声に出して読みたい中也の詩「サーカス」「一つのメルヘン」 @ 鉢の子文学講座
[2022年05月26日(Thu)]
6月11日(土)、山口市立小郡図書館で、鉢の子文学講座「声に出して読みたい中也の詩」が開催されます

みんなで中也の詩を読みつなぎませんか。
こんな時代だからこそ中也の詩を音読して、詩を味わい元気になりましょう!
日 時
2022年6月11日(土)13:30〜15:00
場 所
山口市立小郡図書館 2階 会議室
ゲスト
中原豊(中原中也記念館 館長)
内 容
中也の代表的な詩「サーカス」と「一つのメルヘン」を数人で数行ずつ分けて音読します。音読後、中原中也記念館の中原館長に解説していただきます。
対 象
子ども〜大人(中也の詩を声に出して音読することができる方)
定 員
中也の詩を音読する人 8名
イベント観覧者 10名程度
申込・問合
山口市立小郡図書館
083-973-0098
小郡図書館友の会 鉢の子 中原
090-7978-1132
主 催
小郡図書館友の会 鉢の子
共 催
山口市立小郡図書館
サーカス
幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁(はり)
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒(さかさ)に手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くらの)闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)と更けまする
落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……


みんなで中也の詩を読みつなぎませんか。
こんな時代だからこそ中也の詩を音読して、詩を味わい元気になりましょう!












中也の詩を音読する人 8名
イベント観覧者 10名程度


山口市立小郡図書館

小郡図書館友の会 鉢の子 中原





サーカス
幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました
幾時代かがありまして
今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り
サーカス小屋は高い梁(はり)
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ
頭倒(さかさ)に手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
それの近くの白い灯が
安値(やす)いリボンと息を吐き
観客様はみな鰯
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くらの)闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)と更けまする
落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん
一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方(かなた)に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……