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こどもと本ジョイントネット21・山口


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ホオノキA [2020年05月26日(Tue)]
前回の続き

『西の魔女が死んだ』から少し離れます。

ホオノキは、山口県内の山地にも自生するモクレン科モクレン属の落葉高木です。
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木材は狂いが少なく、細工物やまな板などに利用されるそうです。
昔はマッチの軸木、下駄の歯(朴歯下駄)、鉛筆材、木版材(浮世絵の下絵に用いられました)、日本刀の鞘はホオノキを加工して作られていました。
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葉は20cmから40cmと大きいです。
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枝先に集まって付くので、輪生(1か所から3つ以上、輪のように葉が出ること)のように見えます。
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こういうのを偽輪生というのだそうです。
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よく見ると、ちょっとだけ葉っぱの出る所がずれています。
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互生です。
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葉の裏側は白い粉を吹いたような白っぽい色です。
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ホオノキの大きな葉は「朴葉(ほおば)」とも呼ばれ、食べ物を盛るための器として利用され、包んだりするのに使われてきました。
福井で「朴葉飯」、高山で「朴葉味噌」「朴葉焼き」を食べたことがあります。

ホオノキの別名ホオガシワのカシワは、古来、食物を盛るのに用いる葉の総称です。

万葉集には「保寶葉」「保寶我之婆」「保寶我之波」(ほほがしは)として登場します。

万葉集巻19-4204、4205に「見攀折保寶葉歌二首」(攀(よ)ぢ折(を)れたる保寶葉を見る歌二首)です。
4204番は「講師僧恵行」(講師(国分寺の僧)である僧恵行)、4205番は「守大伴宿祢家持」(越中国守である大伴家持)の歌です。
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『万葉集』巻19-4204〜5(清水浜臣)(国立国会図書館蔵)

吾勢故我 捧而持流 保寶我之婆 安多可毛似加 青盖
わがせこが ささげてもてる ほほがしは あたかもにるか あをききぬがさ
我が背子が 捧げて持てる ほほがしは あたかも似るか 青き盖
あなた様が高く差し上げて持っている(さしかざしている)ホオガシワはあたかも貴人にかざす青い蓋(きぬがさ)に似てますね。

「捧(ささ)ぐ」は「両手で高く差し上げる」こと。
「蓋(きぬがさ)」は「絹で張った長い柄の傘」で、貴人が外出の際、従者が背後からさしかざしました。
補注によると、蓋は、三位以上の者が用いることになっており、一位の者は「深緑色」であったとあります。
家持が青々としたホオノキの葉を持っている様子を、一位の人の「蓋」のようだと、僧恵行は讃えています。

皇神祖之 遠御代三世波 射布折 酒飲等伊布曽 此保寶我之波
すめろきの とほみよみよは いしきをり きのみきといふぞ このほほがしは
皇神祖の 遠御代御代は い重き折り 酒飲みきといふぞ このほほがしは
皇祖の遠い昔から代々、葉を折り重ねて酒を飲んだということですよ、このホオガシワは。

「皇神祖(すめろき)」は「皇祖以来の歴代諸天皇」を指します。他に「天皇」「皇祖神」「皇祖」等とも表記されます。
「いしく」の「い」は接頭辞です。
「しき」は動詞「し(頻)く」で「くりかえし」「たびたび」の意で使われており、「いしきおり」で「くりかえし折る」の意です。
また、動詞「敷(し)く」で「(食物を盛るために、木の葉を)平らに広げる」の意で使われ、「いしきおり」で「平らに広げて折る」とも考えられます。
家持は、僧恵行の詩に対して、ホオノキの葉で酒を飲んだ昔を述べて葉を讃えました。


ホオノキの幹や枝の皮は、漢方の生薬として使われ、「厚朴(こうぼく)」と呼ばれています。
『本草図譜』巻82 喬木類1には「厚朴」として載っています。
本草図譜 第11冊 巻82喬木類1 厚朴 (2).png
『本草図譜』巻82 喬木類1「厚朴」

いわゆるホオノキです。日本産のものは「和厚朴」と呼ばれています。
本草図譜 第11冊 巻82喬木類1 ホオノキ 27-10 (2).png
『本草図譜』巻82 喬木類1「厚朴 一種」

そして、中国産の厚朴である「ほゝのき 唐厚朴」も載っています。
本草図譜 第11冊 巻82喬木類1 ホウノキ 27-9 (2).png
▲『本草図譜』巻82 喬木類1「ほうのき 唐厚朴」



参考文献:
『万葉集』(清水浜臣)
『本草図譜』(岩崎常正(潅園)/著)(巻5〜10 須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛/刊 1830(文政13) )(巻11〜96 筆彩の写本)
  ※以上は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。


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