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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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中原中也を読む会「蓄音器で聴く中也ゆかりの音楽」に参加しましたAメンデルスゾーン「無言歌ニ長調 作品109」 [2020年07月28日(Tue)]
前回の続き

次は、フェリックス・メンデルスゾーン「無言歌ニ長調 作品109」です。
「無言歌」とは「言葉のない歌」(Lied ohne Worte)で、歌詞がないけれど歌のような旋律に伴奏がついた曲です。
「言葉のない歌」(Lied ohne Worte)というタイトルは、メンデルスゾーンが最初に用い、生涯にわたって作曲し、『無言歌集』全8巻(48曲)として出版されました(48曲以外にも作曲しています)。
「無言歌 ニ長調 作品109」は、他のピアノのための無言歌とは異なり、チェロとピアノのための無言歌です。
フランス人の女性チェリスト リザ・バルビエ・クリスティアーニ(1827-1853)ために作曲しました。
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チェロはパブロ・カザルス(Pablo Casals)、ピアノはブラス・ネ(Blas Net)です。
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曲を聴く前に中也の第二詩集『在りし日の歌』に所収の「言葉なき歌」を鑑賞しました。
中原館長が朗読と解説をしてくださいました。
在りし日の歌 中原中也詩集 角川文庫クラシック.jpg
▲『在りし日の歌 中原中也詩集』(角川文庫クラシックス)(中原中也/著 佐々木幹郎/編 角川書店 1997.6)

  言葉なき歌

あれはとほいい処にあるのだけれど
おれは此処ここで待つてゐなくてはならない
此処は空気もかすかで蒼あを
ねぎの根のやうに仄ほのかに淡あは

決して急いではならない
此処で十分待つてゐなければならない
処女むすめの眼のやうに遥かを見遣みやつてはならない
たしかに此処で待つてゐればよい

それにしてもあれはとほいい彼方かなたで夕陽にけぶつてゐた
号笛フイトルの音のやうに太くて繊弱だつた
けれどもその方へ駆け出してはならない
たしかに此処で待つてゐなければならない

さうすればそのうち喘あへぎも平静に復し
たしかにあすこまでゆけるに違ひない
しかしあれは煙突の煙のやうに
とほくとほく いつまでも茜あかねの空にたなびいてゐた


「あれ」、「ここ」などの指示語が多用されており、思いが表現されています。
「ならない」と自分に言い聞かせる表現と「けぶつてゐた」「繊弱だつた」「たなびいてゐた」などの過去形の回想が交差しています。
「けれども」「しかし」逆説の接続詞で感情の揺れ動きが伺えます。
ヴェルレーヌ(1844〜1896)の詩集『言葉なき恋歌』(Romances sans paroles)(1874)が意識されています。

SPレコードは、10インチ盤か12インチ盤がほとんどです。
最初のシューベルト「楽興の時」は10インチ盤、次のメンデルスゾーン「無言歌」は12インチ盤です。
館長は、12インチ盤は曲の途中でゼンマイが終わるのではないかどドキドキするそうです。


次回に続く
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