にあった大浜炭鉱選炭場の様子が分かります。http://archives.pref.yamaguchi.lg.jp/msearch/photo/286718
坑口は「本山炭鉱斜坑坑口」のように残っていないのでしょうか?
ハマセンダンはその大濱神社跡の裏手にあります。
神社の建立時期は定かではありませんが、その頃は既に巨木(樹齢170年くらい?)だったハマセンダンから圧倒的な大自然のパワーを感じ、ご神木として崇めてこの地に神社を建てたのかもしれません。ちょうど社殿跡の台座がそんな位置にあるのです。
▲右下が社殿のあった台座
どちらにしろ、神社の方が後から建立されているので、
本樹は、現在廃社されている大浜神社内にあるが、ハマセンダンは神社によく植栽される榊(栄える木)や神社に縁のある樹種ではないことから、人の手によって植栽されたものとは考えにくく、地形的に見ても、本樹は自生種である可能性が高い。
「山口県の文化財」より引用
という前提はおかしいです。でも、自生種であるということには賛同。
「ハマセンダン」の名は、海岸付近に自生していること、羽状複葉の葉がセンダン科の「センダン」に似ていることからつきました。
余りに背が高く、葉の形状を地上から視認できないので、草野さんと落葉している葉を探したのですが、見当たらず、葉の形状を確認することはできませんでした。
葉は対生し、⻑さ15〜30cmの奇数羽状複葉で、7〜15枚の⼩葉からなり、⼩葉下部は歪んだ披針状楕円形〜卵形で、⻑さ3〜10cm、幅1.5〜3.5cm、葉先は鋭尖形、基部はくさび形、縁は全縁(浅い鋸歯があることもあり)、表面は濃い緑色で裏面は緑白色、両面とも無毛、葉柄は4〜10mm。……と教えていただきました。
冬にかけて葉は黄葉しますが、今年はまだという感じでした。
草野さんは、木全体の感じはハゼノキやカラスザンショウに似ている、と言われていました。
ただ、ハゼノキの葉は互生で、カラスザンショウにはトゲがあります。
地元では樹皮がゾウに似ていることから「ゾウノキ」と呼ばれていたそうで、2011(平成23)年に草野さんが同定し「我が国最大級のハマセンダン」と確認されました。
確かに、灰黒色で、いぼ状の突起の皮目(ひもく)が特徴的な樹皮はゾウの肌に似ています。
見事な樹冠と相まって、威風堂々して確かに巨象にも見えます。
幹高1.5m部分で大きく三つに枝が分かれており、3分枝した枝は、更に分枝しています。
@太さ1.9m 更に1.8m上方で2分枝
A太さ2.7m 更に2.1m上方で2分枝
B太さ2.9m 更に1.8m上方で3分枝
半常緑高木です。
九州南部では常緑樹ですが、山口県では北限だということもあり、黄葉した後、落葉します。
県内では、山陽小野田市梶の火ノ山、下関市の火の山や満珠・干珠、また萩市の笠山や須佐のフォルンフェルスや相島など日本海沿岸で生育しています。特に、北浦ではハマセンダンの大群落が形成され、その黄葉は「冬の風物詩」だそうです! 見に行かねば・・・
竜王山のハマセンダン
山口県指定文化財(天然記念物)
平成30(2018)年3月2日指定
(種名)ハマセンダン
(科名)ミカン科
(属名)ゴシュユ属
(樹形)落葉高木
(特徴)
目通り(胸高1.3mで測定したときの幹の周囲)5.2m、根回りは約12m、樹高は約15mで、国内最大級。
樹齢はおよそ250年と思われますが樹勢は旺盛です。
暖地の、海岸に近い山林に生育する木で、本州(三重県以西)、四国、九州、沖縄、台湾、中国大陸南部にかけて分布しています。
雄株と雌株があり(雌雄異株)、7〜8月、枝先に多数の緑白色の小花をつけます。
雌株には直径5〜8mmの偏球形の果実がつき、10〜11月に赤褐色に熟します。
竜王山は標高136.2mで、三方を海で囲まれた独立の山です。そのため、山地性と海岸性の植物が混在し、独自の豊かな植生を見ることができます。この地にハマセンダンが生育しているのは、ここが海岸沿いの山地だからなのです。国内では、他にも徳島県指定文化財のハマセンダンなどが知られていますが、その周囲3.6mと比べても、竜王山のハマセンダンの大きさが分かります。
このハマセンダンは落葉時に果実がみられないことから雄株だそうです。
※「竜王山のハマセンダン」についてはこちらのサイトにアップされています。
文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/259072 https://bunkaapi.nii.ac.jp/heritages/detail/389901
山口県の文化財 https://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/bunkazai/detail.asp?mid=110146&pid=bl
山陽小野田市公式HP https://www.city.sanyo-onoda.lg.jp/site/bunkazai/ryuozan.html
※センダンについては、こちらに記事をあげています。
https://blog.canpan.info/jointnet21/archive/175