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(その9)人生の意味を問うのでなく人生を作っていく [2025年12月28日(Sun)]

ヴィクトール・フランクル
 〜それでも人生には意味がある

第3回 豊かさの中の「空虚」
〜(その9)人生の意味を問うのでなく人生を作っていく

 テレビ放送の3回目が、今朝ありました。 放送では、次のような、大きな重要なポイントを語られました。

 戦後、自由になったのに、先進国ではみな実存的空虚感に襲われる若者が増えた。 豊かさの中で、自分の生き方がわからなくなった。空虚感を 埋めようとして、アルコール依存症しても現れている。
 社会には、もっと苦しむひとが多いのに、そういう社会の問題に無関心になる。フランクルは、「意味の喪失」という。
 これは、自分のことばかり観察している、空虚な自分を見つめすぎる「過剰自己観察」によるという。
 「鏡」の前にたって、自分を映すことばかりしている。外に出ていかない。

 フロイトの精神分析が、過去に何があったかという過去ばかり見させる。フランクルは、その方法を批判。たとえて説明。

 潮が満ちている時には、岩礁は見えない。引き潮の時に、海中から岩礁が現れる。それを細かく調べる。過去を掘り越すことばかりしている。

 滿潮の自分ならば、過去は苦にならない。精神分析は、過去をほじくるから、今、苦しくなる。過去を見つめず、現在のことに目を向ければ、過去のことが気にならなくなるのだ。
    (ここは、SIMTと全く似ている。つらいことが感じられても、価値実現の行為をしていく。そうすると、うつ病や不安症の症状が軽くなっていく。下記、SIMTでは2)
 今、自ら生きる意味のあることに目をむければいい。 自分は、今、何を求められているか、「外」に向かって表出すればいい。
 現在は、重要な決断の時。過去は変えられないけれど、価値があるようなもの、外に向かって、行動する。「自己超越」という。

 そういう外に向かう心を「精神的次元」という。それが、うまく稼働するかが大切。 自己が、成長すれば、外にあふれていく。
    (西田哲学では、対象の方向に世界を作る行動を「ポイエシス」という。それができるように、自分を成長させることを「プラクシス」という。いつも、同時に行う。これに類似する。
     SIMTでは、世界に向かって価値実現の行動をする。同時に、それができるように、自己を成長させていく。そういうつもりで生活する。エゴイズムのこころに気づき抑制することが大切。
◆「コペルニクス的転回」

 ロゴセラピーは「コペルニクス的転回」という方向転回をさせる。たとえ話をされた。

 「人生の意味を安易に問うのはもうやめて、自分自身が人生から常に問われているのだと自覚しようということです。」
 「自分の方から人生を作っていくことだ。」

 このことは、西田哲学では、自分は世界の中で生きているので、世界を見て、自分のできることを行動して世界を変えていく、世界を作っていく、自分は「創造的世界の創造的要素」。(下記、SIMTでは1

◆良心

 良心についても、語られました。
 良心=意味を受信する器官。「良心」は、理にかなっていること。他に対して、相手のため、自然環境のためになることを作っていく精神。
    (西田哲学でも「良心」という。SIMTでは、本音の観察をいう。そのうち、自己中心の心理、我利をはかる心理に気づき抑制しようと訓練する。そうしないと、家族や職場のひとを苦しめる。彼らの価値を崩壊させる。そうすると、自分もそこ(場所)で生きているので、その場所を価値崩壊の暗い場所にしてしまう。
     良心のない例であるが、ネットで匿名で他者を誹謗中傷する人間が、自分の住む日本を暗い場所にしている。自分の生きている日本が暗くなるのだから、自分も報いを受けるだろう。誹謗中傷する人間は自分の住む場所(日本)を破壊しているので、自分自身もいつまでも幸福になれない。)
  ウイーンにある「ヴィクトール・フランクル・センター」では、彼の精神を伝える活動をしている。たとえば、参加者は、次のことを学んだ。
 精神は、過去のことを断ち切る、「憎しみの連鎖」を断ち切ることができる。
    (SIMTは、「連合解消」という。つらいことが起きた時に、衝動的反応でなく、価値実現の反応・行動という。こうするから、陰性の感情を起こす思考の回転が少なくなるので、交感神経、副腎皮質ホルモンが抑制されるので、うつ病の症状が軽くなっていく。)
 こうして、フランクルのロゴセラピーと、西田哲学(後期)を背景にしたSIMTとは、非常に類似しています。ロゴセラピーもSIMTも、うつ病や不安症の治療の支援に活用できるでしょう。
 どちらかというと、ロゴセラピーは、意味・価値を見つけていない人、たとえば、「ひきこもり」の人のうちで、何をしたいのかわからない人、あるいは、大学生で社会に出ていこうとするが進路がわからないひとに、意味・価値の発見の支援が有力でしょうか。

