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裁判官はポリヴェーガル理論を勉強すべきか? [2019年04月19日(Fri)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4178
5月18日、マインドフルネス精神療法研究第5回発表大会

 参加受付中です。
 機関誌5号も購読、予約受付中です。

★うつ病、非定型うつ病、パニック症、PTSDなどが治る、家庭の緊張不和も改善です。マインドフルネスSIMTは、ポリヴェーガル理論の批判を乗り越えています。どの産業の職場でも厳しい評価にさらされています。評価の現場での観察です。

裁判官はポリヴェーガル理論を勉強すべきか?

https://www.asahi.com/articles/ASM4D6J6DM4DUTIL051.html
性暴力、無罪判決の衝撃 「著しく抵抗困難」の壁

 性暴力の加害者が無罪。新しい自律神経のポリヴェーガル理論を学習すれば、判決が変わるかもしれない。殺されるかもしれない非常時に、自由意志に関係なく、自律神経が解離現象を起こしたのかもしれない。
【目次】このようなところに活用できそう
 マインドフルネスSIMT 2019

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4243
Posted by MF総研/大田 at 10:59 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
虐待(8)虐待された人の傷は深く浅い心理療法では足りないのではないか [2013年12月21日(Sat)]
★宮城県石巻で、うつ・不安障害を治すマインドフルネス心理療法についての講演
 企画中です。被災された方でうつ病、不安障害を治したい方、援助したい方。虐待、がん患者さんの死の不安などにご関心のかたも。
ご参加の希望が多ければ、実現します。メールでご連絡ください。

虐待(8)

 =虐待された人の傷は深く浅い心理療法では足りないのではないか

意志作用よりも深い人格

 虐待された人は、人格を否定されたのである。人格は、感覚、思考、意志レベルの問題ではなく、 もっと深い自己存在の問題である。人生の意味、価値に向かって生きるようなレベルの問題ではいよ うに思う。自分が人格を否定されると、人格というものがわからず、わが子の人格を否定することにな るだろう。
 人格が傷ついた人は、自己とは何かという自己存在の問題にゆきつくだろう。西田哲学では、自己ということは 思考の内容となるような浅い知的自己から、思考の対象とならない意志的自己、叡智的自己、人格 的自己という具合に深くなっていく。世の中のために創造していく価値、体験する価値の問題では 解決せずに、自己存在、人格の否定と言うことで苦悩するかもしれない。
 話しは変わるが、がんなどの死の不安は、自己存在、人格の消滅の苦悩といえるから、これも深い。実現価値の問題ではない。マインドフルネスも同じレベルではありえない。

(続く)
虐待
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Posted by MF総研/大田 at 20:18 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
虐待(7)虐待する母の支援は誰が担うのか [2013年12月20日(Fri)]

虐待(7)

 =虐待する母の支援は誰が担うのか

虐待する母の支援は医療か保健か福祉か民間か

 虐待する母親が見つかった時、あるいは、母親から支援を求められた児童相談所、民生委員や保 健所、産婦人科医は、その援助を求めてどこへつなぐのか。精神科医の医療との連携も行われてい ます。福祉や保健がどこまで援助できるか難しいということが報告されました。
  • 多くはいわゆる精神科疾患ではない
  • 精神科では受け入れてくれない場合が多い
  • 何科が担当すべきか定まっていない
 こういう公的機関や精神科で扱いにくい援助を民間団体が引き受けている一例が学会の分科会を 企画なさった「MY TREEペアレンツ・プログラムセンター」の支援プログラムです。 毎週1回のグループセッションを13回提供するものです。虐待がやんで、すぐれた改善効果をあげ ておられます。 2,3か月で改善するのは、やはり精神疾患の診断基準にあわないケースでしょう。 なぜなら、うつ病、PTSD、パーソナリティ障害などであれば、それほど短期間には治らないからです 。 そこで、精神疾患に該当する母親の援助はどうなっているのでしょうか。

虐待する母親を治療する病院

 虐待する母親が精神疾患である場合、援助の難しさが報告されました。
  • 1)医療機関との連携で困難なこととして、報告されました。
    • a)子どものこころの治療を引き受けてくれる病院がない
    • b)(虐待する)親の治療が必要なとき、引き受けてくれる病院がない
  • 2)もう一つ、課題があるでしょう。引き受けてくれる病院があっても、うつ病やPTSDは薬物療法だ けでは治りにくいからです。

