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こどもと本ジョイントネット21・山口


〜すべての子どもに本との出会いを〜

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第35回やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜 [2022年04月22日(Fri)]
4月10日(日)、ジャズ スポット ポルシェで開催された「第35回やまぐち朗読Cafe 〜朗読と蓄音器ジャズの夕べ〜」に参加しましたぴかぴか(新しい)

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ポルシェで珍しく日曜日にライブがないため、朗読Cafeとして初めての日曜日の17時からの開催です揺れるハート

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進行は中原中也記念館の中原豊館長です。
参加者は、スタッフ2名を入れて14名。

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かわいい第1部 蓄音機ジャズかわいい

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中原館長は、コレクションのSPレコードを保管する棚を新しくされたそうですexclamation×2
SPレコードは立てて保管すると、婉曲しやすいそうで、横に置いて保管するのがmustで、とはいっても、重いため、たくさん重ねると、下に置いたレコードにヒビが入ってしまう・・・・・・ふらふら

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そこで、棚の段数を増やし、整理し、レーベル毎に並べ変えたということで・・・・・・久々のレーベル・シリーズ黒ハート
収集されているのはビクターやコロンビアのレコードが殆どだそうですが、今日は、2枚だけ所有されているOkeh Records(オーケー・レコード)の曲を4曲。

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Okeh Records(オーケー・レコード)は、1918年に設立されたアメリカ合衆国のレコードレーベルです。名前は創始者のOtto K. E. Heinemann(オットー・K・E・ハイネマン)のイニシャルからとられています。

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まず、1枚目は、Benny Goodman Sextet(ベニー・グッドマン・セクステット(六重奏団))の演奏するレコード。
Benny Goodman(ベニー・グッドマン)(1909〜1986)は、言わずと知れたアメリカのクラリネット奏者で、スウィング・ジャズの代表的存在ですが、ビッグ・バンドのベニー・グッドマン楽団(Benny Goodman Orchestra)を率いた他、トリオ、カルテット、セクステット、といった小編成でも演奏活動を行いました。


1.IF I Had You

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作曲は、Jimmy Campbell(ジミー・キャンベル)、Reginald Connelly(レグ・コネリー)、
Ted Shapiro(テッド・シャピロ)。
1941にレコーディングされました。

おしゃれな曲です。


2.Limehouse Blues(ライムハウス・ブルース)

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「ライムハウス・ブルース」は、ロンドンを拠点とする Douglas Furber(ダグラス・ファーバー)(歌詞)とPhilip Braham(フィリップ・ブラハム)(音楽)のデュオが書いたイギリス生まれのスタンダードです。

ライムハウスはロンドンのイーストエンドの地区で、かつて栄えた港町です。
「lime」には、「石灰」という意味があるので、ネットに

ライムハウスとは「石灰置き場」を意味するらしい

とありましたが、それもあるかもしれないし、果物の「lime」(ライム)(広義では、柑橘類全般の意味でも使われる)でもあるので、

ロンドンの地名「ライムハウス」も本来はレモンを荷揚げしていた地域である

とウィキペディアにあるのも、納得できます。
私としては、ライムハウスといえば、ピーター・アクロイドの『切り裂き魔ゴーレム』(Dan Leno & the Limehouse Golem) (池田栄一/訳 白水社 2001)を思い出しますね・・・。時代が違うけど。


2枚目はLes Brown and His Orchestra(レス・ブラウン楽団) のレコードです。

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Les Brown(レス・ブラウン)(1912〜2001)は、1938年から2000年までおよそ70年間ビッグバンドのバンドリーダとして活躍しました。
Les Brown and His Orchestra(レス・ブラウン楽団)といえば、楽団の楽曲として1944年に製作され、当時、楽団の専属歌手だったドリス・デイが歌った「Sentimental Journey」(センチメンタル・ジャーニー)(作曲はレス・ブラウン、ベン・ホーマー、作詞はバド・グリーン)が1945年にコロムビア・レコードからリリースされ、ミリオンセラーとなったことで有名です。


3.Hereafter

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ボーカルは、Ralph Young(ラルフ・ヤング)。
A. Courtney; Loebの曲です。


4.Everybody's Making Money But Tchaikovsky

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ボーカルは、Betty Bonney(ベティ・ボニー)(後に、Judy Johnson)です。
Charles Broad、John Farrow、Ken Krippene、Gilbert Roeの曲です。
1941。

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SPOKEN:
BUTCH STONE: Hello Betty. What's the matter? You look broad!
BETTY BONNEY: Yeah, I feel like a zero, a great big nought
BUTCH STONE: How come, baby, you feel that way?
BETTY BONNEY: Well you just listen, Butch, to what I've got to say......

Ev'rybody's making money but Tchaikovsky
The music boys are giving him the runaround-ski
Did Tchaikovsky make the grade
Just consult your hit parade
Then you'll know the old boy was a wow-ski

Ev'rybody's making money but Tchaikovsky
Ev'rything you hear is his and how-ski
Now, if you want to write a hit
Here is how they're doin' it
Grab a spade and dig-dig-dig Tchaikovsky


つい、♪エブリバディズ メイキング マイ バット チャイコフスキー♪ と口ずさんでいます。



かわいい第2部 自由朗読かわいい

1、MTさん
チェーホフ「ワーニャ伯父さん」より

映画「ドライブ・マイ・カー」(原作は村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』所収)を観て、朗読を思い立ったそうです。

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▲『女のいない男たち』(村上春樹/著‎ 文藝春秋 2014.4)


2、UKさん
谷崎潤一郎 「厠のいろいろ」
(『陰翳礼讃・文章読本』(新潮文庫)(谷崎潤一郎/著 新潮社 2016.8)より)

陰翳礼讃・文章読本 谷崎潤一郎.jpg

「厠のいろいろ」の冒頭部分を朗読されました。

 厠で一番忘れられない印象を受け、今もおりおり想い起すのは、大和の上市の町で或る饂飩屋へ這入ったときのことである。急に大便を催したので案内を乞うと、連れて行かれたのが、家の奥の、吉野川の川原に臨んだ便所であったが、ああ云う川添いの家と云うものは、お定りの如く奥へ行くと一階が二階になって、下にもう一つ地下室が出来ている。その饂飩屋もそう云う風な作りであったから、便所のある所は二階であったが、跨ぎながら下を覗くと、眼もくるめくような遥かな下方に川原の土や草が見えて、畑に菜の花の咲いているのや、蝶々の飛んでいるのや、人が通っているのが鮮やかに見える。つまりその便所だけが二階から川原の崖の上へ張り出しになっていて、私が踏んでいる板の下には空気以外に何物もないのである。私の肛門から排泄される固形物は、何十尺の虚空を落下して、蝶々の翅や通行人の頭を掠めながら、糞溜へ落ちる。その落ちる光景までが、上からありあり見えるけれども、蛙飛び込む水の音も聞えて来なければ、臭気も昇って来ない。第一糞溜そのものがそんな高さから見おろすと、一向不潔なものに見えない。(略)

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自分で読んでみて、このエピソードも面白いので記しておきます。

 志賀君が芥川龍之介から聞いたと云って話された話に、倪雲林の厠の故事がある。倪雲林と云う人は支那人には珍しい潔癖家であったと見えて、蛾の翅を沢山集めて壺の中へ入れ、それを厠の床下へ置いて、その上に糞をたれた。つまり砂の代わりに翅を敷いたフンシのようなものだと思えば間違いはないが、蛾の翅と云えば非常に軽いフワフワした物質であるから、落ちて来た牡丹餅をたちまち中へ埋めてしまって見えないようにする仕掛けなのである。けだし、厠の設備として古来このくらい贅沢なものはあるまい。糞溜と云うものはどんなに綺麗らしく作り、どんなに衛生的な工夫をしたところで、想像すると汚い感じが湧いて来るものだが、この蛾の翅のフンシばかりは、考えても美しい。上から糞がポタリと落ちる。パッと煙のように無数の翅が舞い上がる、それがおのおのパサパサに乾燥した、金茶色の底光りを含んだ、非常に薄い雲母のような断片の集合なのである、そうして何が落ちて来たのだか分からないうちにその固形物はその断片の堆積の中へ呑まれてしまう、という次第で、先の先まで想像を逞しゅうしてみても、少しも汚い感じがしない。(略)そして恐らくは、用を足す毎に一遍一遍新しいのと取り換えなければなるまい。されば大勢の人手を使つて、夏の間に何千匹何万匹と云う蛾を捕らえて、一年中の使用量を貯えてでも置くのだろう。とすると、とても贅沢な話で、昔の支那ででもなかったら実行できそうもないことなのである。


3、Y
種田山頭火「雑草風景」
(『草木塔』より)

 題して『雑草風景』といふ、それは其中庵風景であり、そしてまた山頭火風景である。
 風景は風光とならなければならない。音が声となり、かたちがすがたとなり、にほひがかをりとなり、色が光となるやうに。

 私は雑草的存在に過ぎないけれどそれで満ち足りてゐる。雑草は雑草として、生え伸び咲き実り、そして枯れてしまへばそれでよろしいのである。

 或る時は澄み或る時は濁る。――澄んだり濁つたりする私であるが、澄んでも濁つても、私にあつては一句一句の身心脱落であることに間違ひはない。

 此の一年間に於て私は十年老いたことを感じる(十年間に一年しか老いなかつたこともあつたやうに)。そして老来ますます惑ひの多いことを感じないではゐられない。かへりみて心の脆弱、句の貧困を恥ぢ入るばかりである。
(昭和十年十二月二十日、遠い旅路をたどりつつ 山頭火)


中原中也記念館の企画展U「雑誌「詩園」― 中也・山頭火と山口の文学青年たち」を観て、山頭火が湯田温泉について詠んだ句を自分自身でもピックアップしてみたので、それを発表しようかと思っていたのですが、

雑誌「詩園」−中也・山頭火と山口の文学青年たち.PNG

最近、其中庵に行ったこともあって、紀野一義『「般若心境」講義』(PHP文庫)(PHP研究所 1987.3)に引用してあった「雑草風景」を朗読しました。

IMG_E3745.JPG左向き三角1其中庵

ですが、10日は一日他のイベントに出ていて、紹介しようと用意していた本を持参するのをすっかり忘れてしまいました。痛恨の極みですもうやだ〜(悲しい顔)


4、WKさん
自作詩「ウクライニャの猫」


5、原明子さん
中原中也「閑寂」

  閑寂

なんにも訪(おとな)ふことのない、
私の心は閑寂だ。
    それは日曜日の渡り廊下、
    ――みんなは野原へ行つちやつた。

板は冷たい光沢(つや)をもち、
小鳥は庭に啼いてゐる。
    締めの足りない水道の、
    蛇口の滴(しづく)は、つと光り!

土は薔薇色、空には雲雀
空はきれいな四月です。
    なんにも訪ふことのない、
    私の心は閑寂だ。


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6、NMさん
松任谷由実「緑の町に舞い降りて」

MORIOKAというその響きが
 ロシア語みたいだった


いわて花巻空港のイメージソングです飛行機ハートたち(複数ハート)


7、KKさん
ウクライナ民話「びんぼうこびと」
(内田莉莎子/再話 太田大八/画)(こどものともコレクション 福音館書店 1998.3.1)(こどものとも 1971年1月号 福音館書店 1971.1.1)

びんぼうこびと.jpg

お百姓は村でも評判のバイオリン弾きだったのです

ということから、ショーレム・アレイヘムの短篇小説『牛乳屋テヴィエ』を原作とするミュージカル『屋根の上のバイオリン弾き』が思い浮かびました。


8、THさん
中原中也「春宵感懐」「また来ん春……」

中原中也詩集 岩波文庫.jpg
▲『中原中也詩集』(岩波文庫)(岩波書店 1981.6)

