国木田独歩直筆書簡(河井大介宛・明治27年2月26日付)を観に柳井市立柳井図書館 に行きました
[2021年05月18日(Tue)]
5月15日(土)、国木田独歩直筆書簡(河井大介宛・明治27年2月26日付)を観に柳井市立柳井図書館に行きました

『欺かざるの記 前篇』(國木田獨歩/著 佐久良(さくら)書房 1908.1)の「第三 明治二十七年二月」二十七日に、
河井大助氏に発信す。印刷所借用の件相談、依頼するところありたり。
とあります。
まさにその手紙が展示してありました

封筒には、
山口縣周防國玖珂郡柳井
河井大介 様
とあります。
河井大介は、印刷所の経営者の一人で、俳人です。

前年10月に柳井津区裁判所を定年退官した父専八のため、柳井津金屋の印刷所の借入れ交渉をしたものです。

そして、
(略)吾か
一家若し茲に柳井の地に
業を得ば永く柳井の人と
なり及ばず乍ら土地の為め
にも幾分かの盡力致し得る
事と存候(略)
とあります。

結局借り上げはうまくはいかないのですが、もし、印刷所を独歩一家が借り受けていたら、どうなっていたでしょうか?
書簡は明治27(1894)年2月26日付です。
独歩は、大分県佐伯町(現佐伯市)の鶴谷学館の教師をしていて、満22歳(数えで24歳)でした。
二十七年二月二十六日夜
国木田哲夫拝
河井大介様
並び印刷処
持主諸君 貴下

書簡は、河井大介から、同じく経営者の一人高田弥太郎(柳井甘露醤油本舗「ともや」の十代目)へ回覧され、現在まで高田家で保存されていました。
この3月に柳井市に寄贈され、柳井市立柳井図書館の所蔵となりました
印刷所のあった場所は、白壁の町並みの一角にある佐川醤油店のあたりだそうです。

ところで、印刷所の名前は何だったのでしょうか?
この書簡は、独歩が大分県佐伯町(現佐伯市)の鶴谷学館教師時代に、明治二十七年二月二十六日付で、前年十月に柳井津区裁判所を定年退官した父専八のため、柳井津町の東条活版所(金屋在)の借入れ交渉をしたものである。時に独歩は二十四歳。宛先の河井大介は、東条活版所(印刷所)の経営者の一人であった。
(『柳井図書館叢書第三集 独歩文庫・小松茂美文庫目録』(柳井市立柳井図書館 1988.3))
独歩の初めての事業として柳井津印刷会社の借用の計画があった。独歩が佐伯にいたとき新事業によって一家の生計をたてようとした。たまたま独歩は柳井津第四百十六番に柳井津印刷会社があり、これに目をつけて借用したいと会社の庶務、会計係であった河井大祐に明治二十七年(一八九四年)二月二十六日に手紙を出して懇請した。
(『青年時代の国木田独歩』(谷林博/著 柳井市立図書館 1970(昭和45).7.10)P.53〜54)
明治二十七年二月、独歩は柳井印刷所(柳井津第四百十六番、現在の古市佐川醤油店付近)の借用のため、佐伯より第二回目の帰省をこころみる。
(『国木田独歩―山口時代の研究―』(桑原伸一/著 笠間書房 1972(昭和47).5.30)P.83)
書簡は柳井市立柳井図書館の所蔵です。
写真撮影に関しては、特別の許可を得ました。
ブログ掲載について、柳井市立柳井図書館の許諾を得ています。
写真の転載はお断りします。
『欺かざるの記』(國木田獨歩/著 春陽堂 1922.1)は、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
【次回に続く】


『欺かざるの記 前篇』(國木田獨歩/著 佐久良(さくら)書房 1908.1)の「第三 明治二十七年二月」二十七日に、
河井大助氏に発信す。印刷所借用の件相談、依頼するところありたり。
とあります。
まさにその手紙が展示してありました



封筒には、
山口縣周防國玖珂郡柳井
河井大介 様
とあります。
河井大介は、印刷所の経営者の一人で、俳人です。

前年10月に柳井津区裁判所を定年退官した父専八のため、柳井津金屋の印刷所の借入れ交渉をしたものです。

そして、
(略)吾か
一家若し茲に柳井の地に
業を得ば永く柳井の人と
なり及ばず乍ら土地の為め
にも幾分かの盡力致し得る
事と存候(略)
とあります。

結局借り上げはうまくはいかないのですが、もし、印刷所を独歩一家が借り受けていたら、どうなっていたでしょうか?
書簡は明治27(1894)年2月26日付です。
独歩は、大分県佐伯町(現佐伯市)の鶴谷学館の教師をしていて、満22歳(数えで24歳)でした。
二十七年二月二十六日夜
国木田哲夫拝
河井大介様
並び印刷処
持主諸君 貴下

書簡は、河井大介から、同じく経営者の一人高田弥太郎(柳井甘露醤油本舗「ともや」の十代目)へ回覧され、現在まで高田家で保存されていました。
この3月に柳井市に寄贈され、柳井市立柳井図書館の所蔵となりました

印刷所のあった場所は、白壁の町並みの一角にある佐川醤油店のあたりだそうです。



ところで、印刷所の名前は何だったのでしょうか?
この書簡は、独歩が大分県佐伯町(現佐伯市)の鶴谷学館教師時代に、明治二十七年二月二十六日付で、前年十月に柳井津区裁判所を定年退官した父専八のため、柳井津町の東条活版所(金屋在)の借入れ交渉をしたものである。時に独歩は二十四歳。宛先の河井大介は、東条活版所(印刷所)の経営者の一人であった。
(『柳井図書館叢書第三集 独歩文庫・小松茂美文庫目録』(柳井市立柳井図書館 1988.3))
独歩の初めての事業として柳井津印刷会社の借用の計画があった。独歩が佐伯にいたとき新事業によって一家の生計をたてようとした。たまたま独歩は柳井津第四百十六番に柳井津印刷会社があり、これに目をつけて借用したいと会社の庶務、会計係であった河井大祐に明治二十七年(一八九四年)二月二十六日に手紙を出して懇請した。
(『青年時代の国木田独歩』(谷林博/著 柳井市立図書館 1970(昭和45).7.10)P.53〜54)
明治二十七年二月、独歩は柳井印刷所(柳井津第四百十六番、現在の古市佐川醤油店付近)の借用のため、佐伯より第二回目の帰省をこころみる。
(『国木田独歩―山口時代の研究―』(桑原伸一/著 笠間書房 1972(昭和47).5.30)P.83)
書簡は柳井市立柳井図書館の所蔵です。
写真撮影に関しては、特別の許可を得ました。
ブログ掲載について、柳井市立柳井図書館の許諾を得ています。
写真の転載はお断りします。
『欺かざるの記』(國木田獨歩/著 春陽堂 1922.1)は、国立国会図書館デジタルコレクションでインターネット公開されています。
【次回に続く】
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