援助できるのは、虐待問題に詳しい人

 母親がうつ病、非定型うつ病、PTSD,パーソナリティ障害などである場合、確かに難しいでしょう。 幼い子どもを持たない、こういう精神疾患でさえも、薬物療法では治りにくい人がいます。家族に守ら れている患者でさえも、治りにくいのに、幼い子どもがいると子育てのストレスがあるので、感情的に なりやすいでしょう。薬物療法だけでは治りにくい人がいます。こうした人を公的な福祉、保健の機 関が治す援助をするのはなおさら、困難があるでしょう。
 医療による薬物療法で軽くならない母親には、認知行動療法やマインドフルネス心理療法、その 他の心理療法があるでしょう。しかも、一般的なそういう心理療法のスキルを持つ援助者では不十分 です。そうした一般的心理療法のスキルに加えて、虐待の問題に詳しい人でないと援助できないで しょう。だから、マインドフルネス心理療法がありますが、実際、援助できるのは、虐待の問題に詳しく 、信頼関係を持つみなさまだと申しあげたのでした。
 マインドフルネスが盛んに研究されていますが、実際、うつ病の援助をする人が増えていないのは 、マインドフルネス一般しか知らず、うつ病そのものを知らないからです。坐禅や仏教がマインドフル ネスに似ていますが、仏教の研究者や襌の専門家がうつ病の患者を治す支援ができないのは、うつ 病そのものを知らないからです。これと同様のことが虐待関連の問題にも言えるのだと思います。
 そこで、マインドフルネス心理療法は、うつ病、PTSDなどを治すことができますが、虐待する母親 の援助をマインドフルネス心理療法で行うとすれば、4つの方向が考えられます。
  • 1)福祉、保健の虐待関連に詳しい関係者がマインドフルネス心理療法を習得して支援する
  • 2)医療(病院)の医師、看護師などが虐待関連とマインドフルネス心理療法の両方を習得する
  • 3)虐待関連の民間団体が、精神疾患を治すレベルのマインドフルネス心理療法を習得して支援 すること
  • 4)虐待関連の人を引き受ける医療、民間団体の支援プログラムに、マインドフルネスのスキルを持つ人が参加すること
 いずれも、年単位の支援が必要です。どれか一つでも、県に1か所はできないものでしょうか。 うつ病、不安障害を徹底的に治す援助をしたいものです。なぜなら、虐待が止んでも、母親には、 長い将来の人生において、数々のストレスがあります。精神疾患を治しておかないと、何らかのストレ スによって、精神疾患が再発するおそれが高いのです。一度、支援された母親が支援を離れたあと、 長期間にわたって、不幸な状況になっていないことを追跡調査、援助していない可能性があります。田宮虎彦の別の小説でも、虐待を受けた子どもは生きづらく、不幸になっている人たちを描いた小説もあります。虐待でなくて、不安過敏に育った人は一生影響している場合が多いのに、虐待された人は深く人格を傷つけられている可能性があり、なおさら生き辛いでしょう。

(続く)
虐待
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Posted by MF総研/大田 at 22:54 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
虐待(6)子どもの自殺の背景に虐待があるケースもあるか [2013年12月19日(Thu)]

虐待(6)

 =父に虐待された子供がやさしかった亡き母のいる天国に行く「自殺」に見える行動

田宮虎彦の小説『童話』

 『足摺岬』の収められた文庫に、別の短編小説『童話』があります。 虐待が関係する小説です。父から虐待されず、愛されていたら母が死んでも、子どもが自殺に見え るような行動はしないかもしれません。

 父から虐待されていた少年がいた。父に嫌われて、びくびくとして暮らしていた。母はやさしかった 。母が病気になると、母と少年は実家に帰された。少年には、祖父母の家は夢のようであった。自分 を怒鳴りつける父がいなかった。
 母をみてくれる医者は少年にやさしかった。遊んでくれた。
 母は段々弱っていった。母は泣いていた。
    「お母さん、どうして泣くの」
    と聞いた。母はその少年の言葉をきくと、無理に笑ってみせて、
    「お母さん、死ぬかもしれないよ」
    といった。少年は、まだ死ぬということがよくわかっていない。それで、
    「死んだら、どうなるの」
    と聞いた。
    「死んだら・・・・」
    母は、ちょっと口ごもったが、つづけて、
    「あの世に行くの」
    といった。」
 母は3日後に死んだ。
    「少年は、母が、あの世にいるのだと信じている。・・・少年は、母のいるあの世に行ってみたくなった 。」
 少年は高い柿の木に登っていた。「落ちたら死んでしまいますよ」といった母の言葉を思いだした。
    「少年は落ちてみようと思った。それで柿の木につかまっていた手をはなし、木のまたに立って、口の 中で、一、二っ三と号令をかけた。」
 父から虐待されていた少年には、やさしい母が生きていく希望だった。その母が死んだ。

 よく、死んだらまた会えるという。多くの大人もそういう「信仰」を持っている。愛する配偶者に先立た れ、残された一方が「母さんに会えるから怖くはないよ」という。大人はそれでいい。
 死生観でしばしばそういうことを聞く。しかし、自殺防止の活動をするようになってからは、私はこの ことをみだりに、子どもにいうのは問題であると思ってきた。子どもの自殺をうながすかもしれないと思 うからである。その根っこが、中学3年の時に読んだ田宮虎彦の小説であったのかどうかわらない。
 死ぬということがどういうことであるかわからない子どもに、死んだら本当に天国や極楽で会えるか どうかわからないことを、判断力のない子どもに教えるのは注意が必要であると思ってきた。特に、父 母のどちらかにうとまれてきた子どもの父か母が死亡して、残ったのが虐待していた親であるならば 絶望である。天国にいるやさしい親に死んだら会えると教えられるならば、確たる自殺ではなく、亡き 親にあうための行動が、周りからは「自殺」と見られる。その真相は、虐待する親、死んだらやさしい 親にあえるという素朴な期待である。

 実際、子どもの自殺がある。動機がわかりにくい場合がありそうである。つらそうな子どもがいる場合 、孤独、虐待も考慮せねばならず、安易に「やさしい親は天国にいるよ、いつか死んだらあえるよ」と いうことを、一時のなぐさめるつもりでいうことはよくよく考える必要があると思う。

(続く)
虐待
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【田宮虎彦】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2809 
★小説『足摺岬』を書いた田宮虎彦が虐待をテーマの所説も
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2811 
★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2813 
★田宮虎彦の小説『父という観念』
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2814 
★田宮虎彦の小説『童話』

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Posted by MF総研/大田 at 21:58 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
虐待(5)虐待された人は理想の親を求める [2013年12月18日(Wed)]

虐待(5)

 =虐待された人は理想の親を求める

田宮虎彦の小説『父という観念』

 『足摺岬』が収められた文庫に、『父という観念』という短編小説があります。 健象は、幼いころから成人するまで、父の隆象から虐待されました。そして、 40歳すぎてからも、親切にしてくれる年上の他人に父親を感じます。これほどまでに自分を嫌う隆象は実父ではないのではないかと疑います。子どもの頃、教師に打ち明けたのに、実父がそんなことをするはずがないと 叱られました。それ以来、自分の気持ちを否定するようになりました。決して他人に相談することをし ないようになりました。
 実父、実母が虐待するはずがない、これが常識のようで多くの人がわが子を虐待するなんて信じま せん。だから、相談しても否定されてしまいます。
 実父からはひどく嫌われるのに、他人が親切にしてくれます。一体、父とは何だろうかという問いが 起ります。
      「隆象が、自分の真実の父でありながら、いいかえると、自分が隆象の真実の子供でありながら、 隆象からひとかけらの愛情もそそがれないということは、いったいどういうことであろう。」
 40歳すぎても、年長の人にあっていると、父親をその人に感じることがある。不幸な「幼年時代を もったものの、一生負わねばならぬ不幸であろう」といいます。
 主人公はわが子を虐待することは描かれていませんが、理想的な父親像(父親の観念)を他人に見るという悲しい心理 が描かれています。これは男子と父親ですが、父から虐待を受けた女子が成人した場合、親切そう にして近づいてくる男性に理想的な父親を期待して信じ、そして傷つけられて、不幸になるおそれがあります。また、子供を持ってから、自分も虐待 することがあるといいます。虐待された子供はできるだけ早い段階で、克服する心理的な支援が大 切であることになります。  

