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(3)精神科医・フランクル=ロゴセラピー [2025年11月26日(Wed)]

高齢者の自殺 〜 どうすればいいか
 (3)精神科医・フランクル=ロゴセラピー

 どうすれば、高齢になっても自殺せずにすむのか、精神科医、哲学者の意見を簡単にご紹介します。(21日に、ヴィクトール・フランクルのテレビ放送の2回目がありましたが、フランクルも見ましょう。)

◆ (3)精神科医・ヴィクトール・フランクル

 精神科医・フランクル。「夜と霧」で日本でもよく知られた人。ナチス・ドイツ、明日にも、ガス室に送られて死ぬかもしれないという「死」の恐怖にかられる人に、最期までメンタルな支援をした人。
 そして、自殺に至る深い精神の苦悩、「生きる意味を感じられない苦悩」、「底なしの不満足」「実存的空虚感」(注1、p59、今回の放送では第3回)からの脱出を支援する精神療法、 ロゴセラピーを開発した人。

 フランクルのことを、NHK E テレビで、現在、放送中です。そこにも、今の、自殺の多い、日本人も似たような状況ではないかといっています。

 「ところで、よく考えてみると、この「底なしの不満足」は、現代の先進諸国、今の日本にも蔓延しているといえるのではないでしょうか。」(注1,p61)

 日本では、「自殺が多い」です。フランクルの生きる意味を見出せないひとが日本に多いのではないかというのです。生きる意味、生きる価値を持つならば、自殺はしないのではないでしょうか。なぜ、自殺するのでしょうか。
 フランクルは、どう教えているでしょうか。

◆ 三つの価値

 フランクルは、3つの価値があるといいます。こういう3種に該当する具体的なものが各個人の意味ということになるでしょう。

 「一般論として「人生に意味がある」と言うのは簡単でも、「自分の人生の意味」を見つけていくのは、そう簡単なことではありません。そこで、フランクルは、自分の人生に与えられている意味と使命を見つけるための手がかりとして、「三つの価値」を示しました。その三つの価値とは、「創造価値」「体験価値」「態度価値」です。」(注2,「夜と霧」p58)

1)創造価値

 「創造を通して実現される価値――われわれはこれを「創造価値」と名づけたい」(注3,「人間とは何か」p111)
 ただし、どんな職業、どういう仕事かは問わない。
 「大事なことはむしろただ、彼がいかに働いているか、自分の持ち場を実際によく充足しているかどうかなのだ・・・」
「職業や家族が与える具体的な使命を実際によく果たしている」(「人間とは何か」p111)

2)体験価値

 「体験において実現される価値、すなわち「体験価値」・・・
 この価値は、世界を受容すること、たとえば自然や芸術の美しさに没入することによって実現される。この価値が人生に与えうる豊かな意味は過小評価されてはならない。」(「人間とは何か」p111)

 ロゴセラピーでは、夫婦や親子の愛もこれに該当します。

 「たとえば真善美を味わうような体験、大自然とふれあう体験、誰かと愛しあう体験、他者と深くつながりあう体験・・・・これらの体験によって実現される価値のことです。」(注2、p63)

3)態度価値

 「自分が自分の制限された生活に対して取る態度によって実現されるものである。 人間が自分の狭められた可能性に対して、みずから態度を決めるというまさにそのことに よって、新たな独自の価値領域、しかも確実に最高の価値に属するような価値領域が 開かれるのである。」(「人間とは何か」p113)

 「これは、自分では変えることのできない出来事に、その人がどのような態度をとるかによって実現される価値のことです。」(注2、p68)

 創造、体験に意味を発見できる人はそれで生きがいを感じます。 創造、体験ができなければ、生きる意味を失うかというとそうではないといいます。 態度価値があります。避けられない運命的な出来事において、 受け入れて、生きる態度に「態度価値」が実現されます。人間は、 死ぬ直前のぎりぎりの時まで意味を持っているというのです。
 (こういうところは、深いマインドフルネス=自己洞察SIMTと類似するし、実践方法が詳細です。)
 死にたくなるほど、人生を捨てたくなるほどであっても、3つの価値をみつけることが、大切であると言っています。身体が動ける年齢、状態であれば、前2つの価値をさがします。 身体を動かすことが困難な状況になったら、3つ目の態度をとって生き抜くのです。
 それを家族も支援することが求められます。本人、家族がそれをすることがわからない場合、医師が支援するのです。これが、フランクルの教えです。

 医療関係者側から言えば、心のターミナルケアを提供することでしょう。本人がこの崇高な態度を見せてくれることがあります。
 私の長い年月のなかで、がんとなった人で深い自己を探求していく2人の友がいました。2人ともがんが重くなって外出できなくなり、自宅ですごしておられました。彼らの示した最後の数か月の生き様は、看護する人に感銘をもたらして、フランクルの「態度価値」をみせてくださった事例のようでもあります。(注4、p248−252)

 日本でも自殺が多いのですが、高齢で自殺していく人や、ひきこもりの状態におられるひとの中に、創造価値、体験価値を見出せなくなり、フランクルのいう「実存的空虚」があるかもしれません。そうすると解決までには、本人による長期間の試み、その支援が必要でしょう。

 相談ですまされない、薬物療法や浅い心理的支援手法でも、その苦悩に届かない、「精神」レベルの苦悩であれば、数ケ月かけての支援対策が求められるのではありませんか。
 そして、医師であったフランクルは、「対象」とならない「絶対」のこと、宗教者の領域には踏み込まないといいます。しかし、それでも、宗教者の支援を得られず、医師に支援を求めてきた時には、信仰を「対象」としてとりあげて支援するといいます。

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【目次】医師による宗教への配慮・宗教者による精神療法への配慮

(注1)NHKこころの時代 テキスト 『ヴィクトール・フランクル 〜それでも人生には意味がある』勝田芽生、NHK出版
(注2)NHK E テレビ 「100分de名著」
『フランクル 「夜と霧」』諸富祥彦
(注3)『人間とは何か』フランクル、山田邦男監訳、春秋社
(注4)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』大田健次郎、佼成出版社
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Posted by MF総研/大田 at 08:36 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL