• もっと見る
« うつ病の予防 | Main | 適応障害»
産後うつ病の母親が子を殺害 [2025年05月09日(Fri)]

産後うつ病の母親が子を殺害

 生後4か月の、わが子を殺害、逮捕された(5月7日)。「産後うつがつらかった」

 このような悲劇が埼玉県で起こった。

 産前産後の女性がうつ病になる場合がある。うつ病になっては、「相談」だけでは治らない。一定期間、継続する認知行動療法的な支援があればいいのだが。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5004
★産前産後の母親に心理職が支援を

 うつ病は「自殺念慮」がある。産後の母は、自死の時、こどもを道連れの「心中」になることが多い。子どもを殺害したあと、自分も死ぬつもりだった。

 このような状況でも、支援が不十分なのだ。うつ病になって、孤独・孤立している。 本人は、「治せる」うつ病とは知らなかったのかもしれない。
 うつ病は実に、不思議な病気である。死にたくなるのだから。 愛する家族がいながら死ぬのだから。兵庫県では、政治関係で自殺がおきた。愛する家族がいながら。政治家にも理解されていない。

 「つらい思い」をすると、うつ病になる。政治家が、自殺へのきっかけを作っていることも見られる。
 そのひとが、あれをしなかったら、あの人の自殺は起きなかった。あのひとは、死をもって償うほどの悪をおかしたのか。

 仏教、禅の学問が、他者の苦の救済支援をしなくてよいことを自己合理化する組織の説を補強強調する。
 一体、「宗教」の本質は何か。一体、大学における仏教、禅の学問は何のためにあるのか。
 人口が減少していく日本。そういう中で、生命を大切にしない政治、学問に疑問を感じている。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5627
★日本人は他人を思いやり苦を共感し同情し救済する心が弱い


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5572
【目次】自殺防止対策ー2025年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策・自殺防止対策・質の高い教育
 〜 治療法・予防法の研究・開発・臨床・教育


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5557
質の高い教育をみんなに=SDGs 4

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5578
【目次】どの領域にうつ病・自殺のリスクがあるか  〜 不安症、PTSDも

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5587
【目次】どのような支援プログラムを提供するか
 〜 第2世代のマインドフルネスも一つ
Posted by MF総研/大田 at 08:28 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
うつ病になると治りにくい  〜 深刻であると自殺する症状がある [2025年01月12日(Sun)]

うつ病になると治りにくい
 〜 深刻であると自殺する症状がある

 地方創生SDGsのうちでも、ほとんど多くのNPOがターゲット3.4 「自殺の減少」に取り組むところが少ないです。 内閣府の官民連携プラットフォームにも提案しているのですが、反応が極めて少ないです。なぜ、このような領域にとりくんでいるのか、 「自殺が多いこと」「自殺した人の多くがうつ病になっていたこと」「治療を受けても完治しにくいこと」を知っているからです。
 「抗うつ薬の有効率は60〜70パーセントにとどまっています。 寛解率となると、さらに低く、30パーセント程度とも言われています。」(加藤忠史氏)

 そして、薬で治らないうつ病、非定型うつ病でも、それを治す精神療法SIMTを開発できたこと、によります。SIMTは、現在の瞬間の内面の心理現象を その瞬間に観察する「広義のマインドフルネス」を活用した精神療法です。狭義の「無評価で観察の瞑想」のマインドフルネスではありません。(このことは、別の記事で整理します。)

うつ病のほかにも、不安症(パニック症、広場恐怖症、社交不安症など)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、過食症なども薬で治らないひとがいますが、精神療法SIMTで治るひとがいます。

 この記事では、薬物療法だけでは治りにくい「うつ病」のことを述べた記事を整理します。

◆治らない患者が多い
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5458
【目次】メンタルクリニックが「治らない患者」であふれ返る深刻な理由

◆完治割合が高くない
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4798
★うつ病が治らない、心理療法の開発の遅れ

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4848
★うつ病の治療法の現在と問題
「抗うつ薬の有効率は60〜70パーセントにとどまっています。 寛解率となると、さらに低く、30パーセント程度とも言われています。つまり効果が十分ではあり ません。」(加藤、2014,p170)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4962
★現在のうつ病治療、自殺対策の問題点

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4970
★抗うつ薬の HRQoL 改善効果は持続しない

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5140
★うつ病、パニック症など難治性の精神疾患は第3世代の認知行動療 法でも不十分



(編集中です)


この記事は、次の【問題点の展望・目次】の一環です。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策・自殺防止対策・質の高い教育
 〜 治療法・予防法の研究・開発・臨床・教育
Posted by MF総研/大田 at 12:45 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
深い人間哲学を探求した人びと 〜 マインドフルネス心の世界遺産 [2025年01月10日(Fri)]

深い人間哲学を探求した人びと
 〜 マインドフルネス心の世界遺産

 前の記事

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5557
地方創生SDGs ゴール4 質の高い教育をみんなに

 この記事の最後に、こう述べました。

◆マインドフルネス心の世界遺産
 ほかに、日本の小説、芸術などには、禅や西田哲学に匹敵する深い人々がいます。
 このことは、別にまとめます。

 これについて述べます。これも「質の高い教育」に含めてほしいものです。

マインドフルネス心の世界遺産

 無神論者や深い人間哲学を理解しない人は、「自分」が偉いと思う、自分が最終の「審判者」だと思う傾向があります。 そうすると、傲慢になる傾向があります。
 しかし、西洋にも東洋にも、「自己」は最終ではない、自己を超えたものがあるという哲学をいうひとがいます。 西洋にも、エックハルトやフランクルがいます。

◆ロゴセラピーを開発したヴィクトール・フランクル
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2633
★一人類教=すべての宗教の根底に共通のもの

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3191
◆エックハルト

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3194
★フランクル、宗教的無意識

 しかし、日本には、特に大勢います。大乗仏教、特に、禅があったためであるかもしれません。
 こういう自己を超えたものが、日本の文化の底に流れています。そして、苦しい時の救いになること、傲慢やエゴイズム、ハラスメントの抑制の根拠になることですので、本来は、幅広く教育してほしいのです。しかし、無神論の人も多いだろうから、公立の小中高の学校の義務教育では無理かもしれませんね。
 共鳴する私立の学校では、教育にもとりいれることができるでしょう。そして、大学や社会人の教育では、至誠の宗教は、自由なのですから、どんどん行ってほしいものです。
 何しろ、日本文化に深くはいりこんでいるからです。千利休の茶道、世阿弥の能、松尾芭蕉の俳諧、など。そして、明治以後の芸術、小説などに、「自己を超えたもの」が広く描かれていますから。

 西田哲学の西田幾多郎の言葉は難しいですが、次がやさしいでしょうか。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3178
★「我々の自己の自覚の奥底には、どこまでも我々の意識的自己を越えたものがある」
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4548
★自己は根源を持つ、自己の底に絶対(超越)が働く

 今は、「マインドフルネス心の世界遺産」と称していますが、「マインドフルネス」は、「無評価で観察」というのが、 倫理的な問題があると批判されています。日本の深い自己洞察は、無評価ではありません。
 もし、「マインドフルネス」は「無評価で観察」という閉じられた定義が続くならば、倫理的に不適切という批判があるので、名称を変更しなければなりません。日本人は昔から、無評価に閉じてはいません。
 鈴木大拙は「日本的霊性」といいましたが、深い自己は、フランクルもいうくらい、日本独自ではありません。 人間哲学の「心の世界遺産」ですが、いい名称がないものでしょうか。「心の世界遺産」の語は、竹村牧男東洋大学名誉教授も使っています。

マインドフルネス心の世界遺産の人々

 これまでに、触れた記事の一部を紹介します。

◆西田哲学の西田幾多郎
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3161
★「事実」です。感覚、思考も事実ですが、「事実」とする人が実際いるのです。
 「宗教は心霊上の事実である。哲学者が自己の体系の上から宗教を捏造すべきではない。哲学 者はこの心霊上の事実を説明せなければならない。それには、先ず自己に、ある程度にまで宗教 心というものを理解していなければならない。真の体験は宗教家の事である。」

◆鎌倉時代の禅僧、道元
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5015
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5027

◆金子みすゞ(詩人)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2336


◆東山魁夷(日本画家)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2565

◆金子みすゞ、平塚れいてう、遠藤周作、千利休、茨木のり子、神谷美恵子
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4905
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4862

◆永井隆、鈴木大拙、竹村牧男、大江健三郎
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5125
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4375

◆「ソラリス」の作者、ポーランドの作家、スタニスワフ・レム
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3639

◆井筒俊彦(宗教哲学者)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3020

◆佐伯啓思(経済学者、日本文明など)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3034

◆西田哲学の西田幾多郎の言葉は多数掲載
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2349
板橋勇仁(法政大学)
「絶対的一 者」の自己表現の焦点として、我々の自己が生まれ、働き、死にゆくことが成立していることを明 らかにする論理」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3501 「自己が自己自身の底に自己を越えるということは、単に自己が無となるということではない。自己が世界の自己表現点となることである。真の個となることである、真の自己となることである。」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2418
★鈴木大拙

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3029
【連続記事】人格的自己のマインドフルネス

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3205
★西田哲学からみる科学学問、そして哲学
 〜マインドフルネスSIMTと表裏
この記事は、次の【問題点の展望・目次】の一環です。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策・自殺防止対策・質の高い教育
 〜 治療法・予防法の研究・開発・臨床・教育
Posted by MF総研/大田 at 08:36 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
【全体展望のリンク目次】今年も「孤独・孤立対策・自殺防止対策・教育」 [2025年01月05日(Sun)]

【全体展望のリンク目次】
今年も「孤独・孤立対策・自殺防止対策・質の高い教育」

 警察庁の発表によれば、昨年の11月までの自殺者数は、18,647人です。
    男性 12,673人
    女性  5,974人
です。
 最近、5年間のうち、12月の自殺者数は、最低でも、1,494人(2019年)でした。 そして、11月の数は、もっと増えるでしょう。警察による死亡原因の把握が少し遅れて判明するからです。

 2024年の自殺者数は、また、2万人を超えるでしょう。そして、日本の総人口は、減少しているのです。  人口あたりの、自殺率は、悪化しているのです。自殺対策がうまく対応できていないのです。

 自殺なさる方の多くが、うつ病になっています。自殺理由が「病気」とされているうちでも、身体の病気(がんなど)になって、さらに、うつ病を併発したと推測されます。がんなど身体疾患の患者さんの「うつ病」の予防、治療の対策も充分ではないのでしょう。

 精神疾患の予防、治療の対策が重要だと思います。
 精神疾患による教員の休職退職も増加しています。
 被災地のストレスも大きく、うつ病、PTSDが心配されます。
 薬物療法だけでは治りにくい抑うつがあると、ヴィクトール・フランクルの時代から言われています。

