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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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「企画展I「〈汽車が速いのはよろしい〉― 中也の詩と乗り物」を見学しました [2020年06月16日(Tue)]
新型コロナウイルスの影響で休館していた山口市の中原中也記念館は、5月19日から再開し、これに合わせて企画展I「〈汽車が速いのはよろしい〉― 中也の詩と乗り物」を1か月余り遅れて開催しています。
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そこで、6月11日(木)、四ヶ月ぶりに中原中也記念館に行きましたぴかぴか(新しい)


1Fは第17回テーマ展示「教科書で読んだ中也の詩 ― 思い出の一篇」でしたが、こちらは2月15日に見学させていただいています。
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今日のお目当てはこちら揺れるハート
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2F会場内は、鉄道や自動車、汽船、飛行機の4つの乗り物を題材にした中也の日記や作品のレプリカなど25点が展示されていて、昭和初期の交通事情や当時の中也の思いに触れられるものになっています。

中也は、「汽車が速いのはよろしい、許す!」などとしながらも、「其(そ)の他はもう、我慢がならぬ」とか、「音のないのを発明せい」などと、発展を続ける交通技術への心情をつづっています。

(嘗てはランプを、とぼしていたものなんです)

かつてはラムプを、とぼしてゐたものなんです。
今もう電燈でんきの、ない所は殆どない。
電燈もないやうな、しづかな村に、
旅をしたいと、僕は思ふけれど、
却々[なかなか]それも、六ヶ敷[むつかし]いことなんです。
[ああ]、科学……
こいつが俺には、どうも気に食はぬ。
ひどく愚鈍な奴等までもが、
科学ときけばにつこりするが、
奴等にや精神こころの、何事も分らぬから、
科学とさへ聞きや、につこりするのだ。
汽車が速いのはよろしい、許す!
汽船が速いのはよろしい、許す!
飛行機が速いのはよろしい、許す!
電信、電話、許す!
其の他はもう、我慢がならぬ。
知識はすべて、惡魔であるぞ。
やんがて貴様等にも、そのことが分る。
エエイツ、うるさいではないか電車自働車と、
ガタガタゞゞゞゞ、朝から晩まで。
いつそ音のせぬのを發明せい、
音はどうも、やりきれぬぞ。
エエイツ、音のないのを發明せい、
音のするのは、みな叩き潰[つぶ]せい!



展示されていた日記には、妻や幼い息子と一緒に山口から上京するときの様子が詳しくつづられていて、寝台列車などを乗り継ぎ長時間かけて移動していた当時の交通事情が分かります。


中也は「音鉄(オトテツ)」ではないか、という取り上げ方はとても興味深かったです。
中也の生まれ育った湯田温泉の中原医院からは汽車の汽笛が聞こえていたそうです。

汽車の笛聞こえもくれば
旅おもひ、幼き日をばおもふなり
いなよいなよ、幼き日をも旅をも思はず
旅とみえ、幼き日とみゆものをのみ……

   「羊の歌  安原喜弘に」より

遠い遠い物音を
多分は汽車の汽笛の音に
頼みをかけるよな心持

   「朝(雀の声が鳴きました)」より

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。

   「夏の日の歌」より

瀝青チャン色の空があった。
一と手切ちぎりの煙があった。
電車の音はドレスデン製の磁器を想わせた。
私は歩いていた、私の膝は櫟材くぬぎざいだった。

   「脱毛の秋 Etudes」より

中原中也記念館の中庭はJR山口線をイメージした枕木を敷き詰めてありますので、そちらもお見逃しなく。
IMG_9928 - コピー (2).JPG2020年3月撮影


飛行機は、中原思郎『兄中原中也と祖先たち』より
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▲『兄中原中也と祖先たち』(中原思郎/著 審美社)

中也が歩兵第42聯隊に飛行機を見に行ったときのエピソードが紹介され、
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▲歩兵第四十二聯隊之碑(陸上自衛隊山口駐屯地)

「逝く夏の歌」が展示してありました。

逝く夏の歌 

並木の梢が深く息を吸つて、
空は高く高く、それを見てゐた。
日の照る砂地に落ちてゐた硝子ガラスを、
歩み来た旅人は周章あわてて見付けた。

山の端は、澄んで澄んで、
金魚や娘の口の中を清くする。
飛んでくるあの飛行機には、
昨日私が昆虫の涙を塗つておいた。

風はリボンを空に送り、
私は嘗かつて陥落した海のことを 
その浪のことを語らうと思ふ。

騎兵聯隊や上肢の運動や、
下級官吏の赤靴のことや、
山沿ひの道を乗手のりてもなく行く
自転車のことを語らうと思ふ。


「昆虫の涙」ってどんなのだろう、とこの詩を読む度に思います。
クチナシの花がきれいでした。
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