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第2回の(2)自己距離化=苦悩を生き抜く精神療法 [2025年12月02日(Tue)]

ヴィクトール・フランクル
 〜それでも人生には意味がある
第2回の(2)自己距離化=苦悩を生き抜く精神療法
 〜フランクルのロゴセラピーが日本に多い自殺をなくすために

 フランクルのロゴセラピーにある哲学、ケアの手法と、後期西田哲学の哲学と実践論(=それを具体化した自己洞察瞑想療法、SIMT)の類似性を見ています。

 11月23日、フランクルの第2回目の放送がありました。

第2回 苦悩を生き抜く(2)

 2回目に、フランクルのロゴセラピーの手法が2つ紹介されました。自己距離化と自己超越です。
 後期西田哲学の実践論の具体化の一つの試みである自己洞察瞑想療法、SIMTと類似します。両方とも、「自殺念慮」を回復するからでしょう。 自殺防止には、これほどの深い「精神」(西田哲学では「行為的直観」レベル)に届く、精神療法が必須なのだと思います。
 自殺対策は、「相談」だけでは不足です。紹介する先が、「精神」レベルでない「カウンセリング」だけでは不足です。深刻な人の支援対策を考えている部署があるのですか。せめて、都道府県に1か所あってもいいのではありませんか。
 ほかの病気(がんなど)には、そういう深刻な重病を引き受ける病院があるのに、重症の 「うつ病」の患者をひきうける病院がないのは、対策として不足ではありませんか。長期的な医療政策が考えられているのですか。

◆「自己距離化」

 テキストの見出し、「心を守るための「自己距離化」」の項に、次の説明があります。

 「彼の取った作戦の一つは、自分の苦しみや悲しみから「距離を置く」ことでした。」(注1,p46)

 「悲惨な状況に対して感情的になるのではなく、それを冷静に観察して客観的にとらえようとしたわけです。」(p46)

 「人は誰でも「自己距離化」によって、ネガティブな感情から距離を置くことができます。 自己距離化の能力を高めると、苦しみや悲しみに心を痛めつけられずに済むのです。 それによって体の抵抗力が上がり、病気にかかりづらくなることさえあるのです。」(p47)

 「自己距離化は、ロゴセラピーの重要な手法の一つだと言えます。」(p47)

◆「本音の観察」=自己洞察瞑想療法、SIMTにおける考えかた

 自己距離化は、SIMTでは、類似する手法が最も重要な手法です。「行動時自己洞察」、本音の観察があります。常に、自分の心理作用を観察しています。 「観察」とは、まさに、自己距離化に類似するようです。対象としての感覚や感情、思考、背後にある本音を観察するのです。ただし、対象と自己が離れた別のところという意味ではありません。下記のとおり、対象も自己の心の中ですから。

 「この心理療法では、うつ病を改善するための心の使い方を訓練します。それは、たとえつらいこと(感覚、感情、状況、症状など) があっても、自分の心を観察し、受け入れて、自分の願い(人生の価値)を実現するための行動を選択できる「意志作用」を習得することです。」 (注2,p12)

 特に、背後に潜んでいる「本音」の観察が、SIMTの特徴です。感情が起きた時、即座に反応せず、自分が起こした感情を冷静に見て、背後にある評価基準(本音)を観察します。
 ただし、苦悩の対象が自己の外にあるということではありません。 観察する対象は、常に自己の心の中です。自己の心の場所の中です(注2,p27,132)。 これは、高度の観察なので、普通は、セッション6から行います。

 「心理作用を起こす、まさにその時に、現在進行形で対象を色眼鏡やフィルターのように覆ってしまう、主観的、独断的、自己中心的な評価基準を 「本音」といいます。」(注2,p111)

 「本音を自覚して、自分や病気を治すために、普段の生活のなかで、本音が動いていないかどうか自覚するトレーニングをしましょう。」(注2,p112)

 自殺念慮を持つ「うつ病」には、これが必須です。SIMTで完治したひとは、再発しにくいです。 薬物療法だけで寛解になった患者は、長い人生の中で、再発するのは、大きな出来事があると再発しやすいのです。こういう自己洞察をしていないからでしょう。

★うつ病は再発が多い 〜薬物療法のみであると
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5460

 「自己距離化」はロゴセラピーでいいますが、SIMTの場合、苦の対象や感情は、あくまでも自己の中ですが、即座に衝動的反応をしないで、冷静になり、一舜、間(時間的)を置くという効果は類似するところでしょう。

 次に「自己超越」の類似性です。

(注1)NHKこころの時代 テキスト
『ヴィクトール・フランクル 〜それでも人生には意味がある』勝田芽生、NHK出版

(注2)大田健次郎 『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社

(注)SIMT=Self Insight Meditation Therapy。自己洞察瞑想療法。
 公刊された書籍は、3つです。ほかに、マインドフルネス瞑想療法士の 講座に使用されるテキストが多数あります。
 マインドフルネス心理療法にも種々あります。重いうつ病のひとは、第1世代の マインドフルネスは、危険です。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
★自己洞察瞑想療法、SIMT
 ブームになった「マインドフルネス」(第1世代マインドフルネス)とは、違います。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
 〜それでも人生には意味がある
Posted by MF総研/大田 at 07:50 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL