中原中也没後82年 中也忌 墓前祭に参加しました
[2019年10月23日(Wed)]
10月22日(火)は中原中也の82回目の命日です。

中原中也は1937(昭和12)年10月22日、30歳の若さで亡くなりました。
第二詩集『在りし日の歌』のための清書原稿を友人 小林秀雄に託し、故郷 山口に引き揚げる目前のことでした。

中也の眠る経塚墓地の「中原家累代之墓」での墓前祭に参加しました

中也の詩「蝉」にはこの墓地や吉敷川の風景がうたわれています。
蝉
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!
うつらうつらと僕はする
……風もある……
松林を透いて空が見える
うつらうつらと僕はする。
『いいや、さうぢやない、さうぢやない!』と彼が云ふ
『ちがつてゐるよ』と僕がいふ
『いいや、いいや!』と彼が云ふ
『ちがつてゐるよ』と僕が云ふ
と、目が覚める、と、彼はもうとつくに死んだ奴(やつ)なんだ
それから彼の永眠してゐる、墓場のことなぞ目に浮ぶ……
それは中国のとある田舎(ゐなか)の、水無河原(みづなしがはら)といふ
雨の日のほか水のない
伝説付の川のほとり、
藪蔭の砂土帯の小さな墓場、
――そこにも蝉は鳴いてゐるだろ
チラチラ夕陽も射してゐるだろ……
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかなんにもない!
僕の怠惰? 僕は『怠惰』か?
僕は僕を何とも思はぬ!
まず福田百合子名誉館長のお言葉がありました。

中原豊館長の進行で墓前祭は執り行われました。

来館者より寄せられた「中也へのメッセージ」を渡辺副館長がお供えしました。

参加者一人ひとりが献花しました。

参加者全員で「一つのメルヘン」を朗読しました。

一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
最後に館長よりお話があり、墓前祭はつつがなく終わりました。
10月末というにはとても暑い日で、山口市は最高気温26.3℃ありました。
吉敷大橋から見た「一つのメルヘン」「蝉」「骨」の舞台 吉敷川です。
右側のマイクロバスが乗ってきたバス。
その奥に経塚墓地があります。

墓前祭のパンフレットです。

中原中也は1937(昭和12)年10月22日、30歳の若さで亡くなりました。
第二詩集『在りし日の歌』のための清書原稿を友人 小林秀雄に託し、故郷 山口に引き揚げる目前のことでした。

中也の眠る経塚墓地の「中原家累代之墓」での墓前祭に参加しました


中也の詩「蝉」にはこの墓地や吉敷川の風景がうたわれています。
蝉
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかになんにもない!
うつらうつらと僕はする
……風もある……
松林を透いて空が見える
うつらうつらと僕はする。
『いいや、さうぢやない、さうぢやない!』と彼が云ふ
『ちがつてゐるよ』と僕がいふ
『いいや、いいや!』と彼が云ふ
『ちがつてゐるよ』と僕が云ふ
と、目が覚める、と、彼はもうとつくに死んだ奴(やつ)なんだ
それから彼の永眠してゐる、墓場のことなぞ目に浮ぶ……
それは中国のとある田舎(ゐなか)の、水無河原(みづなしがはら)といふ
雨の日のほか水のない
伝説付の川のほとり、
藪蔭の砂土帯の小さな墓場、
――そこにも蝉は鳴いてゐるだろ
チラチラ夕陽も射してゐるだろ……
蝉が鳴いてゐる、蝉が鳴いてゐる
蝉が鳴いてゐるほかなんにもない!
僕の怠惰? 僕は『怠惰』か?
僕は僕を何とも思はぬ!
まず福田百合子名誉館長のお言葉がありました。

中原豊館長の進行で墓前祭は執り行われました。

来館者より寄せられた「中也へのメッセージ」を渡辺副館長がお供えしました。


参加者一人ひとりが献花しました。



参加者全員で「一つのメルヘン」を朗読しました。

一つのメルヘン
秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
最後に館長よりお話があり、墓前祭はつつがなく終わりました。
10月末というにはとても暑い日で、山口市は最高気温26.3℃ありました。
吉敷大橋から見た「一つのメルヘン」「蝉」「骨」の舞台 吉敷川です。
右側のマイクロバスが乗ってきたバス。
その奥に経塚墓地があります。

墓前祭のパンフレットです。

