後絶たぬ「老老介護」殺人
高齢者の家庭がふえるなかで、高齢者が高齢者の介護をするケースが増えている。高
齢者が介護すると介護に疲れてうつ状態になり自殺したくなる。ねたきりの人や認知症
の配偶者を残してもかわいそうだと思って無理心中する事件が多い。
その実情と地域の対策の例を紹介した記事があった。
(朝日新聞 8/28/09)
介護疲れ殺人事件
- 東京、8月、認知症の妻(82)を夫(81)が殺害。二人暮らしだった。今年春
から妻の病状が悪化。
- 埼玉、08年12月、妻(72)が夫(78)を殺害。自分も死のうとしたが死に
切れず逮捕される。夫が大動脈瘤で介護状態に。妻が介護したが妻も病気がち。近所に
子どもがいたが介護の苦しさをうちあけなかった。行政にも相談しなかった。理由は「
考えてもみなかった。知らなかった。」
- 08年1〜11月に65歳以上の高齢者が起こした殺人事件(未遂を含む)は16
0件。うち動機が「介護・看病疲れ」が21件だった。
介護疲れによる自殺、殺人が多いが、地域で対策をとっている事例
- 東京都新宿区の社会福祉協議会の「暮らしのサポート事業」。困りごとがあると、
高齢者に有償のボランティア(228人)を紹介する。報酬は1時間800円。認知症
の女性のところが利用。子供が仕事から帰ってくる前の午後5時から7時に家事手伝い
を依頼する例。夕食づくりとおしゃべり。
65歳以上の高齢者は2015年には3378万人になると推定される。仕事が忙し
い子供、遠くにすむ子供は介護できない。そうなると「老老介護」が増える。以前から
、コミュニケーションしない、孤立しがちの人は介護疲れうつ病になるおそれがある。
新宿の制度も一つの解決対策だ。高齢者は積極的に支援を求めない場合があるから、子
供がすすめて手続きをとることを考えたほうがいい。「大丈夫」という言葉を真に受け
ないほうがいい。うつはあるきっかけで急速に悪化する。老親を持つ人も支援ボランティアはうつについての多少の知識があるほうがいい。