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その10)人生(=世界)の意味を問うのでなく人生(=世界)を作っていく [2025年12月29日(Mon)]

ヴィクトール・フランクル
 〜それでも人生には意味がある

第3回 豊かさの中の「空虚」
〜(その10)人生(=世界)の意味を問うのでなく人生(=世界)を作っていく

 テレビ放送の3回目の内容を昨日、お伝えしました。 前の記事のうち、次の点でについて、述べます。

◆「コペルニクス的転回」

 ロゴセラピーは「コペルニクス的転回」という方向転回をさせる。たとえ話をされた。

 「人生の意味を安易に問うのはもうやめて、自分自身が人生から常に問われているのだと自覚しようということです。」
 「自分の方から人生を作っていくことだ。」

 このことは、西田哲学では、自分は世界の中で生きているので、世界を見て、自分のできることを行動して世界を変えていく、世界を作っていく、自分は「創造的世界の創造的要素」。(下記、SIMTでは1

(SIMTでは1)コペルニクス的転回
 「自分は環境を作る存在」(著書A,p131,137)
 「自己は創造的世界の創造的要素」(著書C,p91)
 次の記事で述べます。
 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5806

 ここです。

自分は創造的世界の創造的要素

 フランクルは、こういうのですね。

  「人生の意味を安易に問うのはもうやめて、自分自身が人生から常に問われているのだと自覚しようということです。」
 「自分の方から人生を作っていくことだ。」

 「人生」というのを、「世界」とか「社会」という言葉に置き換えると、わかります。 「人生」は、「今」の連続です。今という瞬間には、世界と自分があります。世界は、無数の人間の行為(建設と破壊)で、変化していきます。自分も世界の中にいるので、自分の行為によって、世界が変動します。ですから、フランクルの言葉を次のように変えても同じことになります。

  「「世界」の意味を安易に問うのはもうやめて、自分自身が「世界」から常に問われているのだと自覚しようということです。」
 「自分の方から「世界」を作っていくことだ。」

 「世界」は、人間によって構成されています。世界は自分のいる場所ですから、ある時は「家庭」、ある時は「職場」です。治療を受ける瞬間は、クリニックや病院です。

 いつも、自分がいる場所(世界)で、自分が何を求められているか、何ができるか、できることをしていく。できることとは、フランクルによれば、創造価値、体験価値、態度価値と言われることです。世界は、「死ね」とは言いません。何かできることがある、してもらいたいことがある、生き抜いて世界のためにできることをしてほしい、というはずです。
 こういうことをSIMTでは,理解してもらって、何でもいい、鉢の花に水をあげることでも、道路ばたのごみを拾うのでもいい、自分のできることを行動していきます。
 本では、次の箇所に、述べています。
 「自分は環境を作る存在」(著書A,p131,137)

 「自分は家庭や社会の外ではなく、家庭や社会のなかで生きています。そのもっとも小さい環境は家庭です。自分は家庭のなかの一員ですから、何か行動すると、家庭に変化が起こります。 もし、自分が家具を破壊するならば、次の瞬間に破壊された家具を見て、自分も家族も暗い気持ちになるでしょう。 逆に、自分が部屋をきれいにすると、自分も家族も気持ちが明るくなるはずです。このように、自分の行動ひとつで家庭が変わるのです。(以下、略します)」(著書A,p131)

 「自己は家庭を作る(創造する)要素です。自分の行動が家庭、職場、団体、近隣までも変化させます。そして自分自身も家庭や社会から影響を受けます。」(著書A,p132)

 自分で食べる食物がないと生きていけません。どこかの農業、漁業の人が作ってくれたものを、自分は食べます。世界(社会)から、食べ物をいただきます。自分は代わりに、自分ができることを世界、社会に働きます。
 こういうわけで、今の瞬間、世界(=人生)から自分は何をできるか問われているのです。 自分ができることをすると、家族が喜んでくれます。職場の人やお客さんが喜んでくれます。 そして、他の家族や職場、顧客は私に何かをしてくれます。こうして、みな、自分ができることを「世界」に出していく(=働く)ことで、世界が変化していきます。

 こうして、精神疾患になった人でも、その症状があっても(建設的なこと、役にたつこと)できることを「行動」していくと、相手に喜ばれます。そういうことをしていくと、数ケ月たつうちに、症状が軽くなります。脳がそのようにできているのですね。家庭のため、社会のために、喜ばれることをすると、眼窩前頭皮質、背外側前頭前野、前部帯状回などが活性化して、症状が軽くなるように、できているのですね。

 短期的な目的を実現していく「意志作用」だけでは、治りません。無評価で観察する瞑想だけでも治りません。社会に価値あることをする眼窩前頭皮質が活性化する「精神」を活性化する方向での「目的設定」と行動でなければ治らないのです。
 フランクルのいう「実存的空虚感」にあるひとも同様だというのです。今の瞬間、社会、世界(=人生)のために何ができるか、そういうふうに生活する方針で生活するようにならなければ、「空虚感」がなくならないというのです。

 無気力、空虚感が生じる精神疾患には、大きく分類すると、2種あります。

@意味、価値がみつかっていないために、世界を作っていく行動ができない
 =ずっと働くことができない
A意味、価値を持っていたのに、過労、いじめ、人間関係などから脳神経が炎症を起こしたために、無気力となり元の行動(家事、職業)ができない
 =一次的に休職。(しかし、長引くと一部のひとは@になってしまう)

 ともに、回復する支援が必要です。

(注)上記の説明は、主として「創造価値」で説明しいました。「体験価値」「態度価値」もあります。他のひとが「創造」してくれたもの、サービスを消費させていただくのです。そのひとが、創造したものを自分は感謝して体験(参加)させていただくのです。やはり、世界のひとが喜びます。

◇SIMTの著書A、『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』
◇SIMTの著書C、『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』

(注)SIMT=Self Insight Meditation Therapy。自己洞察瞑想療法。 公刊された書籍は、3つです。ほかに、マインドフルネス瞑想療法士の 講座に使用されるテキスト が多数あります。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
★自己洞察瞑想療法、SIMT ブームになった「マインドフルネス」(第1世代マインドフルネス)とは、違います

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
 〜それでも人生には意味がある


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策にうつ病の視点を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5572
【目次】自殺防止対策 2025年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5564
【目次】大震災の被災地の心のケア
Posted by MF総研/大田 at 17:26 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL