『金子みすゞ 南京玉 ― 娘ふさえ・三歳の言葉の記録』 @ 山口の朗読屋さんによる「ブックトーク + 朗読会(本を語り、自分を語る)」(1)
[2024年06月20日(Thu)]
5月26日(日)、大殿地域交流センターで、山口の朗読屋さんによる「ブックトーク + 朗読会(本を語り、自分を語る)」に参加しました
最近、周りでは、各自オススメ本や好きな本「推し本」を持ち寄って紹介しあう「推し本披露会」がよく行われています。
ブックトークとは、絵本や本の一部を見せたり読み上げたりしつつ、その本の魅力を伝え、その本を読みたいという気をおこさせるものです。
でも、山口の朗読屋さんでは一味違って、「参加者が本を持ち寄り、本について語り、自分を語る」というものです。
この日は、ブックトークで5冊の本の紹介がありました。
皆さんがされたブックトークの通りではありませんが、少しだけ紹介してみたい、と思います。
『金子みすゞ 南京玉 ― 娘ふさえ・三歳の言葉の記録』
(金子みすゞ・上村ふさえ/著 JULA出版局 2003.4)
金子みすゞ(1903(明治36).4.11〜1930(昭和5).3.10)は、夫 宮本啓喜(1926(大正15)年2月17日に結婚)に詩の投稿、詩人仲間との文通、詩作を禁じられた後、1929(昭和4)年10月頃から翌2月9日までの間、つまり服毒自殺をする1ケ月前まで、当時3歳だった愛児ふさえ(1926(大正15)年11月14日生まれ)の言葉を漏らさぬように一つ一つ「南京玉」と名づけた手帳に書きとめていきました。
手帳は、ふさえの手元に母の形見として遺され、実物よりほんの少し大きいA6サイズで、みすゞの生誕100周年に出版されました。
なんきんだまは、七色だ、一つ一つが愛らしい。
尊いものではないけれど、それを糸につなぐのは、私にはたのしい。
この子の言葉もそのやうに、一つ一つが愛らしい。
人にはなんでもないけれど、それを書いてゆくことは、私には、何ものにもかへがたい、たのしさだ。 (略)
と冒頭にあります。
発表された島田令子さんは、みすゞが大好きでよく朗読カフェなどでみすゞの詩を朗読されます。
みすゞと夫との関係などから、どうしてこの『南京玉』が生まれたのかについて話されました。
ただ5分間という時間は短くて、みすゞの母としての想いやふうちゃんの母への想いなどもっと話したいことがあったでしょうに、とても残念でした。
『南京玉』は
二月九日、止む。
このごろ房枝われと遊ばず、
われまたものうき事多くして、
一語をも録せざりし日々多し
という文章で終わります。
みすゞが遺書に
あなた(1930年2月27日離婚した元 夫のこと)がふうちゃんに与えられるものはお金であって,心の糧ではありません。私はふうちゃんを心の豊かな子に育てたいのです。だから,母ミチにあずけてほしいのです。
と遺した願いは叶えられ、ふさえは、父ではなく祖母に育てられ、やがて結婚して上村ふさえ(かみむら・ふさえ)となり、子・孫・ひ孫の成長を見届け、2022年9月29日、心不全のため逝去しました。享年95歳。
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参考文献
『童謡詩人 金子みすゞの生涯』(矢崎節夫/著 JULA出版局 1993)
【次回に続く】

最近、周りでは、各自オススメ本や好きな本「推し本」を持ち寄って紹介しあう「推し本披露会」がよく行われています。
ブックトークとは、絵本や本の一部を見せたり読み上げたりしつつ、その本の魅力を伝え、その本を読みたいという気をおこさせるものです。
でも、山口の朗読屋さんでは一味違って、「参加者が本を持ち寄り、本について語り、自分を語る」というものです。
この日は、ブックトークで5冊の本の紹介がありました。
皆さんがされたブックトークの通りではありませんが、少しだけ紹介してみたい、と思います。
『金子みすゞ 南京玉 ― 娘ふさえ・三歳の言葉の記録』
(金子みすゞ・上村ふさえ/著 JULA出版局 2003.4)
金子みすゞ(1903(明治36).4.11〜1930(昭和5).3.10)は、夫 宮本啓喜(1926(大正15)年2月17日に結婚)に詩の投稿、詩人仲間との文通、詩作を禁じられた後、1929(昭和4)年10月頃から翌2月9日までの間、つまり服毒自殺をする1ケ月前まで、当時3歳だった愛児ふさえ(1926(大正15)年11月14日生まれ)の言葉を漏らさぬように一つ一つ「南京玉」と名づけた手帳に書きとめていきました。
手帳は、ふさえの手元に母の形見として遺され、実物よりほんの少し大きいA6サイズで、みすゞの生誕100周年に出版されました。
なんきんだまは、七色だ、一つ一つが愛らしい。
尊いものではないけれど、それを糸につなぐのは、私にはたのしい。
この子の言葉もそのやうに、一つ一つが愛らしい。
人にはなんでもないけれど、それを書いてゆくことは、私には、何ものにもかへがたい、たのしさだ。 (略)
と冒頭にあります。
発表された島田令子さんは、みすゞが大好きでよく朗読カフェなどでみすゞの詩を朗読されます。
みすゞと夫との関係などから、どうしてこの『南京玉』が生まれたのかについて話されました。
ただ5分間という時間は短くて、みすゞの母としての想いやふうちゃんの母への想いなどもっと話したいことがあったでしょうに、とても残念でした。
『南京玉』は
二月九日、止む。
このごろ房枝われと遊ばず、
われまたものうき事多くして、
一語をも録せざりし日々多し
という文章で終わります。
みすゞが遺書に
あなた(1930年2月27日離婚した元 夫のこと)がふうちゃんに与えられるものはお金であって,心の糧ではありません。私はふうちゃんを心の豊かな子に育てたいのです。だから,母ミチにあずけてほしいのです。
と遺した願いは叶えられ、ふさえは、父ではなく祖母に育てられ、やがて結婚して上村ふさえ(かみむら・ふさえ)となり、子・孫・ひ孫の成長を見届け、2022年9月29日、心不全のため逝去しました。享年95歳。
参考文献
『童謡詩人 金子みすゞの生涯』(矢崎節夫/著 JULA出版局 1993)
【次回に続く】
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