正午
[2023年04月18日(Tue)]
4月22日(土)14:00〜、山口市大殿地域交流センターで、山口の朗読屋さん 春の朗読会「中原中也のリレー朗読」が開催されます
日時 2023年4月22日(土)14:00〜16:00
場所 山口市大殿地域交流センター 1F 講堂
山口市大殿大路120-4
プログラム
第一部
@サーカス
(岩崎久美代、福田百合子、
[アーサー・ビナード英訳]カテリーナ・オリハ、
[フランス語訳]ミシェル・ドゥ・ボアシュ)
A帰郷
(荒井佳恵)
B悲しき朝
(岩崎久美代、原田宏美、田村奈都江、岡村久美子)
C六月の雨
(田村奈都江、岡村久美子)
D宿酔
(田中範明)
E汚れっちまった悲しみに……
(岩崎久美代、高木文子、内藤充子)
F生い立ちの歌
(水本邦子、田村奈都江)
G早春の風
(田中範明)
Hランボー「わが放浪」
(ミシェル・ドゥ・ボアシュ、[中也訳]西村清美)
I湖上
(福田百合子、[フランス語訳]ミシェル・ドゥ・ボアシュ)
●福田百合子先生のお話
第二部
❶夏の日の歌
(桐井眞代、石田和子、金崎清子)
●グループ「ひと花」の合唱
♪夏の日の歌
♪バラが咲いた
♪ふるさと
❷北の海
(山口智子、西村清美)
❸頑是ない歌
(長井英子、谷村博行、島田令子)
❹曇天
(島田令子)
❺一つのメルヘン
(長井英子、金崎清子)
❻幻影
(原田宏美、金崎清子)
❼村の時計
(橋本悦子、西村清美)
❽冬の長門峡
(原田宏美、荒井佳恵)
❾正午
(山口智子、内藤充子)
➓童謡
(佐村順子、谷村博行、岡村久美子)
●福田百合子先生のお話
参加費 無料
定員 50名(要事前申込)
申込・問合・主催 山口の朗読屋さん(代表 林伸一)
〒753-0815 山口市維新公園1-12-5
090-6415-8203
hayashix@yamaguchi-u.ac.jp
後援 山口市
そこで、私は「正午」という詩ともう一つの詩を朗読することになっています。
※『新編中原中也全集』第一巻 詩T「本文篇」P276〜7より引用
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休(ひるやす)み、ぷらりぷらりと手を振って
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ、出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きいビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
中也の死後発表された『在りし日の歌』(創元社 昭和13.4.15)の第二章「永訣の秋」に収録されています。
「正午」の初出は『文學界』昭和12(1937)年10月号(第4巻10号)(文藝春秋 1937(昭和12).10.1)です。
※『新編中原中也全集』第一巻 詩T「解題篇」P349より引用
※『年表作家読本 中原中也』(青木健/編著 河出書房新社 1993.1.25)P185には『文学界』10月号の「正午」の頁の写真があります
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休み、ぶらりぶらりと手を振つて、手を振つて
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真つ黒い、小つちやな小つちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で、見上げても、眼を落としても
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな……
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真つ黒い、小つちやな小つちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
第一次形態と第二次形態を比較すると、10行目の句読点や、7行目8行目の「・・・・・・」の位置の違いなどありますが、
大きな違いは、3行目
ぶらりぶらりと手を振って、手を振って ⇨ ぷらりぷらりと手を振って
と違うオノマトペを用い、レフレインをやめたところや、5行目と11行目
真つ黒い ⇨ 真ッ黒い
小つちやな ⇨ 小ッちやな
の促音の書き方が違うところと、11行目
大きなビル ⇨ 大きいビル
と連体詞「大きな」と形容詞「大きい」を使い分けているところです。
原稿は残っていないそうです。
ところで、この「正午」ですが、ネットで検索すると、11行目が
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
と、第一次形態との混同というわけではないと思うのですが、5行目と同じく、「大きな」となっているものがほとんどでした。
そして、2021年4月14日(水)〜7月25日(日)に中原中也記念館で開催された「企画展T 中也、この一篇 ー「正午」」の展示や
https://www.youtube.com/watch?v=EVmgf8C5MEQ
山口市文化振興財団の発行している『any』116号(2021 夏)P11「中也を味わう」では
https://www.ycfcp.or.jp/pdf/any_116.pdf
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休(ひるやす)み、ぷらりぷらりと手を振って
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ、出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
と、11行目は「大きな」となっていました。
一方、山口県立山口図書館にあった開架図書18冊
『中原中也詩集 河上徹太郎 編』 P202
角川文庫 改版
角川書店 1968.12
『中原中也詩集 大岡昇平 編』 P274
岩波文庫 緑97-1
岩波書店 1981.06.1
『山羊の歌・在りし日の歌 』 P301〜2
(日本の文学62)
ほるぷ出版 1985.8
『中原中也全詩歌集 吉田凞生 編』(下) P135
講談社文芸文庫
講談社 1991.5
『在りし日の歌―中原中也詩集』 P137〜8
角川文庫―角川文庫クラシックス
佐々木幹郎/編 角川書店 1997.6
『中原中也「在りし日の歌」全釈』 P308
太田静一/著 鳥影社 1997.7
『中原中也詩集』 P126〜7
ハルキ文庫
角川春樹事務所 1998.3
『汚れっちまった悲しみに… 』
(影絵ものがたりシリーズ)
石井昭/影絵 福田百合子/監修 新日本教育図書 1998.8
『新編中原中也全集』第一巻 詩T「本文篇」「解題篇」
大岡昇平、中村稔、吉田凞生、宇佐美斉、佐々木幹郎/編
角川書店 2000.3
『中原中也全詩集』 P255
角川ソフィア文庫
KADOKAWA 2007.10
『永遠の詩4 中原中也』 P100〜1
小学館 2010.1
『残響 中原中也の詩によせる言葉』 P95
町田康/著 NHK出版 2011.7.25
講談社文芸文庫
町田康/著 講談社 2014.8
『汚れっちまった悲しみに……』 P142
童話屋 2014.1
『中也を読む 詩と鑑賞』新版 P257
中村稔/著 青土社 2014.3
『出会い?発見?!感動!! 中也読本』
第一版
山口市中学校国語科副読本編集委員会・中原中也記念館/編 山口市 2015.3
第二版 P17
山口市中学校国語科副読本編集委員会・中原中也記念館/編 山口市 2017.3
『出会い?発見?!感動!! 中也読本』 P15
中原中也記念館/編 中原中也記念館 2015.10
『汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』 P78〜9
角川文庫
佐々木幹郎/編 KADOKAWA 2016.10.6
『にほんの詩集 中原中也詩集』 P100
角川春樹事務所 2022.6
を調べてみたところ、
大きいビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
と、11行目は、全て「大きい」となっていました。
私は、やはり「大きい」と朗読した方がいいのですよね?
「正午」について少しだけ調べました。
「丸ビル」(丸ノ内ビルヂング)は、1923(大正12)年、東京駅近く(千代田区丸の内2丁目)に完成したオフィスビルの先駆けです。地下2階地上8階、一部9階建てで、当時国内最大のビルでした。1999(平成11)年解体され、2002(平成14)年新しい丸ビル(丸の内ビルディング・地下4階地上37階)に建て替えられました。
東京市が 、1871(明治4)年から皇居内にて行われていた「ドン」で親しまれていた午砲(正午を知らせる空砲)を廃止し、サイレン(号笛)を用いたのは1929(昭和4)年5月1日メーデーの日からでした。1930(昭和5)年4月12日には丸ノ内号笛所(麹町区丸ノ内1-1)が丸ノ内ビルヂング屋上に設置されました。この詩が作られた1937(昭和12)年にはまさに丸ビルから正午を告げるサイレンが鳴っていたわけで、それを合図にして丸ビルで働く大勢の人々(月給取り)が一斉に外出する風景を、中也は、当時住んでいた鎌倉から上京し、実際に見たのでしょうか。
正午の時報を知らせるサイレンが廃止されたのは、1941(昭和16)年12月8日太平洋戦争開始の日でした。戦争開始とともに警報と紛らわしい午報用のサイレンを中止したのです。
『東京都公文書館だより』第7号(東京都公文書館 2005(平成17).11.4)P6「レファレンスの杜」を参照しました
「何の己が桜かな」は、「酒なくて何の己が桜かな」から採られていて、「(酒がないのに)どうしてお前は桜のような顔をしていられるんだ」という意味だそうです。
「サイレンだ、サイレンだサイレンだ」「出てくるわ、出てくるわ出てくるわ」「小ッちやな小ッちやな」「あとからあとから」「響き響きて」と同じ言葉を繰り返すリフレインや「ぞろぞろぞろぞろ」「ぷらりぷらり」などのオノマトペが効果的に用いられ、そこで働く大勢の人々が、昼休みに一斉に外出する様子を道化調で描いています。
日時 2023年4月22日(土)14:00〜16:00
