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こどもと本ジョイントネット21・山口


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佐藤春夫「少年の日」 [2023年12月17日(Sun)]
前回の続き

佐藤春夫「少年の日」は、1921(大正10)年4月1日発行の『改造』第三巻第四号に「抒情詩鈔」の一編として「少年の戀」の標題で掲載されたのが初出です。


 少年の戀

 舊作、「少年の戀」小曲十數編あり。そのうち二つ三つ

  1

野ゆき山ゆき海邊ゆき、
眞ひるの丘べ花を敷き、
つぶら瞳の君ゆゑに
初こひの日のわがおもひ。

  2

影おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を戀ひ
あたたかき眞晝の丘べ
花を敷き、あはれ若き日。

  3

君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

  4 
     
君は夜な夜な毛糸編む
銀の編み棒に編む糸は
かぐろなる糸あかき糸
そのらんふ敷き誰がものぞ。



後に1922(大正11)年8月1日の発行の『新潮』第三七巻第二号に再掲載されました。
1921(大正10)年7月12日に新潮社より刊行された『殉情詩集』「晝の月」に収録されました。


 少年の日

  1

野ゆき山ゆき海邊ゆき
眞ひるの丘べ花を敷き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひはし空よりも。

  2

影おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を戀ひ
あたたかき眞晝の丘べ
花を敷き、あはれ若き日

  3

君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

  4 
     
君は夜な夜な毛糸編む
銀の編み棒に編む糸は
かぐろなる糸あかき糸
そのラムプ敷き誰がものぞ。



『定本 佐藤春夫全集 第1巻 詩歌1』(臨川書店 1995.3.10)P16で見ることができます。
赤字で記したのは、『ちくまの森』に収録されていた「少年の日」と違う箇所です。
このように。本によって異同があります。

佐藤春夫の生前に発行された『佐藤春夫詩集』(第一書房 1926(大正15).3.18)、『佐藤春夫詩集』(改訂増補版)(第一書房 大正15.6.20)、『佐藤春夫詩集』(普及版)(第一書房 昭和3.4.10)、『佐藤春夫全集 第二巻』(改造社 昭和7.1.18)、『佐藤春夫詩集』(袖珍版)(第一書房 昭和8.5.10)、『春夫詩鈔』(岩波書店 昭和11.3.30)、『遅日抄 佐藤春夫詩選』(文園社 昭和17.6.10)、『新編 佐藤春夫詩集』(地平社 昭和23.1.20)、『佐藤春夫詩集』(新潮社 昭和24.7.15)、『春夫全詩抄』(酣燈社 昭和25.3.10)、『増補 春夫詩鈔』(改訂増補版)(岩波書店 昭和25.10.10)、『佐藤春夫詩集』(新潮社 昭和26.3.25)、『佐藤春夫詩集真珠篇』(三笠書房 昭和27.1.10)、『定本 佐藤春夫全詩集』(創元社 昭和27.10.20)、『定本 佐藤春夫全詩集』(創元社 昭和27.11.15)、『抒情詩集・佐久の笛』(筑摩書房 昭和28.4.10)、『佐藤春夫詩集』(増補版)(新潮社 昭和28.5.20)、『自選 佐藤春夫全集 第一巻』(河出書房 昭和31.10.1)、『佐藤春夫詩集』(角川書店 昭和33.6.10)、『春夫詩抄』(改版)(岩波書店 昭和38.8.16)に「少年の日」は収録されていますが、本によって以下の違いがあります。

1 ⇒ 1 春
2 ⇒ 2 夏
あたたかき ⇒ なやましき
花を敷き、あはれ若き日。 ⇒ さしぐまる、赤き花にも。
3 ⇒ 3 秋
4 ⇒ 4 冬
編む ⇒ あむ


『佐藤春夫詩集』(第一書房 大正15)
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1172266/1/11
E1E741A2-EF3F-49A7-89BB-C13A9CC34680.jpeg24217E33-AA01-4FC4-9039-6A8597FE4B57.jpeg

 少年の日

  1
野ゆき山ゆき海邊ゆき
眞ひるの丘べ花を籍き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひはし空よりも。

