絵本作家 ヨシタケシンスケのお気に入り絵本
[2020年08月01日(Sat)]
7月31日(金)のNHK「あさイチ」のプレミアトークのゲストは絵本作家のヨシタケシンスケさんでした
ヨシタケさんは、1カ月の間に5分間だけポジティブな思考になるそうで、「あさイチ生出演のお話を頂いたときにその5分間だったみたいで、イケる!と思っちゃったんです」と言われていましたが、いえいえ、絵本から溢れるそのままの語り口、しっかり膝を閉じて小さくなって座っている姿に好感が持てました。
デビュー作の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社 2013.4)や
『りゆうがあります』 (PHP研究所 2015.3)
の制作秘話から自宅(特に自宅アトリエ、リビングに飾ってある立体作品「強いんだか弱いんだか」(2008年))や、いつも持ち歩いて日常を独特の目線で切り取りスケッチを描き込んでいるシステム手帳の公開、大学時代の立体作品(コンセントの人間スイカ割り「ACcess100」(1995年)、箱になれる羽「WING」(1996年))の紹介など、ヨシタケシンスケ ファンとしてはとても楽しい番組でした。
『りゆうがあります』を一緒に作ったPHP研究所の編集者の阿部聡子さんが、最初にヨシタケさんに「絵本を作ってみませんか?」と声をかけたそうですが、なかなかアイディアを出すことができなかったそうです。そうこうしているうちに、ブロンズ新社の編集者から「何か1つのモチーフをいろんな見方をしてみる」というお題が与えられて、苦手な色塗りもデザイナーさんがしてくれ(これは結構衝撃でした!)、初めての絵本『りんごかもしれない』ができたそうです。
最新刊は、『欲が出ました』(新潮社 2020.7)で、「普段描きとめているスケッチについて、自分で解説したものを語りおろしという形でエッセイ風にまとめたもの」です。
お菓子をもう一個取っていいんじゃない? もうちょっと寝ててもいいんじゃない? 人間って、プチ欲が出たとき、何とも言えなーい顔をする。そんな一瞬を、絵本作家ヨシタケシンスケが、「深く浅く」切り取ってみると……欲が出るから失敗するけど、欲が出るから人間って面白い!?(新潮社HP)
ヨシタケさんがこれまで読んできた&最近出会った絵本や写真集、漫画についても、その魅力を語られました
お気に入り絵本
『やっぱりおおかみ』 (佐々木マキ/作・絵 福音館書店 1977.4)
ひとりぼっちのおおかみが「け」という、ふくみのあるセリフをつぶやきながら仲間をさがして町をさまよっています。「おれににたこはいないかな」うさぎ、やぎ、ぶた、しか……。いろいろな動物がたくさんいますが、どこへいってもおおかみは満足することができません。仲間に入りたいようで、入りたくないのです。とうとうおばけがたくさんいる墓場までやってきたおおかみですが、はたして仲間をみつけることができるのでしょうか?(福音館書店HP)
「絵本は、子ども時代、おとな時代、読む時代によって違う発見がある。
この絵本は、子どもの頃は分からなかったが、おとなになって読むとよく分かる。」
『はなのあなのはなし』 (柳生弦一郎(やぎゅうけんいちろう)/作 福音館書店 1982.10)
さあ、あつこちゃんも、おじいちゃんも、動物園のゾウさんもイルカ君も、上を向いて鼻の穴を見せて! ……ユーモラスな絵と文で、鼻の役目を絵ときします。(福音館書店HP)
「語り口が優しい。子どもの視線で描いている。子どもの頃、この作者は嘘がないと信頼できた。
踏み込み過ぎないところが読んでいて心地よい。」
『エリック』(ショーン・タン/著 岸本佐知子/訳 河出書房新社 2012.10)
ホームステイにやってきたエリックを、ぼくらは皆でもてなしたものの、興味をひくのは小さな変なものばかり。ショーン・タンの優しいまなざしが注がれた、宝物のような一冊。(河出書房新社HP)
