国宝本殿造営・寄進650年記念特別展 住吉神社―護り伝えられた文化財 @ 下関市立美術館C
[2020年07月25日(Sat)]
【前回の続き】
第二章
次は住吉神社に奉納された品々の展示です
09 金剛牡丹唐草透唐鞍
室町時代の馬具が残っているって、すごいです。
金胴牡丹唐草透唐鞍は、重要文化財に指定されています。
大内義隆の奉納と伝えられる。唐鞍は、唐風を真似て作られた馬具で、儀式や祭りの際、馬を飾り立てるのに用いられた。室町時代の遺例として貴重である。(『山口市史 史料編 大内文化』より)
鞍
一背
高さ28.8p 前輪馬挾41.8p 後輪馬挾46.1p 居木幅10.9p 長さ27.6p 居木先長3.3p
海無(うみなし)鞍、手形がある。木地黒漆塗、前後の輪の外面に鍍金牡丹唐草文透板を全面に張り、外縁に青貝微塵塗を施して覆輪とし、前後輪の中央に圧出鍍金牡丹文金物を打つ。居木(いぎ)の中央に横樋がある。
銀面(ぎんめん)
二面
1.長さ46.1p 幅21.5p / 2.長さ40.9p 幅20.3p 角高10.6p
鍍金板金製、上部に鍍金板金の角形を立て、頭部に冠形、中央に眼鼻形、下部に連円文の線彫がある。一面角形欠失。
障泥(あおり)
韉(したぐら)
障泥
一双
縦60.6p 幅66.7p
牛革製、表面に唐花唐草の墨描がある。
韉
一双
縦39.4p 幅57.6p
木心に鍍金板を張り鍍金覆輪を施す。上切付面は、紅地絹張りの周囲に鍍金地板を廻らし鍍金圧出牡丹文を餝る。
轡(くつわ)
雲珠(うず)
轡
二口
各々鏡板径8.5p 喰長23.6p 引手長13.3p 立聞長6.06p
鍍金鏡轡、立聞共一枚板作り、鏡板下方に二孔を穿け、一孔に遊鐶を付し喰と引手を連結す。
・鏡板:喰の両端にある板
・喰(馬銜 (はみ) ):馬の口に入るところ
・引手:手綱をつなぐ部分
・立聞(たちぎき):面繋 (おもがい) を受ける壺金
雲珠
二箇
1.高さ19.7p 座径16.7p / 2.高さ15.2p 座径15.2p
1.鍍金魚子地線彫四花形の座に伏鉢を置き、四葉猪目透の受花上に火焔付宝珠を据う。
2.鍍金四葉座に小刻付伏鉢、四葉猪目透受花を配し、火焔付宝珠を据う。
・鞍をつなぐ鞦の交差する部分につける宝珠の形をした飾り。辻金具(つじかなぐ)の一部
杏葉(ぎょうよう)
鞖(しおで)
鞍褥(くらしき)残片
杏葉
一箇
長さ10.6p 幅6.7p
鍍金打出し葉脈線彫。
・杏葉:面繋(おもがい)、胸繋(むながい)(鞅)、尻繋(しりがい)(鞦)につける装飾具。皮または金属製で、名は形がアンズ(杏)またはイチョウ(銀杏)の葉に似ていることに由来
鞖
二箇
長さ8.8p
鍍金茱萊形管鞖。
鞍褥
一枚
長さ36.4p 幅23.3p
牛革製、表裏墨漆塗。欠失あり。
革鞦(かわしりがい)残片
二條
1.長さ100.9p 幅3.6p / 2.長さ36.4p
朱塗皺革製、表に鍍金花文辻金具を打ち二片共蛇尾金具を附す。
10 鉄錆地五十八間筋下部
室町時代中期の作であろうと推定されています。
11 紙本墨書御陽成天皇宸翰御懐紙
後陽成天皇(1571〜1617)は儒学や和学に造詣が深く、慶長4年に勅命により木活字本『日本書紀 慶長乙亥 季春新刊』(新刊 日本書紀 神代 上下)が刊行されました。題簽の墨書名「新刊 日本書紀 神代 上下」は後陽成天皇宸筆と伝えられています。
▲題簽墨書名「新刊 日本書紀 神代 上下」(国立国会図書館蔵)
12 住吉神社社殿図
13 住吉神社全景図
高島北海は、1923(大正12)年、関東大震災を機に長府に戻り、図画教師の傍ら、画業を続けながら長門峡など山口県の名勝地の開発や紹介に努めました。
山口市阿東の長門峡には、長門峡開発記念碑があり、高島北海のことが刻されています。
また、山口市の最明寺には、北海の父 山下玄良の墓があります。
長門峡開発記念碑
参考文献:
『日本書紀』(2巻1冊 慶長4年(1599)刊 後陽成天皇勅版 古活字版 舎人親王〔等〕/撰)
※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