  春宵感懐

雨が、あがつて、風が吹く。
 雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵(よひ)。
 なまあつたかい、風が吹く。

なんだか、深い、溜息が、
 なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、掴(つか)めない。
 誰にも、それは、語れない。

誰にも、それは、語れない
 ことだけれども、それこそが、
いのちだらうぢやないですか、
 けれども、それは、示(あ)かせない……

かくて、人間、ひとりびとり、
 こころで感じて、顔見合せれば
につこり笑ふといふほどの
 ことして、一生、過ぎるんですねえ

雨が、あがつて、風が吹く。
 雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
 なまあつたかい、風が吹く。



  また来ん春……

また来ん春と人は云ふ
しかし私は辛いのだ
春が来たつて何になろ
あの子が返つて来るぢやない

おもへば今年の五月には
おまへを抱いて動物園
象を見せても猫(にやあ)といひ
鳥を見せても猫(にやあ)だつた

最後に見せた鹿だけは
角によつぽど惹かれてか
何とも云はず 眺めてた

ほんにおまへもあの時は
此の世の光のたゞ中に
立つて眺めてゐたつけが……



最近は中原中也関係の朗読の多いTHさんですが、以前は、夏目漱石をいつも朗読されていました。
中原館長が「漱石を期待していたのですが。」と切り出されて、NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」のロバート・ローズウッド(村雨辰剛)さんが読んでいた本が『漱石全集』だったということを教えてくださいました。

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帰って、さっそく、NHKプラスでチェックしましたサーチ(調べる)

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ううん、よくわからない???でも、
NHKのツイッターで、『漱石全集』であることが確認できました!
この本です!ただ、漱石全集のうちのどれ(何巻)かまでは分かりませんでした。

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実は、この漱石全集、何度も発行されていて、いつ出版された全集か特定することも難しかったです。


9、KTさん
原田宗典「「ウサギ林檎」のこと」

随筆集『アンソロジー お弁当。』(阿川佐和子/著・他 阿部了/写真 パルコエンタテインメント事業部 2013.9)で読むことができます。

アンソロジーお弁当.jpg


10、FKさん
工藤直子「あいたくて」「また あいたくて」
(詩集『あ・い・た・く・て』(佐野洋子/絵 大日本図書 1991)所収)

あいたくて.jpg


11、KYさん
金素雲「真新しい名刺」
『日韓併合期ベストエッセイ集』 (鄭大均/編 筑摩書房 2015.7)所収)

日韓併合期ベストエッセイ集.jpg


12、SRさん
福田百合子「青大将に助けられた」
(『外郎の家』(毎日新聞出版 1987.3) より)新聞掲載のもの

外郎の家.jpg


13、MHさん
中原中也記念館 企画展T「中也の住んだ町――幼少期」のチラシより

中也の住んだ町 幼少期.PNG 中也の住んだ町 幼少期 裏.PNG

 山口で生まれた中原中也は、単身赴任していた父・謙助と暮らすため、生後半年で母・フクらに連れられ、中国大陸の旅順へ向かいます。その後6歳で山口に戻るまで、謙助の転任にともなって、柳樹屯、広島、金沢と移り住み、幼稚園に通いました。
 生まれ故郷とは違う土地で育まれた、幼い日の記憶や家族が語った思い出話は、中也の作品に大きな影響を与えたといわれています。
 本展では、当時の町の様子や同時代の文学者との接点などにも触れながら、中也の幼少期について詳しく紹介します。


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▲チラシを紹介する原さん


14、中原豊さん
中原中也「無題」(『山羊の歌』より)

