マムシグサ × 『草木図説』&『本草図譜』
[2020年05月16日(Sat)]
ウラシマソウと同じテンナンショウの仲間のマムシグサにも会いました
もう、花は終わって実がなっていました。
今は緑色ですが、これが秋(?)になると真っ赤になります。
マムシグサ系は分類が混乱していることもあり、素人目には判別がつきにくく同定が難しいです。
『草木図説』という飯沼慾斎による江戸時代の植物図鑑があります。リンネの分類による24綱目に分けて、草類1250種、木類600種の植物学的に正確な解説と写生図から成ります。草部20巻、木部10巻。草部は1852(嘉永5)年頃成稿、56(安政3)年から62(文久2)年にかけて出版されました。
『草木図説前編 草部』巻19に
▲『草木図説前編 草部』巻19(国立国会図書館蔵)
「マムシグサ」が載っています。別名が「ヘビノ大八」「斑杖」となっています。
▲『草木図説前編 草部』巻19(国立国会図書館蔵)
草天南星と同く一茎に大葉あって花茎出す。其小葉の形亦天南星と同じけれ。只に邊縁に細居(鋸)歯あって彼の平等なると不同。又茎の斑色紫褐を交え。尤蛇斑に似たるを此種の殊標(しゅひょう)とす。亦雌雄草を異にし蕋状等(天)南星と全く同じ。此種は葉形花色に種々あり。又葉形一般なる種に苞色に青と帯暗紫とあり。又葉心に白斑あって苞暗紫なるあり。又苞の尖のみ暗紫にして茎の斑尤著明なるあり。又葉狭長にして光沢つよく中心に一白道あって苞色暗紫なるあり。(略)
と変異が多いことが書かれています。
「日本で最初の植物図鑑」ともいわれている『本草図譜(ほんぞうずふ)』という全96巻からなる植物図鑑があります。「本草」は漢方で薬用とされる植物等のこと。本草学者であった岩崎灌園(いわさきかんえん)が各地を踏査して写生した2,000種もの彩色した植物図で、余白に解説を添えた書で、『本草綱目』の分類に従って排列しています。1828(文政11)年に全96巻(92冊)が完成し、予約配布方式で1830(天保元)年に配布を開始、最初の4冊は木版本、残り88冊は手書きで作成して、灌園没後の1844(弘化元)年に配布を終えました。
『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2には「マムシグサ」と「ヘビノダイハチ」は別々に紹介されています。
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
まむしさう 漢名 蛇頭草
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
へびのだいはち
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
いずれの本も、絵がとってもよくて、眺めているだけで楽しいです。
参考文献:
『草木図説前編 草部』(飯沼慾斎[他]/著 出雲寺文治郎[ほか12名]/出版 1856(安政3))(国立国会図書館蔵)
『本草図譜』(岩崎常正(潅園)/著)(巻5〜10 須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛/刊 1830(文政13) )(巻11〜96 筆彩の写本)(国立国会図書館蔵)
※いずれも国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
※『本草図譜』巻1〜4は、国立国会図書館デジタルコレクションでは抜けていますが、国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧できます。
もう、花は終わって実がなっていました。
今は緑色ですが、これが秋(?)になると真っ赤になります。
マムシグサ系は分類が混乱していることもあり、素人目には判別がつきにくく同定が難しいです。
『草木図説』という飯沼慾斎による江戸時代の植物図鑑があります。リンネの分類による24綱目に分けて、草類1250種、木類600種の植物学的に正確な解説と写生図から成ります。草部20巻、木部10巻。草部は1852(嘉永5)年頃成稿、56(安政3)年から62(文久2)年にかけて出版されました。
『草木図説前編 草部』巻19に
▲『草木図説前編 草部』巻19(国立国会図書館蔵)
「マムシグサ」が載っています。別名が「ヘビノ大八」「斑杖」となっています。
▲『草木図説前編 草部』巻19(国立国会図書館蔵)
草天南星と同く一茎に大葉あって花茎出す。其小葉の形亦天南星と同じけれ。只に邊縁に細居(鋸)歯あって彼の平等なると不同。又茎の斑色紫褐を交え。尤蛇斑に似たるを此種の殊標(しゅひょう)とす。亦雌雄草を異にし蕋状等(天)南星と全く同じ。此種は葉形花色に種々あり。又葉形一般なる種に苞色に青と帯暗紫とあり。又葉心に白斑あって苞暗紫なるあり。又苞の尖のみ暗紫にして茎の斑尤著明なるあり。又葉狭長にして光沢つよく中心に一白道あって苞色暗紫なるあり。(略)
と変異が多いことが書かれています。
「日本で最初の植物図鑑」ともいわれている『本草図譜(ほんぞうずふ)』という全96巻からなる植物図鑑があります。「本草」は漢方で薬用とされる植物等のこと。本草学者であった岩崎灌園(いわさきかんえん)が各地を踏査して写生した2,000種もの彩色した植物図で、余白に解説を添えた書で、『本草綱目』の分類に従って排列しています。1828(文政11)年に全96巻(92冊)が完成し、予約配布方式で1830(天保元)年に配布を開始、最初の4冊は木版本、残り88冊は手書きで作成して、灌園没後の1844(弘化元)年に配布を終えました。
『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2には「マムシグサ」と「ヘビノダイハチ」は別々に紹介されています。
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
まむしさう 漢名 蛇頭草
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
へびのだいはち
▲『本草図譜』第3冊 巻22毒草類2(国立国会図書館蔵)
いずれの本も、絵がとってもよくて、眺めているだけで楽しいです。
参考文献:
『草木図説前編 草部』(飯沼慾斎[他]/著 出雲寺文治郎[ほか12名]/出版 1856(安政3))(国立国会図書館蔵)
『本草図譜』(岩崎常正(潅園)/著)(巻5〜10 須原屋茂兵衛、山城屋佐兵衛/刊 1830(文政13) )(巻11〜96 筆彩の写本)(国立国会図書館蔵)
※いずれも国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
※『本草図譜』巻1〜4は、国立国会図書館デジタルコレクションでは抜けていますが、国立公文書館デジタルアーカイブで閲覧できます。