(続く)
虐待
【田宮虎彦】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2809 
★小説『足摺岬』を書いた田宮虎彦が虐待をテーマの所説も
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2811 
★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2813 
★田宮虎彦の小説『父という観念』
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2814 
★田宮虎彦の小説『童話』

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Posted by MF総研/大田 at 21:51 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
虐待(4)虐待する母親を引き受けてくれる病院がない [2013年12月18日(Wed)]

虐待(4)

 =虐待する母親を引き受けてくれる病院がない

虐待する母親を引き受けてくれる病院がない

   自分が発表した以外の学会の分科会2つの報告をききました。報告されたことの中で、虐待する母 親は必ずしも精神疾患ではなくて、その場合引き受けてくれる病院がないという報告がありました。
  • 多くはいわゆる精神科疾患ではない
  • 精神科では受け入れてくれない場合が多い
  • 何科が担当すべきか定まっていない
 病院以外では、保健師が支援するのか、どのくらいの期間支援するのかも問題にあがりました。 こうした中で、企画者の、「MY TREEペアレンツ・プログラムセンター」で行われるプログラムは、一つ の効果あるプログラムといえます。毎週1回、13回のグループセッションで、虐待がとまるそうです。 呼吸法が取り入れられています。 私どもが扱ううつ病、不安障害のかたは、いわゆる「精神疾患」です。とても、2,3か月では治りませ ん。精神疾患でない母親の虐待は、13週で改善するというのと符合しています。 精神疾患でない母親には、企画者のプログラムが推奨されてよいのではないでしょうか。

虐待する母親が精神疾患である場合

 ただし、もちろん、虐待する母親が精神疾患になっている場合もあることが報告されました。産前産 後のうつ病があります。育児中にもうつ病になる母親もいます。虐待された子どもも精神疾患になるこ とがあります。
  • 1)医療機関との連携で困難なこととして、報告されました。
    • a)子どものこころの治療を引き受けてくれる病院がない
    • b)(虐待する)親の治療が必要なとき、引き受けてくれる病院がない
  • 2)もう一つ、課題があるでしょう。引き受けてくれる病院があっても、うつ病やPTSDは薬物療法だけでは治りにくいからです。
  • 支援からもれる問題がここにも

    (続く)
    虐待
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  • Posted by MF総研/大田 at 20:52 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
    虐待(3) [2013年12月17日(Tue)]

    虐待(3)

     =虐待された人が自殺を決意する時、思いとどまる時(『足摺岬』の場合)

    生きることはつらいものじゃが、生きておる方がなんぼよいことか

       「生きることはつらいものじゃが、生きておる方がなんぼよいことか」
    自殺しようとして、足摺岬に行った主人公が、四国の老遍路から言われた言葉。私が中学3年生 の夏休みに始めて読んだ小説『足摺岬』(田宮虎彦)の中にありました。夏休みの課題の一つが読書感想文でした。 前年、私の母が脳梗塞のため、半身不随となり悩み、うつ状態となり、家庭が暗いものになっていま した。私は幼い頃から喘息、結核と体の弱い子どもでした。私の父母は愛情豊かな人でした。私の病気を治そうと、当時考えられる治療を受けさせてくれましたが、私は病死の不安から、不安過敏な心になっていました。そこへ、母の重篤な病気。私はいきずら くなっていたのかもしれません。ふと、目にしたのが『足摺岬』でした。