 うつ病、PTSDの治療法の開発が必要です。現在、治療の中心的役割は、精神科医がになっています。 しかし、薬物療法だけでは、治りきれない精神疾患があること、医師の偏在、医師の働き方改革などの課題があり、精神科医によるうつ病などの治療もどうなるか心配されます。
 次のような報道もあります。

https://www.m3.com/news/iryoishin/1249577
「このままでは病院医療が崩壊」と危機感 - 相澤孝夫・日本病院会会長に聞く
◆Vol.1 「新たな地域医療構想」期待外れ、現状投影に終わる

https://medical-tribune.co.jp/rensai/articles/?blogid=11&entryid=565757
【2025年医学はこうなる】加藤忠史( 順天堂大学精神医学講座教授)
Medical tribune 2024年12月30日

 精神疾患の治療も医療界全体と同様の問題があるかもしれません。治療を受けていても自殺があります。がん患者へのうつ病の予防、治療も重要です。子ども、若者の自殺もうつ病が関係しているでしょう。
 薬以外の治療法も大切です。できれば、予防したいものです。精神疾患についての予防、治療の教育が学生、社会人などに十分になされていないと思います。

 このような状況ですので、今年も次のことを重点的に考えて参ります。

◆地方創生SDGs ターゲット3.4 自殺の減少
◆地方創生SDGs ゴール4 質の高い教育をみんなに
◆孤独・孤立対策にも「うつ病」の視点を入れるべきこと

 このブログの記事はすべてが、関連しています。うつ病が治りにくい、そこから自殺が起きる、自殺対策には、上流の対策も必要だが、下流の「なってしまったうつ病を治すこと」も重要だと考えます。
 新年にあたり、【問題点の展望】いたします。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策・自殺防止対策・質の高い教育
 〜 治療法・予防法の研究・開発・臨床・教育


次の領域を今年も研究、臨床、広報をして参ります。
 〜 下記のテーマは上記の精神社会問題に関係します

【被災地では数年にわたってうつ病、不安症、PTSDが起きる可能性】
右矢印1 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5564
大震災・うつ病・PTSD・不安症
 〜 精神療法で支援を

右矢印1 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5565
なぜ精神療法が必要か

【全国的に薬物療法で治らない人をSIMTで治す支援】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5329
◆地方創生SDGs ターゲット 3.4 自殺防止
 〜 薬物療法で効果がない精神疾患に精神療法を
   うつ病、非定型うつ病、適応障害、不安症、PTSD、過食症、など 【孤独とうつ病は相互関係・うつ病で孤独の人に精神療法で支援】 【自殺防止、うつ病などの研究開発に役立つかもしれないものが教育されない】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4894
◆地方創生SDGs ゴール4 質の高い教育を
 特に、生命にかかわる科学領域に質の高い教育を
 〜 精神疾患、精神療法、マインドフルネス学、仏教学、哲学(幸福、人生)、力ある者のエゴイズム・倫理、ハラスメント予防学、自殺予防学、日本文化の底に流れる人間哲学を探求した人びと(心の世界遺産)など https://blog.canpan.info/jitou/archive/5573
【どうして新しい治療法が必要か】
 〜 うつ病、非定型うつ病、PTSD、不安症(などが長引く、自殺のリスク)
    右矢印1 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5574
    アメリカの精神科医はなぜ「マインドフルネス」を熱心に研究開発/ 臨床してきたのか
     〜 うつ病の再発防止の効果を確認した

     (このことは、日本でも同様のはず。)

    右矢印1  https://blog.canpan.info/jitou/archive/5575
     再発予防ではなくて「治療法」にならないか多くの精神科医が試験してみた
     〜 しかし、顕著な効果はみられない、しかも、長期に用いると危険

    しかも、
    第1世代マインドフルネスに倫理的な批判が起きた
     右矢印1 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5576
【専門家が抑圧、うつ病に追い込むこと、新しい対策をとらないことがある】
右矢印1 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5585
◆専門家のエゴイズム
 〜 組織の長老によるハラスメント
 〜 学問における抑圧=新説の抑圧・排除
 〜 宗教思想の自由の抑圧
 〜 還元主義、画一主義、全体主義

【すぐそばに苦悩するひとがいるのに】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4650
◆「見て見ぬふりする社会」

【新しい治療法が提供されず治らないひとがいると見放された状態になっている】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/1812
◆無視・傍観・軽視・放置・見放される病気 うつ病

【薬物療法で治らないひとでも精神療法なら治る人もいる】
 〜新しい対策の一つに

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5563
◆第4世代の認知行動療法としての自己洞察瞑想療法(SIMT)
 SIMT:Self Insight Meditation Therapy
 後期「西田哲学」の現実的実践化、病気のひともそうでない人も


上は全体展望のリンクですが、時事的な記事のリンク
「自殺対策2025年」
は、こちらにします。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5572
【目次】自殺防止対策ー2025年
Posted by MF総研/大田 at 20:06 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
(6)何もできなくてもすべてのひとに「存在価値」 [2025年01月04日(Sat)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
(6)何もできなくてもすべてのひとに「存在価値」

 以上が、人生において何かできること(価値、意味)を見つけて生きていくと、「幸福」だと感じます。「生きがい」を感じます。
 ところで、別な価値があります。創造、体験、態度の価値は、行動や態度が伴います。行動することで、価値を充足します。 これらを「当為価値」といいます。ほかに、「存在価値」があります。

 創造、体験、態度のすべて、そして、9つ(7つ)のカテゴリーのすべては、「当為価値」です。「自己」によって、自己の行動によって、作られるものです。だから、自己は無限の可能性を持つものです。それだけで、存在するだけで「価値」があります。
 当為価値は、「自己」の働き(作用)によって、作りだされたもの(対象)です。取り換え可能です。年代、場所などが変われば、別の価値に向けて行動すればいいのです。

