第18回やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 に参加しました
[2020年07月20日(Mon)]
7月15日(水)、ジャズ スポット ポルシェで開催された「第18回やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜」 に参加しました
18:43
「with コロナ」ということで、前回同様10名限定(スタッフを入れて12名)で実施されました。最前列は空席とし、また、1つずつ席を空けて座り、マイクには各々が持参した洗濯清みのハンカチを巻いて、消毒をしながら実施されました。
第一部 蓄音器ジャズ。
前回の Capitol Records レーベルの「New American Jazz」の残りの4曲でした。
レコードを載せ、
ハンドルを回して、
針をおろします。
@ Clambake in B-Flat
clambake とは、「即興ジャズ演奏会、(特に不出来な)ジャムセッション」のことです。
A I'm Sorry I Made You Cry
Vocal : Jack Teagarden
B Sugar
C Ain't Goin' No Place
Vocal : Peggy Lee
第二部 自由朗読。
@Tさん
夏目漱石『野分』
AFさん
あべわかこ「生きる」(詩集『蒼い空』第5集(ポエム「福島 空の会」)より)
BY
立原道造「魚の話」(『散歩詩集』より)
或る魚はよいことをしたのでその天使がひとつの願をかなへさせて貰ふやうに神様と約束してゐたのである。
かはいさうに! その天使はずゐぶんのんきだつた。魚が死ぬまでそのことを忘れてゐたのである。魚は最後の望に光を食べたいと思つた、ずつと海の底にばかり生れてから住んでゐたし光といふ言葉だけ沈んだ帆前船や錨からきいてそれをひどく欲しがつてゐたから。が、それは果されなかつたのである。
天使は見た、魚が倒れて水の面の方へゆるゆると、のぼりはじめるのを。彼はあわてた。早速神様に自分の過ちをお詫びした。すると神様はその魚を星に変へて下さつたのである。魚は海のなかに一すぢの光をひいた、そのおかげでしなやかな海藻やいつも眠つてゐる岩が見えた。他の大勢の魚たちはその光について後を追はうとしたのである。
やがてその魚の星は空に入り空の遥かへ沈んで行つた。
C原明子さん
中原中也「夏日静閑」
暑い日が毎日つづいた。
隣りのお嫁入前のお嬢さんの、
ピアノは毎日聞こえてゐた。
友達はみんな避暑地に出掛け、
僕だけが町に残つてゐた。
撒水車[さんすいしゃ]が陽に輝いて通るほか、
日中は人通りさへ殆[ほと]んど絶えた。
たまに通る自動車の中には
用務ありげな白服の紳士が乗つてゐた。
みんな僕とは関係がない。
偶々[たまたま]買物に這入つた店でも
怪訝[けげん]な顔をされるのだつた。
こんな暑さに、おまへはまた
何条[なんじょう]買ひに来たものだ?
店々の暖簾[のれん]やビラが、
あるとしもない風に揺れ、
写真屋のショウヰンドーには
いつもながらの女の写真(かほ)。
一九三七、八、五
現在、中原中也記念館で開催中の企画展I「〈汽車が速いのはよろしい〉― 中也の詩と乗り物」で展示されています。
※開催期間が変更となり、11月15日(日)まで開催されます。
DSさん
林真理子(『強運な女になる』 (中公文庫)より)
EKさん
『カエルもヒキガエルもうたえる』(アーノルド・ローベル/作 エイドリアン・ローベル/彩色 アーサー・ビナード/訳 長崎出版 2010.8)より3篇
訳者のアーサー・ビナードさんの講演会「アーサー・ビナードが下竪小路にやってくる!」が、7月20日に山口児童館であります。
FIさん
角田光代「65歳」(『口紅のとき』(上田義彦/写真 求龍堂 2012.1)より)
京都で朗読専用劇場 rLabo.(アールラボ)がオープンするそうです。
GTさん
三好達治「わが路ゆかむ」
HMさん
『草にすわる』(市河紀子/選 保手濱拓/絵・写真 池田進吾/装幀 理論社 2012.4)より詩2篇。
草に すわる
八木重吉
わたしのまちがひだつた
わたしの まちがひだつた
こうして 草にすわれば それがわかる
間違い
谷川俊太郎
わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる
そう八木重吉は書いた(その息遣いが聞こえる)
そんなにも深く自分の間違いが
腑に落ちたことが私にあったか
草に座れないから
まわりはコンクリートしかないから
私は自分の間違いを知ることができない
たったひとつでも間違いに気づいたら
すべてがいちどきに瓦解しかねない
椅子に座ってぼんやりそう思う
私の間違いじゃないあなたの間違いだ
あなたの間違いじゃない彼等の間違いだ
みんなが間違っていれば誰も気づかない
草に座れぬまま私は死ぬのだ
間違ったまま私は死ぬのだ
間違いを探しあぐねて
ISさん
須藤洋平「自由なバランス」(『みちのく鉄砲店』(青土社 2007)より)
須藤洋平は、『みちのく鉄砲店』で第12回中原中也賞を受賞しました。
JZさん
樋口一葉『にごりえ』
K中原豊館長
伊藤比呂美「荒野にモノレール」(『道行きや』(菊地信義/装幀 新潮社 2020.4)
「荒野にモノレール」は、羽田からのモノレールの先頭車両で目にした東京の街に「魂を呑まれるような経験」をするお話です。
