シランが花盛りです
[2020年05月29日(Fri)]
シランはランの中ではとてもポピュラーで、鮮やかな赤紫色で春を彩る花の一つですが、我が家にはありませんでした。
そのシランを4本いただき、枯れてはいけない、と別々の場所に2本ずつ植え、その一つに今年やっと花がつきました

維新記念公園(5月1日)に行ってみると、あちこちで咲き誇っていました。
維新記念公園はシランの名所です

花が紫色の蘭ということから紫蘭(シラン)という名前がついたようです。
別名は、ベニラン(紅蘭)、シュラン(朱蘭)、シケイ(紫宦jといいます。

国立東京国立博物館が所蔵する重要文化財に紙本墨画「蘭專ッ芳図」というのがあります。
南北朝時代に、建仁寺や南禅寺の住持をつとめた名僧 玉畹梵芳(ぎょくえんぼんぽう)(1348〜1424)が描いたものです。
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▲「蘭專ッ芳図」(玉畹梵芳/筆)(国立東京国立博物館蔵)
「蘭專ッ芳」は、蘭と宸ェともによい香りを発するので、優れた人徳のたとえに用いられることに由来します。
この宸ェ、シランのことです。
日本最古の漢詩集『懐風藻』(751(天平勝宝3))の「暮春於弟園池置酒」(従三位兵部卿兼左右京大夫藤原朝臣万里〈藤原麻呂〉)に
絃歌迭奏、蘭專ッ欣
絃歌迭奏し、蘭專ッじく欣ぶ
とあります。
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▲「藤原朝臣麻呂」(『前賢故実 巻第2』(菊池容斎 (武保)/著 雲水無尽庵 明1)(国立国会図書館蔵)
万葉集には「(けい)」という名で登場します
ただ、歌の中には読み込まれていませんが、
巻17ー3967,3968の題詞にあります。
![[曼朱院本]萬葉集 巻17-3967,3968 (2).jpg](/jointnet21/img/5BE69BBCE69CB1E999A2E69CAC5DE890ACE89189E99B8620E5B7BB17-39672C396820(2)-thumbnail2.jpg)
▲『[曼朱院本]萬葉集』巻17-3967,3968(京都大学附属図書館蔵)
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▲『万葉集』巻17-3967,3968(清水浜臣 国立国会図書館蔵)
忽辱芳音翰苑凌雲 兼垂倭詩詞林舒錦 以吟以詠能蠲戀緒春可樂 暮春風景最可怜 紅桃灼々戯蝶廻花儛 翠柳依々嬌鴬隠葉歌 可樂哉 淡交促席得意忘言 樂矣美矣 幽襟足賞哉豈慮乎蘭隔藂琴趨ウ用 空過令節物色軽人乎 所怨有此不能黙已 俗語云以藤續錦 聊擬談咲耳
『畫本野山草』(橘保国/作)には「紫宦@しらん シケイ」という名前で載っています。
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▲『畫本野山草』巻1「紫宦v(国立国会図書館蔵)
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▲『畫本野山草』巻1「志らん」(国立国会図書館蔵)
塊茎を漢方で白及(びゃっきゅう)といい止血薬にします。
維新記念公園のシランは5月27日現在は殆ど刈り取られていていました。葉もとてもいいのに残念です
参考文献:
「蘭專ッ芳図」(玉畹梵芳/筆)
※東京国立博物館「研究情報アーカイブズ」でインターネット公開されています。
『[曼朱院本]萬葉集』
※京都大学貴重資料デジタルアーカイブでインターネット公開されています。
『前賢故実』(菊池容斎 (武保)/著 雲水無尽庵 明1)
『万葉集』(清水浜臣)
『畫本野山草』
※以上3点は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
そのシランを4本いただき、枯れてはいけない、と別々の場所に2本ずつ植え、その一つに今年やっと花がつきました


維新記念公園(5月1日)に行ってみると、あちこちで咲き誇っていました。
維新記念公園はシランの名所です


花が紫色の蘭ということから紫蘭(シラン)という名前がついたようです。
別名は、ベニラン(紅蘭)、シュラン(朱蘭)、シケイ(紫宦jといいます。

国立東京国立博物館が所蔵する重要文化財に紙本墨画「蘭專ッ芳図」というのがあります。
南北朝時代に、建仁寺や南禅寺の住持をつとめた名僧 玉畹梵芳(ぎょくえんぼんぽう)(1348〜1424)が描いたものです。
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▲「蘭專ッ芳図」(玉畹梵芳/筆)(国立東京国立博物館蔵)
「蘭專ッ芳」は、蘭と宸ェともによい香りを発するので、優れた人徳のたとえに用いられることに由来します。
この宸ェ、シランのことです。
日本最古の漢詩集『懐風藻』(751(天平勝宝3))の「暮春於弟園池置酒」(従三位兵部卿兼左右京大夫藤原朝臣万里〈藤原麻呂〉)に
絃歌迭奏、蘭專ッ欣
絃歌迭奏し、蘭專ッじく欣ぶ
とあります。
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▲「藤原朝臣麻呂」(『前賢故実 巻第2』(菊池容斎 (武保)/著 雲水無尽庵 明1)(国立国会図書館蔵)
万葉集には「(けい)」という名で登場します

ただ、歌の中には読み込まれていませんが、
巻17ー3967,3968の題詞にあります。
![[曼朱院本]萬葉集 巻17-3967,3968 (2).jpg](/jointnet21/img/5BE69BBCE69CB1E999A2E69CAC5DE890ACE89189E99B8620E5B7BB17-39672C396820(2)-thumbnail2.jpg)
▲『[曼朱院本]萬葉集』巻17-3967,3968(京都大学附属図書館蔵)
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▲『万葉集』巻17-3967,3968(清水浜臣 国立国会図書館蔵)
忽辱芳音翰苑凌雲 兼垂倭詩詞林舒錦 以吟以詠能蠲戀緒春可樂 暮春風景最可怜 紅桃灼々戯蝶廻花儛 翠柳依々嬌鴬隠葉歌 可樂哉 淡交促席得意忘言 樂矣美矣 幽襟足賞哉豈慮乎蘭隔藂琴趨ウ用 空過令節物色軽人乎 所怨有此不能黙已 俗語云以藤續錦 聊擬談咲耳
『畫本野山草』(橘保国/作)には「紫宦@しらん シケイ」という名前で載っています。
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▲『畫本野山草』巻1「紫宦v(国立国会図書館蔵)
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▲『畫本野山草』巻1「志らん」(国立国会図書館蔵)
塊茎を漢方で白及(びゃっきゅう)といい止血薬にします。
維新記念公園のシランは5月27日現在は殆ど刈り取られていていました。葉もとてもいいのに残念です

参考文献:
「蘭專ッ芳図」(玉畹梵芳/筆)
※東京国立博物館「研究情報アーカイブズ」でインターネット公開されています。
『[曼朱院本]萬葉集』
※京都大学貴重資料デジタルアーカイブでインターネット公開されています。
『前賢故実』(菊池容斎 (武保)/著 雲水無尽庵 明1)
『万葉集』(清水浜臣)
『畫本野山草』
※以上3点は国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。