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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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ウラシマソウ × 恩地孝四郎『博物志』 [2020年05月15日(Fri)]
林の中を歩いていたら、ウラシマソウに出合いましたぴかぴか(新しい)

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恩地孝四郎『博物志』(玄光社 1942)(国立国会図書館蔵)P22〜23に「ウラシマソウ」について書いています。
恩地孝四郎は、装丁家としても版画家としても大好きですわーい(嬉しい顔)
この『博物志』は自身が自分の古風なカメラで動植物を接写し、それに詩的エッセイを添えた随筆・写真集です。

同じ雑草組のY君が、どうも僕の趣味は陰性だというふ。変わった形の花などはとかく陰地に多いので、自然僕の場合はそうなるらしいのだが、僕の雑草採集を積極的にしたのは、このウラシマソウが口あけなのだから、それも致し方ない。(略)なかでもこのウラシマソウが一番怪奇である。花弁のように位してゐる苞は、どぎつい紫紺で、花柱の先端は延びて長い糸となって、ゆらゆらと垂れている。釣糸を垂れているようなので、かくは浦島と、童話人物の名をもらってゐるが、仮に童話的だとしても、ドイツあたりのゑごい童話味だ。日本の明るさや淡白さではない。陰の濃い湿地の森のなかなどに、ずらりとこの花が生えて並んでゐると、一寸うす気味悪い。妖気が漂ってゐる。しかし、僕はこの花はきらひではない。妖気もわるくはないが、その強い色や大まかな形がいい。一茎一花、明晰でいい。菊なんかのようにくしやくしやしてなくていい。(略)

博物志 ウラシマソウ 恩地孝四郎 (3).png『博物志』(国立国会図書館蔵)より

『博物志』のP13には、「ウラシマソウ」の写真がもう一つあります。
博物志 ウラシマソウ芽 恩地孝四郎 (2).png『博物志』(国立国会図書館蔵)より

芽といふもの、即ちその草一生の縮壓されたその予告的な姿を包蔵している様態、それが一本の形で収められてゐる点で甚だ典型的である。一旦被苞が割れた時には、既に葉も花もさりつと畳まれた姿を見せる。何か動物の軀体でもみるようだ。芽出しには先細りの水々しい棒。まつすぐにつつたつて来る。その狭い包のなかに誠に規帳面に、よく折り畳まれて収まつてゐる。仲間の天南星科の草草、テンナンショウ、マムシグサ、ムサシアブミなどみな同様であるが、浦島草は花の先が長い糸を成してゐるだけに一層趣きが深い。うまい具合にその長い糸が美しい曲線で畳まれてゐる。
冬の湿つた土は黒い。そこからしらじらと生まれ出て来るこの芽にはいつもはつとする。


こちらは昨年撮ったマムシグサの写真です。
きれいに折り畳まれた芽が開いていく様子はとても面白いです。
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『博物志』は昭和17年というまさに戦時下に発行されています。

心の文化を伴わない文明は不具であり、不健全でありやがては病弊を以つて倒れるべき運命にある。


参考文献:
『博物志』(恩地孝四郎/作 玄光社 1942)
  ※国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。



1994年横浜美術館の「開館5周年記念展 恩地孝四郎 色と形の詩人」に行ったのですが、すばらしかったです。
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