 しかし、「自己」は、取り換え不能です。何百憶年つづくかしれない「人類」の歴史のなかで、この「自己」はたった1回きりです。取り換え不能、代替不能です。それほどに貴重な「存在」です。

 だから、苦悩する人に向けて、ロゴセラピーや西田哲学の精神療法化したものは、次のような(一例にすぎません)アドバイス、助言があるでしょう。

1)家族から愛される存在であること。
 うつ病や自殺を防止するために考慮すべき一つは、家族の「愛」や社会の「愛」です。仕事ができなくても、「生きていてくれる」だけでもいいと言ってくれる家族の「愛」です。「存在価値」を強く意識できる場合です。自分の存在を「価値」といってくれる家族がいること。
 仕事がうまくいかないとか、ハラスメントや犯罪の被害を受けて、うつが深刻になって、死にたくなっている場合の人には、家族の愛があることを思い起こしてもらいたいのです。死なないで、家族に相談して、再起を期してもらいたいのです。
 これは、家族でもできること。家族がいるのに、ハラスメントや犯罪被害で自殺する人がおられるが、その人は「家族」の愛が見えなくなっている。だから、「希死念慮」をもっていることを家族に告げてほしい。家族は、必死に「死なないで」と告げるはずです。

2)社会から愛される=社会の愛。社会から必要とされる存在であること。
 あなたを必要とするところが別なところにあるということ。あなたがしたいと思うことがきっとあること。それを見つけてほしいこと。

3)それでも、そうとは思えないという深刻な人には、宗教的なものから愛されている存在であること。
 自己を包み、自己を生かしているものがあること、宗教的です。1)2)でも説得できない時には、宗教的な「愛」があります。これは、このことをアドバイスできる宗教者やカウンセラーしかできません。(注1)

どんなひとでも生きる価値があります。

 どんなひとでも生きる意味があります。
    (注1) 深い宗教はわかりにくいですが、三浦綾子(北海道の小説家)は、不治の病といわれて病臥していた時に、キリスト教徒の男性に宗教的な対話で説得されて自死しなかった。それがよかった。何年か生きていくうちに治った。治らなくても、宗教的な「愛」に包まれて天寿をまっとうするひとがいるだろう。
     支援してくれる人が身近にいない場合、西田哲学の論理によって、自分で実践するとしたら、こうなるという方法を書いたのが、これである。
    https://blog.canpan.info/jitou/archive/4917
    ◆大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

    マインドフルネス、SIMTは、理論(哲学、生理学など)と実践方法をできるだけ「言葉」で説明して、深く自己を探求することであるから。
【参考記事】

 存在価値については、以下の記事で述べています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2676
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2677
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2678
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2679
 「3つの価値は、能動的であるが、これができない人にもなお存在価値がある。態度価値を遂行できない人でも家族から何もしなくていい、いるだけで価値があると愛される存在価値がある。さらに、家族から見放されているとか、家族がいないための、存在価値がないと思う人には、さらになお存在価値がある。死なないということは、何か人間を越えたもの(絶対者?)に、生きること、存在することを許され、愛され、生かしつづけるものがあることは確かである。」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2767
「フランクルの3つの価値、つまり、創造価値、体験価値、態度価値のど れにも入りそうもないが、現実には、深い意味で(創造という意味にはいりきらない)家族のために生きる人も多いだろう。実は 創造価値、体験価値、態度価値のほかに、すべての人がこれをもつだろう。セラピー(医療、心理療法)を超えたマインドフルネスでは、これ をも高く評価したい。セラピーではあまり問題にならないから、フランクルは、創造価値に含めて、別に立てなかったのだろう。」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2873
「夫婦、親子の 愛という存在価値は、創造価値、体験価値を遂行していくときにも、根底に存在しており、見守っている。愛という存在価値は特別の価値である。何かの事情で創造価値、体験価値を遂行できなくなってもなお私の存在を受け入れてくれる。」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4196
「愛されることによる重要感の充足は、自分の美点への賞賛というより、自分の存在への 祝福(存在そのものの肯定)としてなされます。自分という人間がいることはーーたとえ特 別な美点などなくともーーそれ自体として祝福されるべきことだと、他者からの愛は感じさせてくれるのです。」(青山拓央(2016)『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』太田出版、p120)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
Posted by MF総研/大田 at 08:52 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
(5)「態度価値」は、「創造価値」「体験価値」の中での行為も [2025年01月03日(Fri)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
(5)「態度価値」は、「創造価値」「体験価値」の中での行為も

 フランクルは、態度価値があるといいました。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2648
★人間は最期まで生きる意味がある

  フランクルの「態度価値」は、次のようなものです。前の記事
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5549
に述べました。

 「われわれの考えによれば、さらに第三の可能な価値カテゴリーが存在する。・・・・・ このさらなる価値グループは、人間が自分の制限された生活に対して取る態度によって実現されるものである。人間が自分の狭められた可能性に対して、みずから態度を決めるというまさにそのことによって、新たな独自の価値領域、しかも確実に最高の価値に属するような価値領域が開かれるのである。」(ヴィクトール・フランクル『人間とは何か』山田邦男、p112)

 このような「態度価値」が、9つ(または7つ)の価値カテゴリーに含まれているのか。生きがいを感じるの「態度だという、これがあれば生きる意味がある「態度」だといいます。わかりにくいですね。
 「こういう態度でいれば生きる意味がある」と感じるというのですが、一般の私たちには、9つ(または7つ)のカテゴリーで考えますよね。フランクルがいいたいことを検討しましょう。

9つのカテゴリーはフランクルの高弟ルーカスの論文(注1)でみました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5550

 フランクルは、余命宣告を受けたようなつらい状況における「態度」に、価値、意味があるといいます。しかし、 ルーカスは、この検証において、「態度価値」と分類されそうなことをあげた人が少なかったので、「態度価値」は独立した「価値」として扱うべきかどうかということについて、次のようにいいます。「態度価値」は、創造も体験もできないような、病気や深刻な悩みのある状況の中だけではなくて、ロゴセラピーを健康な「通常の生活条件への適応」「成功」しつつある人の価値の中にまで「態度価値」を拡張したいといいます。

 「「態度」価値を示した回答の割合が低いからといって、この価値カテゴリーを独立したカテゴリーとして扱うことには疑問があるということではなく、むしろこの概念の適用範囲が狭すぎると考えるべきではないかということである。」(p195)

 「非常に肯定的で、精神衛生上も非常に健康的な態度というものは、たとえその人の生活が(もっとも広い意味で)成功であっても不成功であっても同等の価値を有しているに違いない。」(p195)

 「成功に対する態度とはどのようなものであろうか。」(p195)

 「自分の成功は、それが悩んでいる人びとの助けになり、その人たちの悩みを和らげるのに役立つ限りでのみ成功といえるのである。・・・・この二つの態度、つまり苦しみの中で勇敢に耐えることと幸せの中で誰かを助けようとすることは精神的に強い決意を要するものであり、そのゆえにこそこれら二つの態度は人間の大きな内面的業績に数えられるのである。」(p195)

 以上で、「態度価値」の意義が見えてきました。

◆苦しい中で、創造も体験もできないような中にあっても、ある「態度」が考えられる
◆自分でも他者から見ても、「成功」しているひとが見せる、尊敬すべき、崇高な、そのような「態度」があり、創造、体験という分類にはなじまないもの。

 実例を考えます。
◆「苦しみの中で勇敢に耐えること」の例としては、余命宣告されたひとがみせる態度、障害を持つひとが耐える姿、すばらしいスポーツ、芸術などに取り組む姿、などが考えられます。
  性的犯罪の被害者が、実名を出して告発する行動には、「苦しみの中で勇敢に耐えること」を伴いますので、「態度価値」と言えます。

◆「幸せの中で誰かを助けようとすること」の例としては、収入が目当ではない「ボランティア活動」や、大乗仏教がいう在家仏教者の「利他」の行動にみられる「態度」があるでしょう。宗教者ではないから「本務」ではありませんから。 それから、慈善団体への寄付する行為も「態度価値」でしょう。著名な芸能人が、被災地に寄付していることが報道されますが、それもそうです。
 そして、成功しても、おごらない態度もそうでしょう。河井寛次郎の「態度」もそうでしょう。力あるものが、弱い立場の人を抑圧しない態度もそうでしょう。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5539
★河井寛次郎

 その対極は、成功しているはずの者が犯す「ハラスメント」や他者をみくだす「態度」などです。「態度価値」の反対で、非倫理的です。他者を苦しみに、価値崩壊に陥れる態度です。


 「態度価値」をこのように拡張すると、9つ(7つ)のカテゴリーの中に、「態度価値」に該当するものがあるといえます。そして、ほとんどすべての人の「創造価値」「体験価値」を持つひとに、上記のような「態度価値」が、その遂行中や、間にあることになります。ボランティア活動、寄付、などの「態度価値」とされることをすると、生きがい価値を感じるでしょう。
 大乗仏教や西田哲学は、苦悩する他者に対して「利他」をすすめますし、すべての人に「至誠」で生きるようにというのが、深い生き方だといいますが、「態度価値」をすすんで行うことになると言えるでしょう。それだけを強調した「価値カテゴリー」のうち、「信条への奉仕」のうち、「宗教」があります。その意味を含む「自己教育」、「愛」もあるかもしれません。
 SIMTの7つの「価値」のうち、「精神面の成長」は、この「態度価値」です。つらい人も成功している人も、「至誠」と言われる「態度」で、判断し、行動していく精神を成長させようとします。  以上のように、抽象的な3つの価値と、具体的に9つ、7つが多くのひとが価値ある人生、意味ある人生と考えることは確かなことと言えます。ほかの哲学者も「幸福とは」について、同様のことをいいます(注2)。

 ひとはみな、3つの価値、具体的な9つ(7つの)カテゴリーを実行できれば、「生きがい」「人生の意味」を感じるのです。 これを失うと、無気力感の継続、精神疾患、自殺もありえるのです。 他者からみれば、仕事を持つひとの中でも、内心では、生きる意味の喪失を感じるひともいて、違法薬物をとり、家庭内暴力をふるい、希死念慮をもっているかもしれません。フランクルはいいます。上記の「価値」は、親や団体から押し付けられたものではなく、それをしていて心底、幸福感を感じるものであることが条件になるようです。

 「彼がどのような人生の意味をも知らない場合には、たとえ外見上はどんなにうまくいっていようとも、彼には人生なんてどうでもいいことであり、事と次第によっては人生を投げ出しもします。・・・・
事実、カリフォルニアの合衆国国際大学にいる私の共同研究者は、自殺も麻薬中毒も、その原因は結局のところ無意味感に帰せられることをテストと統計によって証明することができました。」 (フランクル『意味による癒し』山田邦男監訳、春秋社、p130)

