疫病除け呪文「きしおつ」が刻まれた地蔵尊を拝みに仁保上郷に行きました@
[2020年07月19日(Sun)]
山口市仁保上郷の金坪に、疫病除け呪文「きしおつ」が刻まれた地蔵尊(漢字は「キ(竹かんむりに車へんと”疑”のつくり部分)シ(竹かんむりに厮)乙」と表記。以下「きしおつ」とする。)があるというので、拝みに行きました
「行こう」と思ったきっかけは、『サンデー山口』第7236号 5月30日の【やまぐち深発見紀行】 No.194「仁保・疫病除け地蔵尊『 (きし)乙(おつ )』」と、
人々に脅威を与える感染症。過去にコレラや天然痘などの感染症と闘ってきた人々の歴史を刻み、静かにたたずむ石仏がある。
仁保上郷の金坪地区には、疫病除けの石仏がある。舟形をした光背を持つ地蔵で「■■(きし)乙(おつ)」「安政二歳立」と刻まれている。
この地蔵尊が建てられた江戸時代は、「美目定めの病」と呼ばれた天然痘やコレラが流行。それらの疫病から村を守るために石仏は、集落の入り口に安置されたと伝えられている。
「疫神と福神」(大島建彦著)で紹介されている1860(安政7)年の刷り物には「此■■(きし)乙(おつ)の三字を紙に書て門戸に張ば、疫鬼悪病を除ると云」とあり、当時、厄除けの文句として使われていたことがわかる。
6月23日付読売新聞の記事
そして、仁保地区の方が作られたチラシが頼りです。
この地蔵尊には「きしおつ」というの呪文が刻まれています。厄病除けの文句で中国の故事に由来しています。
江戸末期の安政2年、コレラが全国的に流行した際、疫病から集落住民を守るために建立されました。
仁保地域交流センター → 金坪公民館すぐそば
7.5km 約12分 県道123号
宮野方面から行く場合は、道の駅 仁保の郷の手前の交差点を左折し、仁保地域交流センターの前を通り大原湖・嘉村磯多生家方面へ県道123号を進みます。
仁保地域交流センターから10分足らずで、この標識が見えたら、右折し、金坪集落へ。
他に右折の道はここぐらいです。
右折してしばらくすると、「村社」の看板が左手に見えます。
そのすぐ先に、金坪公会堂と
「村社」の看板が左手に見え、そのそばに
お目当ての地蔵尊はあります。
地元の方の建てられた看板があるので、すぐ分かります
このお地蔵様には「きしおつ」という呪文が彫られており、全国的にも珍しいものです。
「きしおつ」というのは厄病除けの文句で、中国の故事に由来しています。
江戸末期の安政2年、コレラの疫病が流行した際、疫病から村落住民を守るため建立されました。
立像上部に「きしおつ」と彫られています。
立像右には「安政二年立」とあります。
地蔵菩薩はおだやかなお顔をされています。
右手に錫杖を
左手に宝珠を持たれています。
鋳銭司郷土館のチラシには「きしおつ」について詳しく書いてあります。
郷土史家内田伸氏は、石仏に刻まれた3文字を調査。「呪文」であることを解明されました。
「きしおつ」
平成20年(2008年)出版大島建彦著『疫神と福神』に読み方は「きしおつ」と書かれていることが分かった。同書から「きしおつ」は疫病よけ文句であり、大阪府立中之島図書館蔵の『保古帖』に説明が書かれている一枚刷の文書が存在するとして全文が紹介されていた。読み解くと
「中国の粟渡というところの渡し守が、旅の僧から5人の疫病神が渡るので、渡したくなければ、この符を使えばよいと「きしおつ(原文漢字)」と書かれたお札を授けられた。間もなくやってきた五人の疫病神が舟に乗せろと迫るので、お札を出して見せると、恐れおののいて退散した。その後、この渡しから向こうは疫病が流行せず病める者は一人もいなかった。」
とあった。
つまり、お札は悪い病気を防ぐ、まじないだったことが分かった。
「安政二年(1885年)立」
この頃は、コレラが流行し建立場所より奥にあった集落の人達が疫病から集落全体を守ろうと集落の入り口に建てたことが考えられる。
私も、「コロナ退散」をしっかりお祈りしました
参考文献:
『山口市史 史料編 民俗・金石文』(山口市 2015)
「史料編 民俗」P452〜3
『ふるさと山口』平成24年6月(通巻33号)(山口の文化財を守る会 2012.6)
P1〜6「呪文を彫った石仏」(内田伸)
『疫神と福神』(大島建彦 三弥井書店 2008)
P188〜193
『ふるさと仁保』(仁保自治会 2017)
P51
