希少植物ツルマンリョウと日本最大のハマセンダンに会えました(1)ツルマンリョウ
[2024年12月24日(Tue)]
12月22日(日)、山口県環境政策課、山口県気候変動適応センター主催の「やまぐちのぶちええ自然が変わる?おしえて、木のお医者さん! 希少植物ツルマンリョウと日本最大のハマセンダンの黄葉から見えるもの」に参加しました

集合は9時に竜王山のオートキャンプ場。最近、竜王山に行ったことがないし、少し不安だったので、7時過ぎに自宅を出発。途中、宇部山口道路から見る朝日が綺麗だったこと・・・
今日はきっと佳き日だと、そう思えました。
スマホのナビが的確で、8時過ぎには着きました。
余りにも早く着いたので、周囲を少し歩いてみました。
マンホールの蓋が「竜」。

トベラが実を付けていました。

研修場所のキャンプセンターの2F 研修室はログハウスで、とてもステキな造りでした。
座学を終え、バスに乗り込み、車中では樹木クイズを楽しみ、まず、宇部市大字山中字上市にある熊野神社へ。
熊野神社は旧山陽道に沿う閑静な場所にあります。
熊野神社は「風土注進案」によると山中市を開いた伊豆国の浪人伊藤彦四郎入道が、大内広世の許可を得て、1394(応永元)年、熊野権現を勧請したことに始まる古社です。
社叢は南方に突出した丘の上にあり、
ツルマンリョウは社殿の東西の傾斜面に生えていました

それも旺盛に
一面に生えています

ツルマンリョウは、常緑樹林の明るい林床に生育する、サクラソウ科の高さ0.5〜1mの常緑小低木です。
和名の「ツルマンリョウ」はつる状になることとマンリョウに似ていることからつけられたということですが、決して「つる植物」ではありません。
高さ1m前後に達すると自立することができず倒れてしまい、そのまま地面を這うようになり、再び先端部から立ち上がるという感じです。

また、実が赤いというだけで、波状の鋸歯がある葉を持ち、上部にまばらに小枝を出し、葉の下に幹を囲むよう果実が付くマンリョウには全然似ていません。ただ同じサクラソウ科です。
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▲マンリョウ
別名「ツルアカミノキ」「アカミノイヌツゲ」。

雌雄が別株だそうで、赤い実が付いているのが雌株です。長門峡では、雌株と雄株の小群落とが別々の場所だそうですが、ここは混在して生えています。
若い枝の樹皮は緑色で、古くなると黒褐色になります。
-thumbnail2.JPG)
葉は互生し、長さ4〜9cm、幅1〜3cmで両端はとがった長楕円形または狭倒卵形、縁は全縁、革質で光沢があり、表面は濃緑色で、裏面は主脈が隆起し、両面とも無毛。葉柄は長さ5〜10mm。

7月上旬に、葉腋に白色〜緑白色の小さな花が2〜8個束生し、雌花はしおれたまま越冬し、翌年5月から子房が膨らみ始め、9月に紅色に熟すそうです。

なので、よく観ると、赤い実のそばに、今年の雌花が見えるものもあります。
果実は核果、直径約5mmの球形で、表面は無毛。

光の条件に敏感で、一定時間のみ陽光を受けることが必要だそうですが、ここは、高木はコジイを主とし、

▲コジイ
アカメモチが混生し、亜高木はサカキ、ツクバネガシ、低木はネズミモチ、サカキ、地表は、ベニシダ、ヤブコウジが生えており、私たちの行ったときも、適度な陽光が射し込み、ツルマンリョウにとって良好な生育地だと、素人の私でも納得できました。

土壌が花崗岩系であることも生育条件の一つだそうで、ここ熊野神社の石造物は全て花崗岩でした!

日本ではとても珍しい植物で、自生は、山口県では山口市(旧徳地町)の出雲神社山中、萩市川上の長門峡山中、そしてここ熊野神社社叢の3カ所と、広島県で2カ所、奈良県で吉野川水系の数カ所、鹿児島県の屋久島、奄美大島以南の沖縄県琉球列島の島々でしか確認されていないそうです。
ツルマンリョウのように、連続性にかける分布を「隔離分布」というのだそうです。
山口県では絶滅危惧種IA類(CR)に指定されています。

山口県指定天然記念物
熊野神社ツルマンリョウ自生地
所在地 宇部市大字山中字上市29番地
指 定 昭和41年6月10日
熊野神社は永和年間(1375〜79)に伊藤彦四朗入道が熊野権現を勧請したことに始まるという古社で、旧山陽道に接しています。
神社の社叢はコジイ群叢で、樹林の保存状態は良好です。
ツルマンリョウはヤブコウジ科の常緑小低木でツルアカミノキとも呼ばれ、濃緑色の葉を持ち、秋に赤い実をつけます。中国大陸南部や台湾に生育し、わが国では屋久島、山口県、奈良県等で限定的に分布しているため、隔離分布する例として非常に貴重な植物です。
その学術的価値は高く。山口市出雲神社の自生地と奈良県吉野町丹生川上中社の自生地は、現在天然記念物として国の指定を受けています。
ツルマンリョウ自生条件は特殊で一定時間のみ陽光を受けることと土壌が花崗岩系であることで、当神社のツルマンリョウには適度な日照があり生育は旺盛です。
2022年徳地の出雲神社を訪れた時の写真を添えておきます。

国指定 天然記念物
出雲神社ツルマンリョウ自生地
昭和32年2月22日指定
出雲神社は周防二の宮ともいわれる古社で、周りの森はコジイを主とするうっそうとした森林をなしています。林内には、イチイガシの大木のほか、タカサゴキジノオ、ナガバジュズネノキ、ルリミノキなど珍しい植物があります。社殿の西の小高い丘の北側の急斜面に数か所ツルマンリョウ(ツルアカミノキ)の小群落があります。
ツルマンリョウはヤブコウジ科の常緑小低木で、枝は地をはって伸び、枝の先端は60〜80センチの高さに直立します。雌株と雄株の別があり、七月上旬に開花し、翌年五月から子房がふくらみはじめ、九月に紅色に熟します。自生地の環境条件は、適度の日照と花こう岩系の土壌に限られているようです。
南方系の植物で、九州の屋久島や台湾には産するが、本土では珍しく、この地のほかに奈良県と宇部市に自生しています。本地は自生の北限として貴重です。
この現地説明板を見た時からいつかツルマンリョウに会いたいと思っていました。今日は念願が叶って本望です。
※「山からの贈り物」さんのサイトに花の写真がありました。「7-7-24,山口県宇部市」とありましたので、もしかしたら、同じ枝をアップしているかもしれません。
https://ymkr-okurimono.sakura.ne.jp/plants/angiosperm/f12901_sakurasou/tsurumanryou.html
【次回に続く】


集合は9時に竜王山のオートキャンプ場。最近、竜王山に行ったことがないし、少し不安だったので、7時過ぎに自宅を出発。途中、宇部山口道路から見る朝日が綺麗だったこと・・・
今日はきっと佳き日だと、そう思えました。
スマホのナビが的確で、8時過ぎには着きました。
余りにも早く着いたので、周囲を少し歩いてみました。
マンホールの蓋が「竜」。
トベラが実を付けていました。
研修場所のキャンプセンターの2F 研修室はログハウスで、とてもステキな造りでした。
座学を終え、バスに乗り込み、車中では樹木クイズを楽しみ、まず、宇部市大字山中字上市にある熊野神社へ。
熊野神社は旧山陽道に沿う閑静な場所にあります。
熊野神社は「風土注進案」によると山中市を開いた伊豆国の浪人伊藤彦四郎入道が、大内広世の許可を得て、1394(応永元)年、熊野権現を勧請したことに始まる古社です。
社叢は南方に突出した丘の上にあり、
ツルマンリョウは社殿の東西の傾斜面に生えていました