 一方、SIMTは、意味・価値を持っていたのに、種々の精神的ストレスで、うつ病、不安症になり、薬物療法で治らないが、元の意味・価値の世界に復帰したい人の支援に有力でしょうか。

 どちらも、若者、働く人、高齢者、はすべて、そして、被災地にも起こり得るし、カルトの被害、など、孤独・孤立があり、そこからの自殺防止の支援に向くと思います。

【注、SIMTでは】

 SIMTではどのように観察するか


 フランクルと西田哲学(SIMTも)は類似します。もう少し、ここに、関連を追加します。

(SIMTでは1)コペルニクス的転回
 「自分は環境を作る存在」(著書A,p131,137)
 「自己は創造的世界の創造的要素」(著書C,p91)
  次の記事で述べます。
 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5806

(SIMTでは2)過去を見ないこと。
 実は、SIMTでは、支援者(マインドフルネス瞑想療法士)に過去を全く話さずに、支援のセッションを受けることが可能である。現在、ある思考、行動をすると、陰性の感情が起きるが、その時でも、それ(思考、想起、感情)から意識を呼吸や目前の物、音に向けるとか、建設的な行動に移ると、つらさが軽くなることを体験で知る。瞑想中でも、想起、思考で感情が起きる時に観察する。その訓練を繰り返す。2,3カ月もすると、症状が軽くなる。発症した時の事件事故、愛する人の死などという過去の思い出に執着するのではなくて、現在、どういう傾向の思考、想起、行動をすれば、現在つらくなるか(交感神経の興奮、副腎皮質ホルモンの分泌も理解する)を身をもって体験する。瞑想中も想起、思考が起きたら、同様の観察をする。カウンセラーに詳しい内容、言いたくない過去、内容を告知しなくても、回復が可能である。だから、SIMTは、自習でもできる。カウンセラー(マインドフルネス瞑想療法士)がいなくても、テキストを理解して、課題を実行できるひとは、治る。治らなくても、生きていく「精神」が活性化する。
 支援を受ける場合、つらい過去を支援者に告知しなくても、現在、どういうふうに課題を実行していくか、その方法を教えてもらいながら実行していくと、治る。完治が難しい疾患、たとえば、双極性障害、統合失調症のひとも、SIMTの方法で生活していけば、症状があっても生き抜いていく「精神」が活性化するだろう。自殺のリスクが低くなるだろう。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5197
 → 双極性障害(双極症)のマインドフルネス心理療法にSIMT

 (以下、いくつか、加えていきます。)
◇SIMTの著書A、『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』
◇SIMTの著書C、『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』

(注)SIMT=Self Insight Meditation Therapy。自己洞察瞑想療法。 公刊された書籍は、3つです。ほかに、マインドフルネス瞑想療法士の 講座に使用されるテキスト が多数あります。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
★自己洞察瞑想療法、SIMT ブームになった「マインドフルネス」(第1世代マインドフルネス)とは、違います

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
 〜それでも人生には意味がある


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5555
【目次】孤独・孤立対策にうつ病の視点を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5572
【目次】自殺防止対策 2025年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5564
【目次】大震災の被災地の心のケア
Posted by MF総研/大田 at 19:44 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL