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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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石川えりこさん『ベッシーちゃん』トーク・サイン会に参加しました(2) [2026年09月04日(Fri)]
【前回より続く】

God be with you till we meet again;
By his counsels guide, uphold you;

With his sheep securely fold you.
God be with you till we meet again.

Till we meet, till we meet,
till we meet at Jesus’ feet,

Till we meet, till we meet,
God be with you till we meet again.


冒頭の英語の歌は、お別れの時によく歌われる賛美歌だそうで、日本語でしたが、会場の方が歌ってくださり、石川さんが絵本『ベッシーちゃん』を読んでくださいました。

どうして、おばあちゃんが英語の歌を歌うことができるのか、
以前、石川さんよりおばあちゃんがカナダ移民の子として生まれたというお話を聴いていたのですが、今日は、おばあちゃんとの関係性、絵本にするにあたって調べたこと、カナダにも2度行ったこと、などなどたくさんのことをお伺いすることができました。

カナダのバンクーバーでカナダ移民の子として生まれ育ったベッシ―ちゃん。
カナダで日本語を封印して生きてきた「沈黙の二世」と呼ばれた人々の一人です。
幼い頃(絵本では8歳としています)、日本で学ぶために日本へやってきました。
カナダから来たこと、今度は自分の言語は英語であったことを封印し、日本に馴染もうとどれだけの苦労をしたのか、想像しながら、おばあちゃんのアイデンティティを考えながら、この物語を作られました。

日本に来て日本語を学んだおばあちゃんの話す言葉は古い筑豊弁で、中学校で英語を学び始めた石川さんの発音を訂正してくださったそうです。

本のデザインはいつものタカハシデザイン室の高橋さんだそうで、
「カバーのデザインとカバーを外した時の絵本の顔が違います。こんな遊びを必ずして下さるのが高橋さん!」
と、カバーを外して示されました。

KIMG0228(1).JPG


原画と絵本についてもお話くださいました。
ベッシ―ちゃんの着ているオレンジのコート。
原画と絵本では随分色が違いますが、絵本として出来上がった時を想定して色を入れているとのことです。だから絵本の色こそが、作者である石川さんの出したい色なんです!

また、敢えて、絵本の画面中央に顔の真ん中がきています。
初めて行く日本への不安、じっと我慢している気持ち、いろんなことが読み取れる大事な絵で、目や口元からそれらがしっかり伝わってきます。
私自身、子どもたちに絵本作りを指導する時、大切なものは中央に描かず少し中央から外すように指導していました。
石川さんは、深い想いがあってセオリーを破られました。

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この絵本を制作の上で大きな力となった 立命館大学の河原典史教授のお話もとても有意義でした。
河原先生はカナダ日系人史を研究していらっしゃり、妻夫木聡主演映画『バンクーバーの朝日』の製作にあたり、資料提供やパンフレットの解説執筆、宣伝番組の監修などに携わられました。ただ、「先生、ドキュメンタリー番組じゃないんだから」とスタッフから言われたことも……。確かにエンタメと史実のすり合わせは難しいですよね。

石川さんが、河原教授の『カナダ日本人移民の子供たち ―東宮殿下御渡欧記念・邦人児童写真帖―』を手にし、

『カナダ日本人移民の子供たち ―東宮殿下御渡欧記念・邦人児童写真帖―』
(河原典史/編著 三人社 2017.2)
カナダ日本人移民の子供たち ー東宮殿下御渡欧記念・邦人児童写真帖ー.jpg
https://3nin.jp/wp-content/uploads/2017/10/canada_immigrants.pdf

河原教授に連絡されました。

おばあちゃんの旧姓の「宮崎」や本籍地の「碓井」から、   
クリーニング店を経営していたこと
おばあちゃんのお兄さんは、映画『バンクーバーの朝日』で知られる日系二世野球チーム「朝日軍」の監督をしていたハリー宮崎さんであること
など突き止められました。

IMG_E7859.JPG

当時財をなした日本移民の間では子どもを日本へ「留学」させることがトレンドだったとのこと
ベッシーちゃんは、横浜港に着き、その後はおそらく神戸のメリケン波止場を経て筑豊へ行っただろうこと
バンクバーには戦前は日本人街があったけれど、戦時中に財産を没収され強制収容所に入れられため、戦後はその街に帰って来ることはほとんどなかったこと
など、たくさんのことを教えてくださいました。

KIMG0229(1).JPG

ベッシ―ちゃんを三つ編みにしたこと
カナダの宮崎家の食卓シーンでケチャップが“瓶”に入っていること
バンクーバーの湾を描いたこと
最後のシーンで「ただいま―!」とベッシ―ちゃんが言って日本人街に帰って来るところ
そこに煙突のある建物を描いたこと
など、とてもいい、と言われていました。

KIMG0223(1).JPG



この絵本の完成まで7年間伴走された フリー編集者の細江幸世さんのお話もとても貴重でした。
ダミー本や完成見本なども見せてくださいました。

KIMG0226(1).JPG

ベッシーちゃんの孫の名前を「えりこちゃん」ではなく「なおちゃん」としたのも細江さんのアドバイスです。

KIMG0225(1).JPG

『とねりこ通り三丁目ねこのこふじさん』も細江さんの編集で、こふじさんという名前はえりこさんのおばあちゃん「ふじ」さんと共通していて、所々に「ベッシーちゃん」のエピソードが描かれているとのことなので、必読(見)です。

『とねりこ通り三丁目ねこのこふじさん』
(山本和子/作 石川えりこ/絵 アリス館 2019.6)
とねりこ通り三丁目ねこのこふじさん.jpg


絵本『ベッシーちゃん』には、中に河原典史先生との対談や、ベッシーちゃんがカナダでよくお母さんが作ってもらったという「ジャガイモバーグ」の簡単な作り方が書いてあるミニブック「ベッシーちゃんに出会うまで」が、挟み込まれているので、お得感があります。

トークに参加した私たちは「ベッシーちゃん」という石川さんが書かれたおばあちゃんへの深い思いの詰まったレポートもいただきました揺れるハート

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【次回に続く】
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