  2
影おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を戀ひ
なやましき眞晝の丘べ
さしぐまる、赤き花にも。

  3
君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

  4  
君は夜な夜な毛絲あむ
銀の編み棒にあむ絲は
かぐろなる絲あかき絲
そのラムプ敷き誰がものぞ。



『遅日抄 : 佐藤春夫詩選』(文園社 1947(昭和17))
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1129165/1/21 
8BFAF497-814E-44C7-A864-ACBF91746E3A.jpegA05108BF-5889-4009-9804-BF036FB92CA8.jpeg                                    

 少年の日

  1 春
野ゆき山ゆき海邊ゆき
眞ひるの丘べ花を敷き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひはし空よりも。

  2 夏
影おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を戀ひ
なやましき眞晝の丘べ
さしぐまる、赤き花にも。

  3 秋
君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

  4 冬    
君は夜な夜な毛糸あむ
銀の編み棒にあむ糸は
かぐろなる絲あかき糸
そのラムプ敷き誰がものぞ。



『新編佐藤春夫詩集』(地平社 1948)
国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1708666/1/17
63E7F25F-B492-4C4D-8168-6CA09423182E.jpegAF2F505E-568A-4E4F-9DFF-9626EA24A196.jpeg

 少年の日

  1 春
野ゆき海邊ゆき
眞ひるの丘べ花を籍き
つぶら瞳の君ゆゑに
うれひはし空よりも。

  2 夏
蔭おほき林をたどり
夢ふかきみ瞳を戀ひ
なやましき眞晝の丘べ
さしぐまる、赤き花にも。

  3 秋
君が瞳はつぶらにて
君が心は知りがたし。
君をはなれて唯ひとり
月夜の海に石を投ぐ。

  4 冬    
君は夜な夜な毛絲編む
銀の編み棒に編む絲は
かぐろなる絲あかき絲
そのラムプ敷き誰がものぞ。



1957(昭和32)年10月20日から翌年の3月17日まで『朝日新聞』(夕刊)に144回にわたって連載され、後に大日本雄弁会講談社から普及版(1958.6)、特装版(1958.11)として発行された『わんぱく時代』(143)に、


「少年の日」という僕の詩は、―

 野ゆき山ゆき海べゆき
 真昼の丘べ花を籍き
 つぶら瞳の君ゆゑに
 うれひは青し空よりも

 影多き林をたどり
 夢ふかきみ瞳を恋ひ
 なやましき真昼の丘べ
 さしぐまる赤き花にも

 君が瞳はつぶらにて
 君が心は知りがたし
 君をはなれて唯ひとり
 月夜の海に石を投ぐ
 
 君は夜な夜な毛糸編む
 銀の編棒にあむ糸は
 か黒なる糸赤き糸
 そのラムプ敷き誰がものぞ
(以下略)


とあります。これは、『定本 佐藤春夫全集 第15巻 創作13』(臨川書店 2000.7.10)P286で読むことができます。

1963(昭和38)年1月4日から5月1日まで75回にわたって『読売新聞』(夕刊)に掲載され後に、読売新聞社から1963(昭和38)年8月に発行された『詩文半世紀』「序章 恋と文学」「「少年の日」に歌う」には、
 
 
(略)わたくしはまた時に家の裏山であった丹鶴城址から更に、山つづきや川べりに出たり王子浜に歩きまわったりして、自然の美のなかに鬱屈した心を慰めていた。わたくしの初期の詩の一つ「少年の日」は、こういう生活のなかにあって、ひとりで口ずさんだ断片的なものを数年後に、思い出して構成して推敲して成ったものである。
  野行き山行き海辺行き
  まひるの丘べ花を籍き
  つぶら瞳の君ゆゑに
  愁は青し空よりも
 わたくしのこの散歩には時にはほかの姉妹やその幼児たちのともなわれることもあった。そうして
  君が瞳はつぶらにて
  君が心は知りがたし
  君をはなれてただひとり
  月夜の海に石を投ぐ
 (略) 


とあります。『定本 佐藤春夫全集 第18巻 創作16・戯曲』(臨川書店 2000.12.10)P8で読むことができます。


次回に続く
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