それも旺盛に


ツルマンリョウは、常緑樹林の明るい林床に生育する、サクラソウ科の高さ0.5〜1mの常緑小低木です。
和名の「ツルマンリョウ」はつる状になることとマンリョウに似ていることからつけられたということですが、決して「つる植物」ではありません。
高さ1m前後に達すると自立することができず倒れてしまい、そのまま地面を這うようになり、再び先端部から立ち上がるという感じです。
また、実が赤いというだけで、波状の鋸歯がある葉を持ち、上部にまばらに小枝を出し、葉の下に幹を囲むよう果実が付くマンリョウには全然似ていません。ただ同じサクラソウ科です。
▲マンリョウ
別名「ツルアカミノキ」「アカミノイヌツゲ」。
雌雄が別株だそうで、赤い実が付いているのが雌株です。長門峡では、雌株と雄株の小群落とが別々の場所だそうですが、ここは混在して生えています。
若い枝の樹皮は緑色で、古くなると黒褐色になります。
葉は互生し、長さ4〜9cm、幅1〜3cmで両端はとがった長楕円形または狭倒卵形、縁は全縁、革質で光沢があり、表面は濃緑色で、裏面は主脈が隆起し、両面とも無毛。葉柄は長さ5〜10mm。
7月上旬に、葉腋に白色〜緑白色の小さな花が2〜8個束生し、雌花はしおれたまま越冬し、翌年5月から子房が膨らみ始め、9月に紅色に熟すそうです。
なので、よく観ると、赤い実のそばに、今年の雌花が見えるものもあります。
果実は核果、直径約5mmの球形で、表面は無毛。
光の条件に敏感で、一定時間のみ陽光を受けることが必要だそうですが、ここは、高木はコジイを主とし、
▲コジイ
アカメモチが混生し、亜高木はサカキ、ツクバネガシ、低木はネズミモチ、サカキ、地表は、ベニシダ、ヤブコウジが生えており、私たちの行ったときも、適度な陽光が射し込み、ツルマンリョウにとって良好な生育地だと、素人の私でも納得できました。
土壌が花崗岩系であることも生育条件の一つだそうで、ここ熊野神社の石造物は全て花崗岩でした!
日本ではとても珍しい植物で、自生は、山口県では山口市(旧徳地町)の出雲神社山中、萩市川上の長門峡山中、そしてここ熊野神社社叢の3カ所と、広島県で2カ所、奈良県で吉野川水系の数カ所、鹿児島県の屋久島、奄美大島以南の沖縄県琉球列島の島々でしか確認されていないそうです。
ツルマンリョウのように、連続性にかける分布を「隔離分布」というのだそうです。
山口県では絶滅危惧種IA類(CR)に指定されています。
山口県指定天然記念物
熊野神社ツルマンリョウ自生地
所在地 宇部市大字山中字上市29番地
指 定 昭和41年6月10日
熊野神社は永和年間(1375〜79)に伊藤彦四朗入道が熊野権現を勧請したことに始まるという古社で、旧山陽道に接しています。
神社の社叢はコジイ群叢で、樹林の保存状態は良好です。
ツルマンリョウはヤブコウジ科の常緑小低木でツルアカミノキとも呼ばれ、濃緑色の葉を持ち、秋に赤い実をつけます。中国大陸南部や台湾に生育し、わが国では屋久島、山口県、奈良県等で限定的に分布しているため、隔離分布する例として非常に貴重な植物です。
その学術的価値は高く。山口市出雲神社の自生地と奈良県吉野町丹生川上中社の自生地は、現在天然記念物として国の指定を受けています。
ツルマンリョウ自生条件は特殊で一定時間のみ陽光を受けることと土壌が花崗岩系であることで、当神社のツルマンリョウには適度な日照があり生育は旺盛です。
2022年徳地の出雲神社を訪れた時の写真を添えておきます。
国指定 天然記念物
出雲神社ツルマンリョウ自生地
昭和32年2月22日指定
出雲神社は周防二の宮ともいわれる古社で、周りの森はコジイを主とするうっそうとした森林をなしています。林内には、イチイガシの大木のほか、タカサゴキジノオ、ナガバジュズネノキ、ルリミノキなど珍しい植物があります。社殿の西の小高い丘の北側の急斜面に数か所ツルマンリョウ(ツルアカミノキ)の小群落があります。
ツルマンリョウはヤブコウジ科の常緑小低木で、枝は地をはって伸び、枝の先端は60〜80センチの高さに直立します。雌株と雄株の別があり、七月上旬に開花し、翌年五月から子房がふくらみはじめ、九月に紅色に熟します。自生地の環境条件は、適度の日照と花こう岩系の土壌に限られているようです。
南方系の植物で、九州の屋久島や台湾には産するが、本土では珍しく、この地のほかに奈良県と宇部市に自生しています。本地は自生の北限として貴重です。
この現地説明板を見た時からいつかツルマンリョウに会いたいと思っていました。今日は念願が叶って本望です。
※「山からの贈り物」さんのサイトに花の写真がありました。「7-7-24,山口県宇部市」とありましたので、もしかしたら、同じ枝をアップしているかもしれません。
https://ymkr-okurimono.sakura.ne.jp/plants/angiosperm/f12901_sakurasou/tsurumanryou.html
【次回に続く】