  無題

  T

こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに、
私は強情だ。ゆうべもおまへと別れてのち、
酒をのみ、弱い人に毒づいた。今朝
目が覚めて、おまへのやさしさを思ひ出しながら
私は私のけがらはしさを歎いてゐる。そして
正体もなく、今茲(ここ)に告白をする、恥もなく、
品位もなく、かといつて正直さもなく
私は私の幻想に駆られて、狂ひ廻る。
人の気持ちをみようとするやうなことはつひになく、
こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに
私は頑(かたく)なで、子供のやうに我儘(わがまま)だつた!
目が覚めて、宿酔(ふつかよひ)の厭(いとふ)べき頭の中で、
戸の外の、寒い朝らしい気配を感じながら
私はおまへのやさしさを思ひ、また毒づいた人を思ひ出す。
そしてもう、私はなんのことだか分らなく悲しく、
今朝はもはや私がくだらない奴だと、自(みづか)ら信ずる!

  II

彼女の心は真つ直い!
彼女は荒々しく育ち、
たよりもなく、心を汲んでも
もらへない、乱雑な中に
生きてきたが、彼女の心は
私のより真つ直いそしてぐらつかない。

彼女は美しい。わいだめもない世の渦の中に
彼女は賢くつつましく生きてゐる。
あまりにわいだめもない世の渦のために、
折に心が弱り、弱々しく躁(さわ)ぎはするが、
而(しか)もなほ、最後の品位をなくしはしない
彼女は美しい、そして賢い!

甞(かつ)て彼女の魂が、どんなにやさしい心をもとめてゐたかは!
しかしいまではもう諦めてしまつてさへゐる。
我利々々で、幼稚な、獣(けもの)や子供にしか、
彼女は出遇(であ)はなかつた。おまけに彼女はそれと識(し)らずに、
唯、人といふ人が、みんなやくざなんだと思つてゐる。
そして少しはいぢけてゐる。彼女は可哀想だ!

  III

かくは悲しく生きん世に、なが心
かたくなにしてあらしめな。
われはわが、したしさにはあらんとねがへば
なが心、かたくなにしてあらしめな。

かたくなにしてあるときは、心に眼(まなこ)
魂に、言葉のはたらきあとを絶つ
なごやかにしてあらんとき、人みなは生(あ)れしながらの
うまし夢、またそがことわり分ち得ん。

おのが心も魂も、忘れはて棄て去りて
悪酔の、狂ひ心地に美を索(もと)む
わが世のさまのかなしさや、

おのが心におのがじし湧きくるおもひもたずして、
人に勝(まさ)らん心のみいそがはしき
熱を病む風景ばかりかなしきはなし。

  IIII

私はおまへのことを思つてゐるよ。
いとほしい、なごやかに澄んだ気持の中に、
昼も夜も浸つてゐるよ、
まるで自分を罪人ででもあるやうに感じて。

私はおまへを愛してゐるよ、精一杯だよ。
いろんなことが考へられもするが、考へられても
それはどうにもならないことだしするから、
私は身を棄ててお前に尽さうと思ふよ。

またさうすることのほかには、私にはもはや
希望も目的も見出せないのだから
さうすることは、私に幸福なんだ。

幸福なんだ、世の煩(わづら)ひのすべてを忘れて、
いかなることとも知らないで、私は
おまへに尽せるんだから幸福だ!

  X 幸福

幸福は厩(うまや)の中にゐる
藁(わら)の上に。
幸福は
和める心には一挙にして分る。

  頑(かたく)なの心は、不幸でいらいらして、
  せめてめまぐるしいものや
  数々のものに心を紛らす。
  そして益々(ますます)不幸だ。

幸福は、休んでゐる
そして明らかになすべきことを
少しづつ持ち、
幸福は、理解に富んでゐる。

  頑なの心は、理解に欠けて、
  なすべきをしらず、ただ利に走り、
  意気銷沈して、怒りやすく、
  人に嫌はれて、自らも悲しい。

されば人よ、つねにまづ従はんとせよ。
従ひて、迎へられんとには非ず、
従ふことのみ学びとなるべく、学びて
汝が品格を高め、そが働きの裕(ゆた)かとならんため!


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帰りはすっかり暗くなっていました。

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