『山口市の石仏・石塔(4)―宮野・仁保―」(山口の文化財を守る会/編 山口市教育委員会 2012.3)
P189「仁保の地蔵」No.104
【次回に続く】
「行こう」と思ったきっかけは、『サンデー山口』第7236号 5月30日の【やまぐち深発見紀行】 No.194「仁保・疫病除け地蔵尊『 (きし)乙(おつ )』」と、
人々に脅威を与える感染症。過去にコレラや天然痘などの感染症と闘ってきた人々の歴史を刻み、静かにたたずむ石仏がある。
仁保上郷の金坪地区には、疫病除けの石仏がある。舟形をした光背を持つ地蔵で「■■(きし)乙(おつ)」「安政二歳立」と刻まれている。
この地蔵尊が建てられた江戸時代は、「美目定めの病」と呼ばれた天然痘やコレラが流行。それらの疫病から村を守るために石仏は、集落の入り口に安置されたと伝えられている。
「疫神と福神」(大島建彦著)で紹介されている1860(安政7)年の刷り物には「此■■(きし)乙(おつ)の三字を紙に書て門戸に張ば、疫鬼悪病を除ると云」とあり、当時、厄除けの文句として使われていたことがわかる。
6月23日付読売新聞の記事
そして、仁保地区の方が作られたチラシが頼りです。
この地蔵尊には「きしおつ」というの呪文が刻まれています。厄病除けの文句で中国の故事に由来しています。
江戸末期の安政2年、コレラが全国的に流行した際、疫病から集落住民を守るために建立されました。
仁保地域交流センター → 金坪公民館すぐそば
7.5km 約12分 県道123号
宮野方面から行く場合は、道の駅 仁保の郷の手前の交差点を左折し、仁保地域交流センターの前を通り大原湖・嘉村磯多生家方面へ県道123号を進みます。
仁保地域交流センターから10分足らずで、この標識が見えたら、右折し、金坪集落へ。
他に右折の道はここぐらいです。
右折してしばらくすると、「村社」の看板が左手に見えます。
そのすぐ先に、金坪公会堂と
「村社」の看板が左手に見え、そのそばに
お目当ての地蔵尊はあります。
地元の方の建てられた看板があるので、すぐ分かります
このお地蔵様には「きしおつ」という呪文が彫られており、全国的にも珍しいものです。
「きしおつ」というのは厄病除けの文句で、中国の故事に由来しています。
江戸末期の安政2年、コレラの疫病が流行した際、疫病から村落住民を守るため建立されました。
立像上部に「きしおつ」と彫られています。
立像右には「安政二年立」とあります。
地蔵菩薩はおだやかなお顔をされています。
右手に錫杖を
左手に宝珠を持たれています。
鋳銭司郷土館のチラシには「きしおつ」について詳しく書いてあります。
郷土史家内田伸氏は、石仏に刻まれた3文字を調査。「呪文」であることを解明されました。
「きしおつ」
平成20年(2008年)出版大島建彦著『疫神と福神』に読み方は「きしおつ」と書かれていることが分かった。同書から「きしおつ」は疫病よけ文句であり、大阪府立中之島図書館蔵の『保古帖』に説明が書かれている一枚刷の文書が存在するとして全文が紹介されていた。読み解くと
「中国の粟渡というところの渡し守が、旅の僧から5人の疫病神が渡るので、渡したくなければ、この符を使えばよいと「きしおつ(原文漢字)」と書かれたお札を授けられた。間もなくやってきた五人の疫病神が舟に乗せろと迫るので、お札を出して見せると、恐れおののいて退散した。その後、この渡しから向こうは疫病が流行せず病める者は一人もいなかった。」
とあった。
つまり、お札は悪い病気を防ぐ、まじないだったことが分かった。
「安政二年(1885年)立」
この頃は、コレラが流行し建立場所より奥にあった集落の人達が疫病から集落全体を守ろうと集落の入り口に建てたことが考えられる。
私も、「コロナ退散」をしっかりお祈りしました
参考文献:
『山口市史 史料編 民俗・金石文』(山口市 2015)
「史料編 民俗」P452〜3
『ふるさと山口』平成24年6月(通巻33号)(山口の文化財を守る会 2012.6)
P1〜6「呪文を彫った石仏」(内田伸)
『疫神と福神』(大島建彦 三弥井書店 2008)
P188〜193
『ふるさと仁保』(仁保自治会 2017)
P51
『山口市の石仏・石塔(4)―宮野・仁保―」(山口の文化財を守る会/編 山口市教育委員会 2012.3)
P189「仁保の地蔵」No.104
【次回に続く】
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