「絵がきれい。
交換留学生のエリックを喜ばせただろうか、と思い悩むが、自分がやっていることが思わない形で報われる。」
絵本は、教育的側面ばかりでなく、アートの側面もある。
読んできた漫画
『いしいひさいち選集1 ドーナツブックス 存在と無知』(いしいひさいち/著 双葉社 1992.12)
「「笑い」のエッセンスを学んだ。
「笑い」にはそもそも毒があるが、出し方加減」
『冬のUFO・森の怪獣』(クリハラタカシ/著 ナナロク社 2015.8)
「世界観、色などクリハラさんになりたい位好き。おとなになって出合ってよかった。子ども時代に出合っていたら影響を受け過ぎていた。」
夢中にする写真集
『sight』(朝海陽子/写真 赤々舍 2011.2)
朝海陽子『sight』は、自宅で被写体がリラックスしながら映画を見始め、映画に没頭して無防備な状態になったころ、朝海がそっとシャッターを切った写真集です。
映画の画面自体は写されていませんが、それを見る被写体の服装や表情、部屋のインテリア、タイトルとなっている映画題名と都市名などの情報から、被写体の人物像や日常の時間が想像され、映画の時間とその人の人生という長い時間が、重なりあうように表情に浮かび上がった不思議なユーモアのある作品集です。
「見ること」と「見られること」の接点から生まれる新しいポートレート。(赤々舍HPより抜粋)
「映画を観ている瞬間を撮った写真集。何もしていない時間、何でも無いときほどその人らしさが出る。」
ヨシタケさんは「3枚気に入った写真があったらその写真集を買う。」そうです。
『世界の祭りと衣装』(パイ インターナショナル 2019.9)
華々しいカーニバルから、伝説上の生き物に仮装する伝統的な祭礼など、衣装や装飾が特徴的な世界各国の祭りを紹介します。人々の熱狂を写し取った写真とともに、祭りの歴史や成り立ちも解説。多彩な祭りと衣装が映し出す、文化の多様さに驚かされる1冊です。(パイ インターナショナルHP)
「人間は世界中同じ形をしている。 どう飾り立てれば特徴ができるか、競い合っている」
ヨシタケさんは、1カ月の間に5分間だけポジティブな思考になるそうで、「あさイチ生出演のお話を頂いたときにその5分間だったみたいで、イケる!と思っちゃったんです」と言われていましたが、いえいえ、絵本から溢れるそのままの語り口、しっかり膝を閉じて小さくなって座っている姿に好感が持てました。
デビュー作の絵本『りんごかもしれない』(ブロンズ新社 2013.4)や
『りゆうがあります』 (PHP研究所 2015.3)
の制作秘話から自宅(特に自宅アトリエ、リビングに飾ってある立体作品「強いんだか弱いんだか」(2008年))や、いつも持ち歩いて日常を独特の目線で切り取りスケッチを描き込んでいるシステム手帳の公開、大学時代の立体作品(コンセントの人間スイカ割り「ACcess100」(1995年)、箱になれる羽「WING」(1996年))の紹介など、ヨシタケシンスケ ファンとしてはとても楽しい番組でした。
『りゆうがあります』を一緒に作ったPHP研究所の編集者の阿部聡子さんが、最初にヨシタケさんに「絵本を作ってみませんか?」と声をかけたそうですが、なかなかアイディアを出すことができなかったそうです。そうこうしているうちに、ブロンズ新社の編集者から「何か1つのモチーフをいろんな見方をしてみる」というお題が与えられて、苦手な色塗りもデザイナーさんがしてくれ(これは結構衝撃でした!)、初めての絵本『りんごかもしれない』ができたそうです。
最新刊は、『欲が出ました』(新潮社 2020.7)で、「普段描きとめているスケッチについて、自分で解説したものを語りおろしという形でエッセイ風にまとめたもの」です。
お菓子をもう一個取っていいんじゃない? もうちょっと寝ててもいいんじゃない? 人間って、プチ欲が出たとき、何とも言えなーい顔をする。そんな一瞬を、絵本作家ヨシタケシンスケが、「深く浅く」切り取ってみると……欲が出るから失敗するけど、欲が出るから人間って面白い!?(新潮社HP)