場所 山口市大殿地域交流センター 1F 講堂
山口市大殿大路120-4
プログラム
第一部
@サーカス
(岩崎久美代、福田百合子、
[アーサー・ビナード英訳]カテリーナ・オリハ、
[フランス語訳]ミシェル・ドゥ・ボアシュ)
A帰郷
(荒井佳恵)
B悲しき朝
(岩崎久美代、原田宏美、田村奈都江、岡村久美子)
C六月の雨
(田村奈都江、岡村久美子)
D宿酔
(田中範明)
E汚れっちまった悲しみに……
(岩崎久美代、高木文子、内藤充子)
F生い立ちの歌
(水本邦子、田村奈都江)
G早春の風
(田中範明)
Hランボー「わが放浪」
(ミシェル・ドゥ・ボアシュ、[中也訳]西村清美)
I湖上
(福田百合子、[フランス語訳]ミシェル・ドゥ・ボアシュ)
●福田百合子先生のお話
第二部
❶夏の日の歌
(桐井眞代、石田和子、金崎清子)
●グループ「ひと花」の合唱
♪夏の日の歌
♪バラが咲いた
♪ふるさと
❷北の海
(山口智子、西村清美)
❸頑是ない歌
(長井英子、谷村博行、島田令子)
❹曇天
(島田令子)
❺一つのメルヘン
(長井英子、金崎清子)
❻幻影
(原田宏美、金崎清子)
❼村の時計
(橋本悦子、西村清美)
❽冬の長門峡
(原田宏美、荒井佳恵)
❾正午
(山口智子、内藤充子)
➓童謡
(佐村順子、谷村博行、岡村久美子)
●福田百合子先生のお話
参加費 無料
定員 50名(要事前申込)
申込・問合・主催 山口の朗読屋さん(代表 林伸一)
〒753-0815 山口市維新公園1-12-5
090-6415-8203
hayashix@yamaguchi-u.ac.jp
後援 山口市
そこで、私は「正午」という詩ともう一つの詩を朗読することになっています。
※『新編中原中也全集』第一巻 詩T「本文篇」P276〜7より引用
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休(ひるやす)み、ぷらりぷらりと手を振って
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ、出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きいビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
中也の死後発表された『在りし日の歌』(創元社 昭和13.4.15)の第二章「永訣の秋」に収録されています。
「正午」の初出は『文學界』昭和12(1937)年10月号(第4巻10号)(文藝春秋 1937(昭和12).10.1)です。
※『新編中原中也全集』第一巻 詩T「解題篇」P349より引用
※『年表作家読本 中原中也』(青木健/編著 河出書房新社 1993.1.25)P185には『文学界』10月号の「正午」の頁の写真があります
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休み、ぶらりぶらりと手を振つて、手を振つて
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真つ黒い、小つちやな小つちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で、見上げても、眼を落としても
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな……
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真つ黒い、小つちやな小つちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
第一次形態と第二次形態を比較すると、10行目の句読点や、7行目8行目の「・・・・・・」の位置の違いなどありますが、
大きな違いは、3行目
ぶらりぶらりと手を振って、手を振って ⇨ ぷらりぷらりと手を振って
と違うオノマトペを用い、レフレインをやめたところや、5行目と11行目
真つ黒い ⇨ 真ッ黒い
小つちやな ⇨ 小ッちやな
の促音の書き方が違うところと、11行目
大きなビル ⇨ 大きいビル
と連体詞「大きな」と形容詞「大きい」を使い分けているところです。
原稿は残っていないそうです。
ところで、この「正午」ですが、ネットで検索すると、11行目が
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
と、第一次形態との混同というわけではないと思うのですが、5行目と同じく、「大きな」となっているものがほとんどでした。
そして、2021年4月14日(水)〜7月25日(日)に中原中也記念館で開催された「企画展T 中也、この一篇 ー「正午」」の展示や
https://www.youtube.com/watch?v=EVmgf8C5MEQ
山口市文化振興財団の発行している『any』116号(2021 夏)P11「中也を味わう」では
https://www.ycfcp.or.jp/pdf/any_116.pdf
正午
丸ビル風景
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