     その小説の一節です。主人公は、父から虐待されて育ち、今も不和です。つい最近、母が死にまし た。そして、自分も病気でした。痛みがあります。貧困、就職できない。愛してくれた母の死、父との不和。 絶望でした、自殺しようとして東京から足摺岬にたどりつきました。
     虐待されて育った子が、大人になっても居場所(愛され受け入れてくれる場所)がなく貧困であること、身体か精神の病気、援助がないことなどが重なると、自殺のリスクが高まるのでしょ うか。
     主人公は、岬を見にいきます。雨の中を死にきれず宿に戻ってきました。察した宿屋の人たち、遍路、薬売りなどが自殺を思いとどまるように何げなく配慮します。薬売りはこの宿を拠点にして付近の村に薬を売って歩きます。宿で知り合った遍路と友達になります。薬売りが病気であって薬を買う金を持たない主人公に無料で与えます。遍路は、あの言葉をいいます。
     省略しますが、絶望であった主人公は、いきがいを見出して死ぬことをやめます。遍路や薬売り、宿屋の人々の暖かい言葉や配慮と宿屋の娘の愛情によって、自殺を思いとどまります。

     フランクルは実存的空虚を持つ人に、いきがいを発見する援助をするロゴセラピーを開発しました。人間は、いきがいを発見できないと自殺のおそれがあります。虐待は、さらに存在価値、人格否定の問題もあり、価値の発見が難しいケースもあるでしょう。

     30年たってうつ病となった私は40歳の頃、あの言葉を思いだしました。ずっと覚えていたのでした。時々思いだします。しか し、 その苦悩の渦中にあるただなかでは、「生きておる方がなんぼよいことか」とは思えないのが、うつ病の悲惨です。毎年、3万人近い人が自殺していきます。そう思えないのがうつ病の悲惨さです。 遍路の言葉、そして治った時と今の私は、本当にそう思います。しかし、うつ病がひどいひとには、自殺への誘惑があります。「死にたい、死んだ方がよい」と。

     虐待されると、幼い時期を生き延びても、継続された苦悩によって、青春期になってからPTSDになる人、トラウマ、うつ病に苦しむ人もいると言われます。こうした被害者が、 うつ病やPTSDになったら、何とかいきがいを思いつ いて、生きて欲しい、うつ病やPTSDを克服していただきたい。
     虐待された人は、大人になってからも生き辛い、そしてうつ病やトラウマのために自分自身の心をコントロールできず、わが子を虐待し てしまうかもしれません。うつ病やPTSDの母親に精神疾患がある人もいると学会の分科会でおききしました。そうでない人も多いよう ですが。つらい幼少期を送ったのに、大人になってもなお、不幸な状況の中で悲しみを募らせています。

     「生きることはつらいものじゃが、生きておる方がなんぼよいことか」
    中学3年の時、刻まれた言葉を30年後に思い出して読み、そして先週、虐待防止の学会への旅の 途上で読みました。3回目の今回は、虐待という視点が浮き彫りになりました。大人にならないうちに、虐待された子どもの自殺にみえる行動もこの小説集に描かれていました。

    (続く)
    虐待
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    【田宮虎彦】
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2809 
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    ★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2813 
    ★田宮虎彦の小説『父という観念』
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2814 
    ★田宮虎彦の小説『童話』
    Posted by MF総研/大田 at 23:43 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
    虐待(2) [2013年12月16日(Mon)]

    虐待(2)

     =虐待防止学会に参加して

     私が参加させていただいたのは、「MY TREEペアレンツ・プログラムセンター」が企画なさった
    「虐待する親の回復支援・セルフケアの重要性
    〜MY TREEにおける怒りのマネージメントとストレスケア〜」
    でした。
     企画者・司会者の中川和子様 (MY TREEペアレンツ・プログラムセンター)から、 プログラムの説明がありました。「セルフケア」と「問題解決力」の回復をプログラムの目的としている プログラムです。虐待する母親の援助プログラムであり、毎週1回のグループセッションを13回提供 するものです。虐待がやんで、すぐれた改善効果をあげておられます。
     このプログラムの中で、毎回呼吸法を取り入れているそうです。 それを 白山真知子様 (元摂津市家庭児童相談室 臨床心理士)が説明されました。 「瞬間的に激昂する強い感情のコントロールも大きな課題」で「深い呼吸と身体の動きを伴う簡単な 瞑想を毎日継続的に取り入れることで、怒りの感情をコントロールすると同時に、自分の身体、思考 、感情の全体性を受容する心の状態を保つように促している」とのことです。