装幀も
ページの構成もとても凝っています。
帰る時は、すっかり暗くなっていました。
21:46
18:43
「with コロナ」ということで、前回同様10名限定(スタッフを入れて12名)で実施されました。最前列は空席とし、また、1つずつ席を空けて座り、マイクには各々が持参した洗濯清みのハンカチを巻いて、消毒をしながら実施されました。
第一部 蓄音器ジャズ。
前回の Capitol Records レーベルの「New American Jazz」の残りの4曲でした。
レコードを載せ、
ハンドルを回して、
針をおろします。
@ Clambake in B-Flat
clambake とは、「即興ジャズ演奏会、(特に不出来な)ジャムセッション」のことです。
A I'm Sorry I Made You Cry
Vocal : Jack Teagarden
B Sugar
C Ain't Goin' No Place
Vocal : Peggy Lee
第二部 自由朗読。
@Tさん
夏目漱石『野分』
AFさん
あべわかこ「生きる」(詩集『蒼い空』第5集(ポエム「福島 空の会」)より)
BY
立原道造「魚の話」(『散歩詩集』より)
或る魚はよいことをしたのでその天使がひとつの願をかなへさせて貰ふやうに神様と約束してゐたのである。
かはいさうに! その天使はずゐぶんのんきだつた。魚が死ぬまでそのことを忘れてゐたのである。魚は最後の望に光を食べたいと思つた、ずつと海の底にばかり生れてから住んでゐたし光といふ言葉だけ沈んだ帆前船や錨からきいてそれをひどく欲しがつてゐたから。が、それは果されなかつたのである。
天使は見た、魚が倒れて水の面の方へゆるゆると、のぼりはじめるのを。彼はあわてた。早速神様に自分の過ちをお詫びした。すると神様はその魚を星に変へて下さつたのである。魚は海のなかに一すぢの光をひいた、そのおかげでしなやかな海藻やいつも眠つてゐる岩が見えた。他の大勢の魚たちはその光について後を追はうとしたのである。
やがてその魚の星は空に入り空の遥かへ沈んで行つた。
C原明子さん
中原中也「夏日静閑」
暑い日が毎日つづいた。
隣りのお嫁入前のお嬢さんの、
ピアノは毎日聞こえてゐた。
友達はみんな避暑地に出掛け、
僕だけが町に残つてゐた。
撒水車[さんすいしゃ]が陽に輝いて通るほか、
日中は人通りさへ殆[ほと]んど絶えた。
たまに通る自動車の中には
用務ありげな白服の紳士が乗つてゐた。
みんな僕とは関係がない。
偶々[たまたま]買物に這入つた店でも
怪訝[けげん]な顔をされるのだつた。
こんな暑さに、おまへはまた
何条[なんじょう]買ひに来たものだ?
店々の暖簾[のれん]やビラが、
あるとしもない風に揺れ、
写真屋のショウヰンドーには
いつもながらの女の写真(かほ)。
一九三七、八、五
現在、中原中也記念館で開催中の企画展I「〈汽車が速いのはよろしい〉― 中也の詩と乗り物」で展示されています。
※開催期間が変更となり、11月15日(日)まで開催されます。
DSさん
林真理子(『強運な女になる』 (中公文庫)より)
EKさん
『カエルもヒキガエルもうたえる』(アーノルド・ローベル/作 エイドリアン・ローベル/彩色 アーサー・ビナード/訳 長崎出版 2010.8)より3篇
訳者のアーサー・ビナードさんの講演会「アーサー・ビナードが下竪小路にやってくる!」が、7月20日に山口児童館であります。
FIさん
角田光代「65歳」(『口紅のとき』(上田義彦/写真 求龍堂 2012.1)より)
京都で朗読専用劇場 rLabo.(アールラボ)がオープンするそうです。
GTさん
三好達治「わが路ゆかむ」
HMさん
『草にすわる』(市河紀子/選 保手濱拓/絵・写真 池田進吾/装幀 理論社 2012.4)より詩2篇。
草に すわる
八木重吉
わたしのまちがひだつた
わたしの まちがひだつた
こうして 草にすわれば それがわかる
間違い
谷川俊太郎
わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる
そう八木重吉は書いた(その息遣いが聞こえる)
そんなにも深く自分の間違いが
腑に落ちたことが私にあったか
草に座れないから
まわりはコンクリートしかないから
私は自分の間違いを知ることができない
たったひとつでも間違いに気づいたら
すべてがいちどきに瓦解しかねない
椅子に座ってぼんやりそう思う
私の間違いじゃないあなたの間違いだ
あなたの間違いじゃない彼等の間違いだ
みんなが間違っていれば誰も気づかない
草に座れぬまま私は死ぬのだ
間違ったまま私は死ぬのだ
間違いを探しあぐねて
ISさん
須藤洋平「自由なバランス」(『みちのく鉄砲店』(青土社 2007)より)
須藤洋平は、『みちのく鉄砲店』で第12回中原中也賞を受賞しました。
JZさん
樋口一葉『にごりえ』
K中原豊館長
伊藤比呂美「荒野にモノレール」(『道行きや』(菊地信義/装幀 新潮社 2020.4)
「荒野にモノレール」は、羽田からのモノレールの先頭車両で目にした東京の街に「魂を呑まれるような経験」をするお話です。
装幀も
ページの構成もとても凝っています。
帰る時は、すっかり暗くなっていました。
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