 「無意味感」を予防したり、解決するためには、「ひきこもり」の人のなかにも、精神疾患ではないが、「価値」「意味」を失っている人がおられるでしょう。精神疾患(うつ病、PTSDなど)と診断されるものを発症して治らず、価値、意味を失っているひともおられるでしょう。「意味」の発見や治療の支援が必要です。 薬物療法だけでは不足することがわかります。
    (注1)『意味による癒し』 に収録されている論文。 「第五章 ロゴセラピーの有効性」エリザベート・S・ルーカス

    (注2)ヘルマン・ヘッセ、ヒルティ、アラン、ラッセルを紹介しました。
    大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

今、つらい状況にあるかた

 上記のような、何をしたらいいかわからないで踏み出せない方、孤独感を感じておられるとか、「死にたく」なっているかたは、相談機関(自治体や国、NPOなど)に相談なさってほしいと思います。
今、行われている、次の記事の「内閣府のチラシ」もその一つです。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
★「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています

内閣府のホームページ
https://www.notalone-cao.go.jp/

(続く)


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
Posted by MF総研/大田 at 08:55 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
(4)9とか7つの生きがいカテゴリーは、創造・体験価値と同じとみなしてよい [2025年01月02日(Thu)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
(4)9とか7つの生きがいカテゴリーは、創造・体験価値と同じとみなしてよい

 前の記事で、フランクルは、3つの価値をいいますが、一般の人にきくと、そういう言葉で言わずに、7つとか9つに分類されるような言葉で表現します。「仕事」と「趣味」とかです。
 この2つのものが、同じといってよいと思われます。「仕事」は、自分の行為によって、なにかを作ります。製品やサービスです。だから、「生産」であり、「創造」です。

 西田哲学では「生産」と「消費」は、矛盾するようだが、「同一」であるといいます。つまり、「生産」されたものは、他者によって「消費」されます。「生産」は、製品・サービスを外に向かって出すこと、「消費」は、他のひとが生産した製品・サービスを「受けとる」「鑑賞する」「参加する」などです。

◆「仕事」は「創造価値」
 「仕事」は、創造、生産の意味がありますが、その時、同時に、生産に必要な材料を買う、サービスを利用しますが、そこは「消費」の側面です。 「仕事」においては、この材料を買うとか、サービスを利用しないと、生産ができません。仕事においては、生産と消費の側面の両方が、順調にすすむことが「幸福」です。生きがいを感じます。

◆「趣味」は「体験価値」
  趣味の中には、生産の意味が濃いものと、消費の意味が濃いものがあります。趣味で、スポーツ鑑賞、芸術鑑賞、旅行しているのは「消費」の意味が強いです。しかし、その趣味で得たものを本に書いて出版するとか、インターネットで紹介すると、そこは、「生産」の側面が強いです。
 「趣味」においては、自分にとっては、他の人の製品・サービスを消費させてもらうことが多いです。「体験価値」の意味が強いですが、その時には、他の人が「仕事」で「生産」した「製品・サービス」を消費します。たとえば、「旅行」は「体験価値」でしょう。「旅行」が趣味だと、交通機関に乗り、ホテルに宿泊します。交通業、旅館業を「仕事」とするひとの製品・サービスを消費します。

 以上のように、他の7つとか、9つのカテゴリーは、「創造価値」「体験価値」の意味があるといえます。ほかのカテゴリーもそうです。みなさん、考えてみてください。

 この「創造価値」「体験価値」の意味を持った「何か」をもっていて、それが、順調に実現すれば、「生きがい感」を得て、生きていくことができます。これが、実現しないと、「生きる意味」を感じないで、「ひきこもり」、深刻に悩むと「うつ病」になるおそれがあります。 ただ、ほかの「価値」が大きいと、一つの価値を失っても生きていけるひとがいます。あとでいう「存在価値」を強く感じる場合です。

 「孤独・孤立対策基本法」が施行されました。強く「孤独」を感じる人にも、仕事や趣味があっても、ひきこもり、うつ病になるひとが多いでしょう。対策を考える時に、考慮すべきです。

今、つらい状況にあるかた

上記のような、何をしたらいいかわからないで踏み出せない方、孤独感を感じておられるとか、「死にたく」なっているかたは、相談機関(自治体や国、NPOなど)に相談なさってほしいと思います。
次の記事の「内閣府のチラシ」もその一つです。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
★「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています

内閣府のホームページ
https://www.notalone-cao.go.jp/

(続く)


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
Posted by MF総研/大田 at 11:56 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
(3)「価値」「意味」とは? 具体的にいうと [2024年12月30日(Mon)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
 (3)「価値」「意味」とは? 具体的にいうと

 フランクルと西田幾多郎は、人はみな人生に「価値」「意味」をみるといいますが、抽象的でわかりにくいです。
 実際に、人はどう表現しているか、フランクルの高弟の研究(注1)を紹介した文献があります。 実際に、1000人に次のように質問した時に、得られた回答です。整理して、9つの「内容カテゴリー」にまとめられました。

 「あなたが生きていることに意味があると思えるような、何か個人的に価値のあることがおありでしょうか。もしおありでしたら、短い言葉であなたの人生の意味を表現していただけますか?」
(VEフランクル「意味による癒し」山田邦男監訳、春秋社、P179)

5550-生きる意味カテゴリー.jpg

 一般の人に問うと、創造、体験、態度、という言葉ではなく、表のような言葉です。フランクルのいうことと同じでしょうか。論文の著者は、こう考えています。

 「これに対して筆者は次のように考えている、すなわち、これら三つの価値は現実に存在するものを理論的に使用可能なように抽象化したものであって、それらの価値の実際に具体化されたものは内容的にさまざまな領域で見出される、ということである。 それゆえ、価値志向と内容カテゴリーはもともと同一のものであると言ってよいであろう。」(p197)

 「抽象化する理論家の立場から」と「ごく普通の平均的な人間のもっている思考体系に適合したもの」という。

 現実の臨床の場で、精神科医と患者との間では、9つのカテゴリーで対話がすすむのです。自己洞察瞑想療法(SIMT)(注2)でも、同様です。

 これらの「価値」が実現しない状況と「うつ病」「自殺」は密接な関係があります。
 うつ病(フランクルの著作では「神経症」となっていることが多い)から回復するためには、患者がすでに「価値」を持っているが、病気になって、その実現がそこなわれている場合と、「価値」がわからなくなったひとがいます。前者は、症状の回復のみの支援となります。後者は、症状の回復の支援と、患者が望むならば、「価値」の発見の支援になります。

 上記の「価値カテゴリー」(9つ、7つ)が、どうして、3つの価値と言えるでしょうか。 哲学的、理論的には、具体的カテゴリーは、創造、体験、態度の意義があるということです。
 これらの価値、意味の一つか複数個を強く持つならば、抑うつ状態を脱し、自殺しないですむはずです。「家族」がありながら、自殺するひとがとても多いです。どうしてでしょうか。

(注1)『意味による癒し』 に収録されている論文。
「第五章 ロゴセラピーの有効性」エリザベート・S・ルーカス

(注2)自己洞察瞑想療法(SIMT)は、西田哲学の臨床、実践化ですが、SIMTによる「価値」 は、やはり、「具体的な言葉」にしています。P111の最上部の(表1)で、7つの価値にしています。

(図)
(大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社、P111)

5550-価値SIMT.jpg

(続く)


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
Posted by MF総研/大田 at 19:49 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
(2)創造価値、体験価値、態度価値 [2024年12月30日(Mon)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
 (2)創造価値、体験価値、態度価値

 人はこの世に生を受けて、寿命を生きていきます。たいていの人間は、自分で生きがいを感じる仕事をして、社会に貢献できることで幸福感を得ます。そういう仕事(創造価値)がない人には、いきがいがないかというと、そうではないといいます。

 フランクルは、人間は3つの価値のどれかをできることで、人生にいきがい価値、意味を見出すといいます。この3つのどれも持てないひとは、絶望、うつ病になります。フランクルは、価値を3つに分類しているのでわかりやすいかと思います。 創造価値、体験価値、態度価値です。
(フランクルは、意味と価値を使い分けていますが、ここでは厳密には使い分けません。)

 「創造を通して実現される価値――われわれはこれを「創造価値」と名づけたい――が存在するだけではなく、さらに、体験において実現される価値、すなわち「体験価値」も存在する。この価値は、世界を受容すること、たとえば自然や芸術の美しさに没入することによって実現される。 この価値が人生に与えうる豊かな意味は過少評価されてはならない。」(ヴィクトール・フランクル『人間とは何か』山田邦男、p111)

 「われわれの考えによれば、さらに第三の可能な価値カテゴリーが存在する。・・・・・ このさらなる価値グループは、人間が自分の制限された生活に対して取る態度によって実現されるものである。人間が自分の狭められた可能性に対して、みずから態度を決めるというまさにそのことによって、新たな独自の価値領域、しかも確実に最高の価値に属するような価値領域が開かれるのである。」(同p112)

 働き盛りの年代の人は、「創造価値」が実現すれば、幸福感を感じて、力強く生きていくでしょう。しかし、日本では最近、働き盛りの人もうつ病になり、自殺も多いです。
 子どもも高齢者も、不登校、自殺が増加しています。生きる意味を失った、生きる価値を見つけられないか、みつけていてもうまく実現できないのでしょう。

 子どもと高齢者には、創造価値を見つけなさいという支援ではすまないかもしれません。孤独・孤立対策基本法が施行されました。 孤独のところにも、生きる価値、生きる意味の喪失があります。そうでなければ、孤独からうつ病、自殺は起こらないでしょう。

【関連記事】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5491
★ストレスが多い、労働環境が過酷、ハラスメントする幹部
 〜うつ病になり、自殺していく国民
「ならばどうしたらいか」を考える
 〜 和田秀樹氏の提言を見る前に

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5461
★うつ病が薬で治らないし認知行動のできる心理士も少ない
 〜 メンタルクリニックが「治らない患者」であふれ返る深刻な理由

(ほか、多数、おいおい、追記します)

(続く)


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある
Posted by MF総研/大田 at 10:42 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
どんなひとでも生きる価値がある  どんなひとでも生きる意味がある [2024年12月29日(Sun)]
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5546
「孤独・孤立相談ダイヤル #9999」及び「チャット相談」「メール相談」が始まっています。 「死にたい」という気持ちには「抑うつ」「うつ病」の場合があります。相談なさってください。そこから、適切なところに「つないで」くださる場合もあります。まず、「相談」を。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある

 生きる価値がないと、苦悩し、引きこもり、不登校状態になり、うつ病になったり、死にたくなったり、そういう人が多いと思います。

 高齢者も仕事がないと、生きがいを失い、悩む人も多いでしょう。高齢者のうつ病、自殺も多いです。

 アドラー、フランクル、西田幾多郎が言っています。

どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある

 アドラー心理学の岸見一郎氏のお話しがありました。

アドラー心理学の哲学者、岸見一郎が「老後に不安を覚える」すべての人に送るメッセージ

 このことは、ヴィクトール・フランクルや西田幾多郎の哲学も同様のことを言います。

 フランクルの「生きる価値」と、西田幾多郎の「価値」は、次の記事でみました。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2828
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2829
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2830
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2833
自己洞察瞑想療法SIMTでは、セッション4で「価値」を確認します。