    深い呼吸が脳に与える効果

     「深い呼吸が脳に与える効果」が私のテーマでしたが、次の資料を準備しました。
    • (A) 深い呼吸が脳に与える効果(PP=パワーポイント)
    • (B) マインドフルネスとは(PP)  (付録図)日本的マインドフルネスの展開(PP)
    • (C)呼吸法を中核としたマインドフルネス心理療法(SIMT)による改善効果
    • (D)日本で開発されたマインドフルネスの自己洞察瞑想療法(SIMT)
    • (E)(図)非定型うつ病、非定型うつ病とパーソナリティ障害
    • (F)マインドフルネス心理療法の概念図(会報「心の健康」79号で)
      • (図)「自己洞察を入れる」、 行動生活の10か条、(図)2つの反応パターン

    深い呼吸が脳に与える効果

     このうち、(C)呼吸法を中核としたマインドフルネス心理療法(SIMT)による改善効果は、 このホームページの図と同じもの で説明いたしました。

     (A)の「深い呼吸が脳に与える効果」ですが、 次のような内容です。
    • うつ病は、 背外側前頭前野(ワーキングメモリの中枢)、 眼窩前頭前野や海馬、 セロトニン神経、 前部帯状回、 副交感神経などの機能の低下がみられる。
    • PTSD(心的外傷後ストレス障害)は、 海馬の萎縮、 眼窩前頭前野の萎縮がみられる。
     自己洞察瞑想療法では、呼吸法の中で心の観察をします。
    • 脳機能の低下がみられる精神疾患に対してSIMTでは、呼吸法を行うなかで自分の感情、思考、 欲求などを観察していく。
    • 症状、感情(不安、嫌悪、イライラ、怒りなど)、情況が不快であっても、そのまま(あるがまま)観察 して衝動的な思考や行動を抑制する訓練を行う。(受容的態度)
    • 不快な事象を受容して、意識を価値実現の行動に向ける(自由意志により価値実現の行動)
    • こうした訓練が、前頭前野、海馬、セロトニン神経、自律神経など脳内の神経に変化をもたらして 、症状や行動が改善するのである。
     一般的なうつ病、不安障害の患者の改善効果は、抑うつ症状や鉛様麻痺感、痛みなどの症状が 消失するほか、次のようです。
    • 思考・感情のコントロール
    • (不快な状況、つらい現実を)あるがままを受容する力、忍耐強さの獲得
    • 他から受容されている安心感
    • 一時しのぎの(感情的な反応)暴力でなく長期的価値実現の意志的行動
    • 自尊心の向上、無価値感の解消
    • 自信の向上、自分は自由を持つ人格
    • 他の人格の尊重
    • 他者、社会のためになれる存在
    • 将来への希望

    虐待のうちうつ病、PTSDが背景ならば

     以上のように、うつ病、非定型うつ病、不安障害の改善効果がみられるので、虐待する親がうつ病 やPTSDの傾向がある場合に、呼吸法をとりいれたプログラムによって虐待行為も改善できる可能性があると発表しました。
    • たとえば、非定型うつ病には、対人関係で突然、イライラ、怒りで感情的になり、衝動的行動をと りやすい「拒絶過敏性」という症状がある。
    • 非定型うつ病やPTSDには、つらい過去がよみがえるフラッシュバックもある。
    • こういう傾向が呼吸法を核にしたSIMTによって改善するのであるから、
    • 突発的な怒りやフラッシュバックによる暴力、無気力や抑うつ症状からの育児放棄やネグレクトで あれば、呼吸法のトレーニングによってうつ病、PTSDが軽くなり、虐待行為も改善できる可能性があ る。
     以上くらいしか説明できませんでした。「MY TREEペアレンツ・プログラムセンター」がマインドフル ネス心理療法(SIMT)と似たような呼吸法で、改善効果をあげておられるのは、こうした神経生理学的 な効果があるためでしょう。
     さらに、呼吸法によるマインドフルネス心理療法は、虐待予防対策に広く用いていくことがで きる可能性があります。このことは、中高大学生のころにマインドフルネス心理療法を受けることと述べただけに終わりました。 子どもができる前から、不安やうつ傾向、トラウマの悩みなどがあるとすれば、青春期からマインドフルネス心理療法で、それを克服しておくという対策です。
     ただし、支援できるのは、実際をよくご存知のみなさまであるともお伝えしました。一般的なPTSDは、1回きりの事故、災害によるものでした。しかも愛してくれるはずの人物は関係していません。ところが、虐待は愛されるはずの親、兄弟とのトラウマです。人格的な苦悩が深いでしょう。他のうつ病、PTSDとは違うことがあるので、具体的なことをよくご存知の支援者が、その苦痛の受け入れができるマインドフルネスを用いないとうまくできないと思います。また、浅い感覚、思考レベルのマインドフルネスでは効果がうすい人もでてくるでしょう。 感覚や思考ではなくて、根底の家族の愛情、人格にかかわる問題がありそうですから、援助は難しいだろうと思います。こうしたことが、仏教や襌のような苦しみのない寺院の中でおこなわれた一般的な方法 で現実問題には具体的でない方法は、現実の社会問題の援助には<そのままでは>用いられてこなかったという理由です。