ヨシタケさんがこれまで読んできた&最近出会った絵本や写真集、漫画についても、その魅力を語られました
お気に入り絵本
『やっぱりおおかみ』 (佐々木マキ/作・絵 福音館書店 1977.4)
ひとりぼっちのおおかみが「け」という、ふくみのあるセリフをつぶやきながら仲間をさがして町をさまよっています。「おれににたこはいないかな」うさぎ、やぎ、ぶた、しか……。いろいろな動物がたくさんいますが、どこへいってもおおかみは満足することができません。仲間に入りたいようで、入りたくないのです。とうとうおばけがたくさんいる墓場までやってきたおおかみですが、はたして仲間をみつけることができるのでしょうか?(福音館書店HP)
「絵本は、子ども時代、おとな時代、読む時代によって違う発見がある。
この絵本は、子どもの頃は分からなかったが、おとなになって読むとよく分かる。」
『はなのあなのはなし』 (柳生弦一郎(やぎゅうけんいちろう)/作 福音館書店 1982.10)
さあ、あつこちゃんも、おじいちゃんも、動物園のゾウさんもイルカ君も、上を向いて鼻の穴を見せて! ……ユーモラスな絵と文で、鼻の役目を絵ときします。(福音館書店HP)
「語り口が優しい。子どもの視線で描いている。子どもの頃、この作者は嘘がないと信頼できた。
踏み込み過ぎないところが読んでいて心地よい。」
『エリック』(ショーン・タン/著 岸本佐知子/訳 河出書房新社 2012.10)
ホームステイにやってきたエリックを、ぼくらは皆でもてなしたものの、興味をひくのは小さな変なものばかり。ショーン・タンの優しいまなざしが注がれた、宝物のような一冊。(河出書房新社HP)
「絵がきれい。
交換留学生のエリックを喜ばせただろうか、と思い悩むが、自分がやっていることが思わない形で報われる。」
絵本は、教育的側面ばかりでなく、アートの側面もある。
読んできた漫画
『いしいひさいち選集1 ドーナツブックス 存在と無知』(いしいひさいち/著 双葉社 1992.12)
「「笑い」のエッセンスを学んだ。
「笑い」にはそもそも毒があるが、出し方加減」
『冬のUFO・森の怪獣』(クリハラタカシ/著 ナナロク社 2015.8)
「世界観、色などクリハラさんになりたい位好き。おとなになって出合ってよかった。子ども時代に出合っていたら影響を受け過ぎていた。」
夢中にする写真集
『sight』(朝海陽子/写真 赤々舍 2011.2)
朝海陽子『sight』は、自宅で被写体がリラックスしながら映画を見始め、映画に没頭して無防備な状態になったころ、朝海がそっとシャッターを切った写真集です。
映画の画面自体は写されていませんが、それを見る被写体の服装や表情、部屋のインテリア、タイトルとなっている映画題名と都市名などの情報から、被写体の人物像や日常の時間が想像され、映画の時間とその人の人生という長い時間が、重なりあうように表情に浮かび上がった不思議なユーモアのある作品集です。
「見ること」と「見られること」の接点から生まれる新しいポートレート。(赤々舍HPより抜粋)
「映画を観ている瞬間を撮った写真集。何もしていない時間、何でも無いときほどその人らしさが出る。」
ヨシタケさんは「3枚気に入った写真があったらその写真集を買う。」そうです。
『世界の祭りと衣装』(パイ インターナショナル 2019.9)
華々しいカーニバルから、伝説上の生き物に仮装する伝統的な祭礼など、衣装や装飾が特徴的な世界各国の祭りを紹介します。人々の熱狂を写し取った写真とともに、祭りの歴史や成り立ちも解説。多彩な祭りと衣装が映し出す、文化の多様さに驚かされる1冊です。(パイ インターナショナルHP)
「人間は世界中同じ形をしている。 どう飾り立てれば特徴ができるか、競い合っている」