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こどもと本ジョイントネット21・山口


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色あひよく花房長くさきたる藤の花 松にかかりたる @ フジA [2020年05月06日(Wed)]
【前回の続き】

平安時代になると藤花の宴(とうかのえん)が催され、寝殿式庭園では、中庭のマツの木に絡ませてフジを鑑賞するのが流行りました。

清少納言『枕草子』の第39(42)段あてなるもの(上品なもの)の一つに「藤の花」を挙げています。
第34(37)段木の花はでも

藤の花は しなひ長く 色濃く咲きたる いとめでたし

「藤の花は、しなやかに曲がって垂れている花房が長く、色が濃く咲いているのが、たいそう素晴らしい。」と書いています。

第84(88)段では、めでたきものとして

色あひよく花房長くさきたる藤の花 松にかかりたる

「素晴らしいもの一つに、色合いに深みがあって、花房(はなぶさ)が長く咲いた藤の花が松にかかっている景色」を挙げています。


『春日権現験記』(板橋貫雄/模写 1870(明治3) 国立国会図書館蔵)第5軸にマツに絡まるフジが描かれています。
春日権現験記絵巻第5巻17 (2).png 春日権現験記絵巻第5巻17 (4).png

『春日権現験記』(かすがごんげんげんき)は、藤原氏の氏神である春日神(春日権現)の霊験を描いた鎌倉時代の絵巻物です。1309(延慶2)年に時の左大臣 西園寺公衡の発案で、宮廷絵所の長 高階隆兼によって描かれ、春日大社に奉納されました。
こちらは『春日権現験記』が奉納された春日大社。
IMG_2252.JPG IMG_2255.JPG

4月中旬だったのでフジは咲いていませんでしたちっ(怒った顔)
IMG_2256.JPG

いやいや、よく見ると咲いています揺れるハート
IMG_2256 (2).JPG IMG_2256 (3).JPG
▲以上5枚、2016年4月12日撮影


紫式部『源氏物語』でも、フジの花が登場する場面はいくつかあります。
第三十三帖「藤裏葉」では、藤花の宴がとりあげられています。
雲居の雁の父の内大臣は、藤花の宴に夕霧を招待し、相思相愛の二人の結婚を許します。

藤の花の枝に付けた内大臣から夕霧への贈歌。
わが宿の藤の色濃きたそかれに 尋ねやは来ぬ春の名残を
 わが家の藤の花の色が濃い夕暮れに訪ねていらっしゃいませんか、逝く春の名残を惜しみに。

※『和漢朗詠集』上巻「春」「三月尽」
惆悵す春帰って留むることを得ざることを紫藤の花の下に漸く黄昏たり

※白居易「三月三十日題慈恩寺」
慈恩春色今朝盡  慈恩の春色(しゅんしょく) 今朝(こんてう)尽く
盡日裴回倚寺門  尽日(じんじつ)徘徊(はいくゎい)して寺門(じもん)に倚(よ)る
惆悵春歸留不得  惆悵(ちうちゃう)す 春帰りて留め得ざるを
紫藤花下漸黄昏  紫藤(しとう)花下(かか) 漸(やうや)く黄昏(こうこん)

宰相中将(夕霧)の返歌。
なかなかに折りやまどはむ藤の花 たそかれ時のたどたどしくは
 かえって藤の花を折るのにまごつくのではないでしょうか、黄昏時のはっきりしない頃では。
 「(花を)折る」には結婚する、の意

内大臣の詞。
『後撰集』巻三「春下」一〇〇、読人しらず
春日さす藤のうら葉のうちとけて君し思はばわれも頼まん

内大臣の夕霧への贈歌。
紫にかことはかけむ藤の花 まつより過ぎてうれたけれども
 紫のせいにしましょう、藤が松の木を超えるほど(貴方の結婚申し込みを)待ち過ぎてしまったことはつらいことでしたが。
 「紫」は雲居雁をさす。
 「まつ」に「松」と「待つ」、
 「憂(う)れ」(つらいこと)に「末(うれ)」(木の枝の先端)を懸ける。
 「藤」と「末」は縁語。

頭中将(柏木)歌。
たをやめの袖にまがへる藤の花 見る人からや色もまさらむ
 うら若い女性の袖に見違える藤の花は、見る人の立派なためかいっそう美しさもまさることでしょう。

(略)この花のひとり立ち後れて 夏に咲きかかるほどなむ あやしう心にくくあはれにおぼえはべる 色もはた なつかしきゆかりにしつべし(略)
 藤の花だけが一歩遅れて、夏にまたがって咲くという点でいいものだと心が惹かれて、私はこの花を愛するのですよ。色だって人の深い愛情を象徴しているようでいいものだから(与謝野晶子訳)

(略)まだほのかなる梢どもの、さうざうしきころなるに、いたうけしきばみ横たはれる松の、木高きほどにはあらぬに、かかれるのさま、世の常ならずおもしろし。(略)
 春の花が皆散ったあとで若葉もありなしの木の梢の寂しいこのごろに、横が長く出た松の、たいして大木でないのへ咲きかかった藤の花は非常に美しかった。(与謝野晶子訳)


【次回に続く】
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