 フランクルは、価値を3つに分類しているのでわかりやすいかと思います。 創造価値、体験価値、態度価値です。

仕事をしたいというような若い人のうつ病、生きる価値があるのに「できない」

 うつ病になった人が、SIMTで「治す」ことを期待して、セッションにおいでになります。 たいてい、仕事や家事(主婦)をしていたのに、うつ病になったが、治らないというひとが多いですが、それならば、「仕事をする」という「価値」をもっていたのです。「創造価値」です。そうすると、今は、病気であるから、「創造価値」を実行できないので、「喜び」「生きがい」を感じないということです。
     (以下の説明で、自己洞察瞑想療法(SIMT)は、西田幾多郎の西田哲学の実践化したものとさせてください。西田哲学は、宗教以前の自己、自己の行動、世界の見方と、宗教的視点からの自己、行動、世界観を論理的に説明しています。西田哲学の実践化として、SIMTも宗教以前と、宗教的なものとがります。)
 「治す」期間、1年ほどの間は、「治す」ということを「価値」「生きる意味」にしていただく。「治すというのが(暫定的な)価値」とおいて、このために重要とされている課題を実践する。そうすると、「価値のために」「今、この課題をする」ということになる。これが 眼窩前頭皮質を活発に用いるので、うつ病が治るのでしょう。眼窩前頭皮質は、価値実現に関係する脳部位です。(うつ病の患者はそこも縮小している。背外側前頭前野、前部帯状回も。別の記事に述べた)
 アドラー、フランクル、西田幾多郎の哲学は似ているところがあるようです。読んで理解するだけでは、生きる意味、生きる価値は感じられないはずです。「実践」しなければ。
 「実践」すると、その瞬間、達成感が感じられて、生きがい感を感じるのです。継続していると、症状が軽くなり、完治するひとが多いです。「完治」が困難とされている精神疾患のひとや、障害のひとは、SIMTの実践で、その病気、障害がありながらも生きる価値、意味を見つけて、生きていく心のスキル=価値実現の意志作用、叡智的行動を習得して生き抜いていかれます。

 医師、教師、会社員、主婦などは、治ると、以前の仕事に復帰できます。創造価値への復帰です。 適応障害で、抑うつだった人は、治ったら別の仕事を見つけることになります。
 「退職」しないで、うつ病等(ほかに、不安症やPTSDなども)を「治す」ために、SIMTを行う場合、仕事と治すためのSIMTを2つの価値として持ち、その都度、切り替えていきます。
 家族、夫婦関係(これも価値、意味)が不和によるうつ病ならば、治ってから冷静に考えて、維持し続けるか、離婚するか決断するでしょう。

 いずれにしても、このような価値、意味を理解していただいて、「治る」ために効果があると「評価」されていること(呼吸法、悩むだけの思考停止や運動など)を実行していきます。

仕事=創造価値への生きがいをもてそうもない状況

 前記のような、典型的でないうつ病の場合はどうなるでしょうか。
 仕事ではない生きる意味を感じない高齢者、難病や障害などで仕事を価値と思えない人はどうすればいいでしょうか。生きる価値がない、生きる意味を感じないというひとは、悩み続けるでしょう。価値、意味の哲学は、どう教えているでしょうか。これを乗り越えれば、高齢者、がん患者、難病の方々のうつ病、自殺を減少できるはずです。
 アドラー、フランクル、西田哲学ではどう教えるでしょうか。考えていきますが、「実際」「行動」を起こさないと、生きがい感、幸福感は得られないのです。この「感」を「感じる」と、喜び、幸福感(陽性の「感情」の一つ)を感じるのですから、生きる価値、生きる意味を見出しています。
 (決して、「無評価」ではありません。自分にとって、社会にとって、「価値」「意味」があるか、そうでないかを、瞬間瞬間「評価」して生きています。
 SIMTは第1世代マインドフルネス(ブームになっている「無評価で観察」)ではありません。第2世代マインドフルネスです。 「認知行動療法(CBT)」でいえば、MBSR,MBCTを活用したものは、第3世代認知行動療法とされましたが、SIMTは、第4世代の認知行動療法です。
 「第1世代マインドフルネス」は、倫理的な批判が起きています。他を排除したり、問題を見て見ぬふりを助長するおそれ、自傷自殺を増加させるリスクが報告されています。一部の問題に有用ではあるが、重大な「副作用」があるということです。
 「マインドフルネス」が、評価が良くない状況が続けば、「マインドフルネス」から離れます。 SIMTは、もともと、「マインドフルネス」がブームになる以前に開発されました。また、フランクル、アドラー、西田哲学は、「マインドフルネス」以前からありました。 )

子どもの自殺が多い日本=子どもが生きる意味を失った

 子どもが自殺が多くなっています。不登校もそうです。これも子どもの生きる意味についての問題です。
 子どもは、どういうことに価値を見て、そじて、一部の子どもが不登校を選び、一部の子どもが自殺するのでしょうか。不登校も自殺も増加しています。


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
どんなひとでも生きる価値がある
 どんなひとでも生きる意味がある


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5554
(6)何もできなくてもすべてのひとに「存在価値」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5553
(5)「態度価値」は、「創造価値」「体験価値」の中での行為も

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5552
(4)9とか7つの生きがいカテゴリーは、創造・体験価値と同じとみなしてよい

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5550
(3)「価値」「意味」とは? 具体的にいうと

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5549
(2)創造価値、体験価値、態度価値

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5548
(1)創造価値
Posted by MF総研/大田 at 07:54 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL
| 次へ