     虐待のこととマインドフルネス心理療法について、少し考えてみま す。

    (続く)

    虐待
    【田宮虎彦】
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2809 
    ★小説『足摺岬』を書いた田宮虎彦が虐待をテーマの所説も
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2811 
    ★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2813 
    ★田宮虎彦の小説『父という観念』
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/2814 
    ★田宮虎彦の小説『童話』

    虐待防止関連の記事
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    Posted by MF総研/大田 at 18:00 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL
    虐待(1) [2013年12月15日(Sun)]
    ★宮城県石巻で、うつ・不安障害を治すマインドフルネス心理療法についての講演
     企画中です。被災された方でうつ病、不安障害を治したい方、援助したい方。虐待、がん患者さんの死の不安などにご関心のかたも。
    ご参加の希望が多ければ、実現します。メールでご連絡ください。

    虐待(1)

     =虐待防止学会に参加して

    虐待防止の学会に参加してきました。
     発表時間が25分と短かったために、一般のうつ病、不安障害のことしかお話しできませんでしたので、虐待への応用は、この<ブログ>で補いたいと思います。虐待の背後に、うつ病や不安障害(特に自分自身がPTSD)がある母親が多いので、マインドフルネス心理療法が効果あるはずです。いきづらい人生を送った人に、虐待がやんでも、長い人生には他の人同様にさまざまな出来事がひかえています。

     その他「虐待」について感じることを、2,3書いてみたいと思います。

     学会に参加するために、電車の中で読む本を数百冊ある書庫の中から選んだのが、田宮虎彦の短編小説集の文庫本「足摺岬」でした。その中の「足摺岬」をもう一度読もうと思ったからです。自殺を思いとどまる男の物語だったはずでした。自殺防止のために、うつ病の治療援助の活動をしているから、10年ほど前にもう一度読んだのです。 この文庫本は、10年ほど前に買ったものです。これで、この小説を読むのは、3度目です。 はじめて読んだのは、中学校3年生の時でした。そして、今度読んで驚きました。

    何と、幼い頃虐待された子どもが大人になった物語があった

     この文庫本には、短編小説の7編があったのですが、内容は全く忘れていました。 今度読んでみて、驚いたのです。父から虐待されていて大人になって老いてからもなお、父親から愛されなかった子どもが、大人になっても、老いても理想的な父親像を求めている小説「父という観念」が含まれていました。
     虐待についての本を選んだつもりではなかった、自殺を思いとどまる筋であった「足摺岬」。 なぜ、この時この本になったのかというと、つい最近ある人と、「足摺岬にいってみたい。小説では岬のそばの宿屋がでてくるが、モデルの宿があるのだろうか。」などと語ったからでした。そんなきっかけがあったので、電車の中でもう一度読もうと思って選んだのに、虐待防止の学会に参加する旅の途中で読みかえしてみたら、なんと、幼い頃虐待された男の物語が含まれていました。

    (続く)
    虐待
     =虐待防止の学会に参加して
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    【田宮虎彦】
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    ★小説『足摺岬』を書いた田宮虎彦が虐待をテーマの所説も
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    ★自殺を思いとどまる『足摺岬』の場合
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    ★田宮虎彦の小説『父という観念』
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    ★田宮虎彦の小説『童話』

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    Posted by MF総研/大田 at 21:30 | 虐待防止・虐待予防 | この記事のURL