『大内文化 史料編 大内文化』(山口市 2010)
P839「金胴牡丹唐草透唐鞍」
【次回に続く】
第二章
次は住吉神社に奉納された品々の展示です
09 金剛牡丹唐草透唐鞍
室町時代の馬具が残っているって、すごいです。
金胴牡丹唐草透唐鞍は、重要文化財に指定されています。
大内義隆の奉納と伝えられる。唐鞍は、唐風を真似て作られた馬具で、儀式や祭りの際、馬を飾り立てるのに用いられた。室町時代の遺例として貴重である。(『山口市史 史料編 大内文化』より)
鞍
一背
高さ28.8p 前輪馬挾41.8p 後輪馬挾46.1p 居木幅10.9p 長さ27.6p 居木先長3.3p
海無(うみなし)鞍、手形がある。木地黒漆塗、前後の輪の外面に鍍金牡丹唐草文透板を全面に張り、外縁に青貝微塵塗を施して覆輪とし、前後輪の中央に圧出鍍金牡丹文金物を打つ。居木(いぎ)の中央に横樋がある。
銀面(ぎんめん)
二面
1.長さ46.1p 幅21.5p / 2.長さ40.9p 幅20.3p 角高10.6p
鍍金板金製、上部に鍍金板金の角形を立て、頭部に冠形、中央に眼鼻形、下部に連円文の線彫がある。一面角形欠失。
障泥(あおり)
韉(したぐら)
障泥
一双
縦60.6p 幅66.7p
牛革製、表面に唐花唐草の墨描がある。
韉
一双
縦39.4p 幅57.6p
木心に鍍金板を張り鍍金覆輪を施す。上切付面は、紅地絹張りの周囲に鍍金地板を廻らし鍍金圧出牡丹文を餝る。
轡(くつわ)
雲珠(うず)
轡
二口
各々鏡板径8.5p 喰長23.6p 引手長13.3p 立聞長6.06p
鍍金鏡轡、立聞共一枚板作り、鏡板下方に二孔を穿け、一孔に遊鐶を付し喰と引手を連結す。
・鏡板:喰の両端にある板
・喰(馬銜 (はみ) ):馬の口に入るところ
・引手:手綱をつなぐ部分
・立聞(たちぎき):面繋 (おもがい) を受ける壺金
雲珠
二箇
1.高さ19.7p 座径16.7p / 2.高さ15.2p 座径15.2p
1.鍍金魚子地線彫四花形の座に伏鉢を置き、四葉猪目透の受花上に火焔付宝珠を据う。
2.鍍金四葉座に小刻付伏鉢、四葉猪目透受花を配し、火焔付宝珠を据う。
・鞍をつなぐ鞦の交差する部分につける宝珠の形をした飾り。辻金具(つじかなぐ)の一部
杏葉(ぎょうよう)
鞖(しおで)
鞍褥(くらしき)残片
杏葉
一箇
長さ10.6p 幅6.7p
鍍金打出し葉脈線彫。
・杏葉:面繋(おもがい)、胸繋(むながい)(鞅)、尻繋(しりがい)(鞦)につける装飾具。皮または金属製で、名は形がアンズ(杏)またはイチョウ(銀杏)の葉に似ていることに由来
鞖
二箇
長さ8.8p
鍍金茱萊形管鞖。
鞍褥
一枚
長さ36.4p 幅23.3p
牛革製、表裏墨漆塗。欠失あり。
革鞦(かわしりがい)残片
二條
1.長さ100.9p 幅3.6p / 2.長さ36.4p
朱塗皺革製、表に鍍金花文辻金具を打ち二片共蛇尾金具を附す。
10 鉄錆地五十八間筋下部
室町時代中期の作であろうと推定されています。
11 紙本墨書御陽成天皇宸翰御懐紙
後陽成天皇(1571〜1617)は儒学や和学に造詣が深く、慶長4年に勅命により木活字本『日本書紀 慶長乙亥 季春新刊』(新刊 日本書紀 神代 上下)が刊行されました。題簽の墨書名「新刊 日本書紀 神代 上下」は後陽成天皇宸筆と伝えられています。
▲題簽墨書名「新刊 日本書紀 神代 上下」(国立国会図書館蔵)
12 住吉神社社殿図
13 住吉神社全景図
高島北海は、1923(大正12)年、関東大震災を機に長府に戻り、図画教師の傍ら、画業を続けながら長門峡など山口県の名勝地の開発や紹介に努めました。
山口市阿東の長門峡には、長門峡開発記念碑があり、高島北海のことが刻されています。
また、山口市の最明寺には、北海の父 山下玄良の墓があります。
長門峡開発記念碑
参考文献:
『日本書紀』(2巻1冊 慶長4年(1599)刊 後陽成天皇勅版 古活字版 舎人親王〔等〕/撰)
※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
『大内文化 史料編 大内文化』(山口市 2010)
P839「金胴牡丹唐草透唐鞍」
【次回に続く】