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こどもと本ジョイントネット21・山口


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シュロの花が咲きました [2020年05月18日(Mon)]
5月1日、ご近所でシュロの花が咲いていましたぴかぴか(新しい)
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ヤシ目ヤシ科シュロ属で、普通は雌雄異株・雌雄異花です。
大型の苞から花序が出ています。
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今年の花序の下には、枯れた昨年の花序が見えます。
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上の写真の木はトウジュロ、下の写真の木は、ワジュロといわれるものだと思われます。
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常緑高木で、高さ6メートルにも達します。
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日本ほか中国からミャンマーまで分布しています。
温暖な九州地方の原産とされており、早くから観賞用に栽培されていたようです。


清少納言『枕草子』37(40)段「花の木ならぬは」

姿なけれど、すろの木、唐めきて、わるき(わろ)家の物とは見えず。

趣のあるようすはないけれど、シュロの木は唐風で、下賤の家のものとは見えない。

 すがた【姿】外見。外形。かっこう。趣のあるようす。
 わる・い【悪い】(品質や程度などが)劣っている。上等でない。いやしい。
 わろ・し【悪し】(品質や程度などが)劣っている。上等でない。いやしい。貧しい。
  ※前田家本枕草子木は「唐めきて、―・き家のものとは見えず」
 から−め・く【唐めく】中国風に見える。


家紋に「棕櫚紋」というのがあります。
幹の頂上に、長い柄を持つ固い葉が数本つきますが、この葉が一見熊手のようで形が面白いので、紋章化されたと思われます。
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その起源は明らかではありませんが、室町時代には既に家紋になっていたようです。
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『本草図譜』第11冊 巻85喬木類4「椶櫚」があります。
本草図譜 第11冊 巻85喬木類4 椶櫚 (2).png 本草図譜 第11冊 巻85喬木類4 シュロ (2).png 本草図譜 第11冊 巻85喬木類4 木の形、トウシュロ 倍率50% (3).png
▲『本草図譜』第11冊 巻85喬木類4(国立国会図書館蔵)

樹直聳(ちょくしょう)(真っ直ぐに聳(そび)える)して枝なく梢に月々に新葉を生し四時(しじ)(しぼ)まず。一葉の形手を開くが如し。夏の初梢の葉の間に房を生ず。外皮ありて形蜀忝(黍)(モロコシ)の実の如く長ざれり。外皮落て顕る形魚子(なのこ)(魚の腹子)の如し。初黄色、花開く時は淡黄色となる。花弁苞微にして見易からず。後実を結ぶ形いんげんまめに似て短し。熟されば黒褐色となる。(略) 

「とうしゅろ」
本草図譜 第11冊 巻85喬木類4 木の形、トウシュロ 倍率50% (2).png 本草図譜 第11冊 巻85喬木類4 トウシュロ (2).png
▲『本草図譜』第11冊 巻85喬木類4(国立国会図書館蔵)

木の形しゅろと同じく葉も形同じといえども短く厚く硬くして年を重といえども下垂せずして直立す。花、実も前條と同じ。外皮の毛をとり用いるを此亦前に同じ

トウジュロは、葉が垂れ下がらない、と書いてあります。


「棕櫚の花」は夏の季語です。

梢より放つ後光やしゆろの花 蕪村 「新花摘」

異人住む赤い煉瓦や棕櫚の花  夏目漱石 明治二十九年
敷石や一丁つゞく棕櫚の花  夏目漱石  明治二十八年
世はいづれ棕櫚の花さへ穂に出でつ  夏目漱石 明治三十年
ぬきんでゝ雑木の中や棕櫚の花  夏目漱石 明治三十六年

吾も亦愛す吾廬や棕櫚の花  正岡子規
村落に洋館ありて棕櫚の花  正岡子規
棕櫚の花梯子とゞかぬ高さかな  正岡子規
棕櫚の花闇の夜頃を匂ひけり  正岡子規
棕櫚の花闇の空より匂ひけり  正岡子規


枝がなく、まっすぐに伸びた幹は俗に「シュロの毛」と呼ばれる古い皮で覆われています。
シュロ皮の繊維は縄、敷物、ホウキ、タワシなどになります。


5月17日に見に行くとずいぶん様子が変わっていました。
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秋には小さな実がいっぱい実るそうです。
実は生薬になるとのことです。



参考文献:
『本草図譜』(岩崎常正(潅園)/著)(巻5〜10 須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛/刊 1830(文政13) )(巻11〜96 筆彩の写本)(国立国会図書館蔵)
  ※いずれも国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
  ※『本草図譜』巻1〜4は、国立国会図書館デジタルコレクションでは抜けていますが、国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧できます。
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