月給取の午休(ひるやす)み、ぷらりぷらりと手を振って
あとからあとから出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空はひろびろ薄曇り、薄曇り、埃りも少々立つてゐる
ひよんな眼付で見上げても、眼を落としても……
なんのおのれが桜かな、桜かな桜かな
あゝ十二時のサイレンだ、サイレンだサイレンだ
ぞろぞろぞろぞろ、出てくるわ、出てくるわ出てくるわ
大きなビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
空吹く風にサイレンは、響き響きて消えてゆくかな
と、11行目は「大きな」となっていました。
一方、山口県立山口図書館にあった開架図書18冊
『中原中也詩集 河上徹太郎 編』 P202
角川文庫 改版
角川書店 1968.12
『中原中也詩集 大岡昇平 編』 P274
岩波文庫 緑97-1
岩波書店 1981.06.1
『山羊の歌・在りし日の歌 』 P301〜2
(日本の文学62)
ほるぷ出版 1985.8
『中原中也全詩歌集 吉田凞生 編』(下) P135
講談社文芸文庫
講談社 1991.5
『在りし日の歌―中原中也詩集』 P137〜8
角川文庫―角川文庫クラシックス
佐々木幹郎/編 角川書店 1997.6
『中原中也「在りし日の歌」全釈』 P308
太田静一/著 鳥影社 1997.7
『中原中也詩集』 P126〜7
ハルキ文庫
角川春樹事務所 1998.3
『汚れっちまった悲しみに… 』
(影絵ものがたりシリーズ)
石井昭/影絵 福田百合子/監修 新日本教育図書 1998.8
『新編中原中也全集』第一巻 詩T「本文篇」「解題篇」
大岡昇平、中村稔、吉田凞生、宇佐美斉、佐々木幹郎/編
角川書店 2000.3
『中原中也全詩集』 P255
角川ソフィア文庫
KADOKAWA 2007.10
『永遠の詩4 中原中也』 P100〜1
小学館 2010.1
『残響 中原中也の詩によせる言葉』 P95
町田康/著 NHK出版 2011.7.25
講談社文芸文庫
町田康/著 講談社 2014.8
『汚れっちまった悲しみに……』 P142
童話屋 2014.1
『中也を読む 詩と鑑賞』新版 P257
中村稔/著 青土社 2014.3
『出会い?発見?!感動!! 中也読本』
第一版
山口市中学校国語科副読本編集委員会・中原中也記念館/編 山口市 2015.3
第二版 P17
山口市中学校国語科副読本編集委員会・中原中也記念館/編 山口市 2017.3
『出会い?発見?!感動!! 中也読本』 P15
中原中也記念館/編 中原中也記念館 2015.10
『汚れつちまつた悲しみに…… 中原中也詩集』 P78〜9
角川文庫
佐々木幹郎/編 KADOKAWA 2016.10.6
『にほんの詩集 中原中也詩集』 P100
角川春樹事務所 2022.6
を調べてみたところ、
大きいビルの真ッ黒い、小ッちやな小ッちやな出入口
と、11行目は、全て「大きい」となっていました。
私は、やはり「大きい」と朗読した方がいいのですよね?
「正午」について少しだけ調べました。
「丸ビル」(丸ノ内ビルヂング)は、1923(大正12)年、東京駅近く(千代田区丸の内2丁目)に完成したオフィスビルの先駆けです。地下2階地上8階、一部9階建てで、当時国内最大のビルでした。1999(平成11)年解体され、2002(平成14)年新しい丸ビル(丸の内ビルディング・地下4階地上37階)に建て替えられました。
東京市が 、1871(明治4)年から皇居内にて行われていた「ドン」で親しまれていた午砲(正午を知らせる空砲)を廃止し、サイレン(号笛)を用いたのは1929(昭和4)年5月1日メーデーの日からでした。1930(昭和5)年4月12日には丸ノ内号笛所(麹町区丸ノ内1-1)が丸ノ内ビルヂング屋上に設置されました。この詩が作られた1937(昭和12)年にはまさに丸ビルから正午を告げるサイレンが鳴っていたわけで、それを合図にして丸ビルで働く大勢の人々(月給取り)が一斉に外出する風景を、中也は、当時住んでいた鎌倉から上京し、実際に見たのでしょうか。
正午の時報を知らせるサイレンが廃止されたのは、1941(昭和16)年12月8日太平洋戦争開始の日でした。戦争開始とともに警報と紛らわしい午報用のサイレンを中止したのです。
『東京都公文書館だより』第7号(東京都公文書館 2005(平成17).11.4)P6「レファレンスの杜」を参照しました
「何の己が桜かな」は、「酒なくて何の己が桜かな」から採られていて、「(酒がないのに)どうしてお前は桜のような顔をしていられるんだ」という意味だそうです。
「サイレンだ、サイレンだサイレンだ」「出てくるわ、出てくるわ出てくるわ」「小ッちやな小ッちやな」「あとからあとから」「響き響きて」と同じ言葉を繰り返すリフレインや「ぞろぞろぞろぞろ」「ぷらりぷらり」などのオノマトペが効果的に用いられ、そこで働く大勢の人々が、昼休みに一斉に外出する様子を道化調で描いています。
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