中原中也 ― 詩に描かれた女性像 ― @ 山口市男女共同参画センター
[2019年09月19日(Thu)]
中原中也記念館の中原豊館長による中也の詩を違う視点で読む講演会「中原中也 ― 詩に描かれた女性像 ― 」が、10月5日(土)、山口市男女共同参画センターで開催されます

母、恋人、妻・・・中也の作品のなかにどんな女性像を読み取ることができるでしょうか?
少し違った視点から中也の詩を読む講演会です。
日 時
2019年10月5日(土)13:30~15:30
第1回は8月31日に実施 ※1回のみの参加も可
場 所
山口市男女共同参画センター ゆめぽぽら
山口市中央2-5-1 山口市民会館事務所2F
講 師
中原豊(中原中也記念館館長)
対 象
誰でも ※要予約
参加費
無料
託 児
無料(6ケ月〜未就学児。3日前までに要予約)
申 込
名前と連絡先を添え、電話、FAX、メールで山口市男女共同参画センターへ
&
083-934-2841
mw3kaku@c-able.ne.jp
問 合
山口市男女共同参画センター
主 催
山口市男女共同参画センター
今、中原中也記念館では、特別企画展「富永太郎と中原中也」を開催しています。
そこで、中也の恋人 長谷川泰子を詠ったといわれる「盲目の秋」 が掲載されている『山羊の歌』と中也の創作ノート「ノート小年」の「女よ」の頁が展示してあります。
そちらの方も、どうぞ。9月23日までです。
盲目の秋
V
私の聖母《サンタ・マリヤ》!
とにかく私は血を吐いた!……
おまへが情けをうけてくれないので、
とにかく私はまゐつてしまつた……
それといふのも私が素直でなかつたからでもあるが、
それといふのも私に意気地がなかつたからでもあるが、
私がおまへを愛することがごく自然だつたので、
おまへもわたしを愛してゐたのだが……
おゝ! 私の聖母《サンタ・マリヤ》!
いまさらどうしやうもないことではあるが、
せめてこれだけ知るがいい──
ごく自然に、だが自然に愛せるといふことは、
そんなにたびたびあることでなく、
そしてこのことを知ることが、さう誰にでも許されてはゐないのだ。
女よ
女よ、美しいものよ、私の許にやつておいでよ。
笑ひでもせよ、嘆きでも、愛らしいものよ。
妙に大人ぶるかと思ふと、すぐまた子供になつてしまふ
女よ、そのくだらない可愛いい夢のままに、
私の許にやつておいで。嘆きでも、笑ひでもせよ。
どんなに私がおまへを愛すか、
それはおまへにわかりはしない。けれどもだ、
さあ、やつておいでよ、奇麗な無知よ、
おまへにわからぬ私の悲愁は、
おまへを愛すに、かへつてすばらしいこまやかさとはなるのです。
さて、そのこまやかさが何處からくるともしらないおまへは、
欣び甘え、しばらくは、仔猫のやうにも戯《じゃ》れるのだが、
やがてもそれに飽いてしまふと、そのこまやかさのゆゑに
却ておまへは憎みだしたり疑ひ出したり、つひに私に叛くやうにさへもなるのだ、
おゝ、忘恩なものよ、可愛いいものよ、おゝ、可愛いいものよ、忘恩なものよ!
(一九二八・一二・一八)


母、恋人、妻・・・中也の作品のなかにどんな女性像を読み取ることができるでしょうか?
少し違った視点から中也の詩を読む講演会です。


第1回は8月31日に実施 ※1回のみの参加も可


山口市中央2-5-1 山口市民会館事務所2F

















今、中原中也記念館では、特別企画展「富永太郎と中原中也」を開催しています。
そこで、中也の恋人 長谷川泰子を詠ったといわれる「盲目の秋」 が掲載されている『山羊の歌』と中也の創作ノート「ノート小年」の「女よ」の頁が展示してあります。
そちらの方も、どうぞ。9月23日までです。
盲目の秋
V
私の聖母《サンタ・マリヤ》!
とにかく私は血を吐いた!……
おまへが情けをうけてくれないので、
とにかく私はまゐつてしまつた……
それといふのも私が素直でなかつたからでもあるが、
それといふのも私に意気地がなかつたからでもあるが、
私がおまへを愛することがごく自然だつたので、
おまへもわたしを愛してゐたのだが……
おゝ! 私の聖母《サンタ・マリヤ》!
いまさらどうしやうもないことではあるが、
せめてこれだけ知るがいい──
ごく自然に、だが自然に愛せるといふことは、
そんなにたびたびあることでなく、
そしてこのことを知ることが、さう誰にでも許されてはゐないのだ。
女よ
女よ、美しいものよ、私の許にやつておいでよ。
笑ひでもせよ、嘆きでも、愛らしいものよ。
妙に大人ぶるかと思ふと、すぐまた子供になつてしまふ
女よ、そのくだらない可愛いい夢のままに、
私の許にやつておいで。嘆きでも、笑ひでもせよ。
どんなに私がおまへを愛すか、
それはおまへにわかりはしない。けれどもだ、
さあ、やつておいでよ、奇麗な無知よ、
おまへにわからぬ私の悲愁は、
おまへを愛すに、かへつてすばらしいこまやかさとはなるのです。
さて、そのこまやかさが何處からくるともしらないおまへは、
欣び甘え、しばらくは、仔猫のやうにも戯《じゃ》れるのだが、
やがてもそれに飽いてしまふと、そのこまやかさのゆゑに
却ておまへは憎みだしたり疑ひ出したり、つひに私に叛くやうにさへもなるのだ、
おゝ、忘恩なものよ、可愛いいものよ、おゝ、可愛いいものよ、忘恩なものよ!
(一九二八・一二・一八)

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