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第1回の(6) 不登校、ひきこもり、うつ病なども種々のタイプがあるのか [2025年11月06日(Thu)]

ヴィクトール・フランクル
 〜それでも人生には意味がある
第1回の(6) 不登校、ひきこもり、うつ病なども種々のタイプがあるのか

 現在、子どもの不登校、こどもおよび若者の自殺、おとなのひきこもりが問題になっています。

 フランクルが人間の要素を3つに分類しましたが、現代日本の問題の解決対策を 考える時に、参考になるような気がします。

◆心理、身体、精神の3つの次元

 フランクルは、人間の要素を3つの次元でとらえているようです。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5755
★身体、心理、精神

 「従来の心理学が想定する人間の要素は、「心理」と「身体」の二つです。フランクルはそこに「精神」という第3の次元を加え、ロゴセラピーの基軸に据えました。身体的な病気であれ、心理的な病気であれ、病気を治す自己治癒力を発揮するのは「精神」だというのが、フランクルの基本的な考え方です。」(注1のテキスト,p29)

 この思想は、現代日本の社会問題のうちの、不登校、ひきこもり、うつ病、自殺などの諸問題の解決の方向を研究する場合にも、考慮できるような気がします。

◆うつ病

 うつ病で考えてみると、身体が原因、心理が原因、精神が原因の「うつ病」があるかもしれません。
1) 身体因性うつ病=身体が原因によるうつ病は、たとえば、治療しても治らない痛みが持続することで「うつ病」を発症する場合。「内因性うつ病」という範疇があるが、 これは、どこかの障害、炎症かもしれない。フランクルがいう「内因性抑うつ」「抑うつ精神病」か。
2) 心因性うつ病=心理的なストレスから発症したことが明らかなうつ病。 薬物療法で完治しないうつ病は、これが多いかもしれず、認知行動療法が効果的。SIMTで治ったひとは、この領域が多かったはずです。仕事をもっていた人、幸福な家庭を持っていたひとが、仕事上のストレス、人間関係の苦、愛する家族の死など何かの出来事で大きなストレスをかかえたために、うつ病になるケースが多いためです。
3) 精神因性うつ病=フランクルのいう「精神因性神経症」。意味の喪失によるうつ病。SIMTでいえば、人生の「価値」がみつからないことが主因の若者のうつ病。そして、「死」(生きている存在価値の喪失の予期)を苦にするがん患者のうつ病。

  「自殺」防止の対策も、3種を考慮した対策が必要でしょう。

◆こどもの不登校

 小中高、大学生の不登校も3種あるかもしれません。
1) 身体因性不登校=身体の病気が原因による不登校。
2) 心因性不登校=心理的なストレスが原因の不登校。診断基準に該当しなくても、教師やクラスメートがからの行為による、抑うつ、不安など。
3) 精神因性うつ病=上の2つに該当せず、学校に行く意味、価値(SIMT)を感じられないことが第1義の不登校。

◆おとなの「ひきこもり」

 学業期を過ぎた大人の「ひきこもり」も3種あるかもしれません。
1) 身体因性ひきこもり=身体の病気が原因によるひきこもり。
2) 心因性ひきこもり=心理的なストレスが原因のひきこもり。心因性のうつ病が治らない。不安症、PTSD、過食症など。
3) 精神因性ひきこもり=社会に出て行く意味、価値(SIMT)を感じられないことが第1義のひきこもり。そして、実際に、意味、価値をみつけられないために続くひきこもり。

 このテレビ放送が続く間に、このことを考えつづけてみます。SIMTでも考慮することがあるかもしれません。 第3回は、意味の喪失で、第5回は、宗教的なことが話題になっているようです。 不登校、ひきこもり、自殺の問題は 日本の深刻な問題ですので、新しい対策が必要なはずです。 みなさまも研究をお願いします。
 精神因性の精神社会問題には、ロゴセラピーのような支援が効果的のように見えます。
 このほかに、ロゴセラピーが扱わない「宗教」があります。
 この領域も具体的な支援を表明する専門家がいることを伝えないと、一部の人が、「カルト」による活動に誘われてしまうおそれがあります。まさに「人生の意味」「人生の目的」ということで誘うでしょう。(注3)

 心因性の精神社会問題には、認知行動療法(SIMTも)が支援できそうな気がします。認知行動療法(SIMTも)で、支援を始めたクライアントが 「意味」「価値」の喪失を抱えていることがあるでしょう。SIMTの場合、セッション3で「価値」の確認がありますが、ここで、価値の喪失があると、わかった場合、ロゴセラピーと類似の手法を特に重点的に提供するのがいいのでしょう。そういうクライアントが多ければ、SIMTもそこを拡充した手法を加えないといけません。フランクルの「精神」の哲学は、西田哲学の「叡智的世界」の哲学と類似していますので可能ではないかと思います。

(注1)NHKこころの時代 テキスト
『ヴィクトール・フランクル 〜それでも人生には意味がある』勝田芽生、NHK出版

(注2)SIMT=Self Insight Meditation Therapy。自己洞察瞑想療法。

(注3)次に、カルトに関する記事のリンクがある。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5696

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
 〜それでも人生には意味がある
Posted by MF総研/大田 at 11:49 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL