第1回の(5) 精神療法は宗教とは区別 [2025年11月05日(Wed)]
ヴィクトール・フランクル
〜それでも人生には意味がある
第1回の(5) 精神療法は宗教とは区別
フランクルは、極限状態にあって、自殺しようとしていたひとたちに対して精神療法を行っていたそうです。フランクルの思想、哲学は、日本の著名な哲学者西田幾多郎の人生哲学に似ているので、マインドフルネス心理療法、SIMT(注2,3)もうつ病などの治療法になります。両方とも、深い精神療法になりえます。
◆精神療法は宗教とは区別
フランクルは、精神科医として「宗教」レベルは扱わないといい、そこは「宗教者」にまかせるという態度でした。テキストの第1回には、次のように述べられています。
「フランクル自身は、ロゴセラピーを「宗教」とは明確に区別していました。が、彼の語る「精神」には、ある種の宗教性が含まれているようにも思えます。それは、彼自身がとても宗教的な人だったからでしょう。これについては、第5回で詳しくお話しします。」(テキスト、p30)
後期西田哲学は、宗教とそれ以前を明確に区別しています。宗教レベルでは、絶対に対象にならない「超個」の探求になります。西田は、それを逆対応の論理で説明しました。
通常の、うつ病、その他の精神疾患や精神社会問題の領域は、フランクルのいう「精神」は、西田哲学では「叡智的世界」に該当するようです。西田によれば、「叡智的世界」の領域は、宗教レベル以前です。その領域のマインドフルネス心理療法、SIMTでも支援できます。
ただし、がん患者の中でも、「死」の不安、宗教を知りたいという人には、西田(後期)が説明した「超個」のレベルの探求ができます。(注3)
ロゴセラピーは、「精神科医」が提供する医療行為、「精神療法」であるので、「ロゴセラピー」では、宗教レベルは扱わないといいます。宗教レベルは、「宗教者」が扱うといっています。
しかし、フランクルは、著書で、宗教レベルのことも詳しく述べていて、宗教の領域は、後期西田哲学(そして、SIMT)と類似する点もあるようです。
フランクルは、「精神」は、「精神的無意識」であり、宗教は「宗教的無意識」だという言葉があるからです。宗教のことは、テレビ放送では、第3回に、述べられるので、その時に、詳しくみます。
日本では、死を意識したがん患者の病床で、宗教レベル(超個、悟る)の支援をする宗教者が少ない(注6)ようですから、後期西田哲学の超個の個の哲学を背景にしたSIMTによる支援方法(注3)で、理解した医師、心理士が支援をするのも、社会としては、決めていかねばならない重大な問題です。がん患者が後悔することの一つが、深い宗教を学習しなかったことだと言います。がん患者は、真剣に宗教を知りたいと思うそうです。
後期西田哲学を背景にして、その実践論を具体的に実践できるようにする方向で、深く自己について探求するSIMTを活用できる可能性がある領域は、宗教以前の幅広い領域が考えられますが、宗教レベルで「死」とか、真の自己を探求せざるを得ない人々のためには、宗教レベルのSIMTもありえます。後期西田哲学の宗教レベルの論理(注7)を理解して、がんならば、がんの闘病をしながら実践していきます。カルトの被害防止などのためにも、誠実な宗教の教育が必要なのではないでしょうか。
(注1)NHKこころの時代 テキスト
『ヴィクトール・フランクル 〜それでも人生には意味がある』勝田芽生、NHK出版
(注2)大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
(注3)大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社
(注4)後期西田哲学に該当する論文「ポイエシスとプラクシス」の「至誠」のこと。前の記事の注。
(注5)価値実現の反応をこちらに図解しています。前の記事の注。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5662
(注6)禅宗では、独特の方法(公案、只管打坐)で、宗教レベル、すなわち、自己の根源を「悟る」という支援する宗教者がいないわけでもありません。しかし、私も学びましたが、その手法は、がん患者ができるような方法とは言えないと思います。だからでしょうが、がん患者が禅の指導を受けるところを見つけるのは難しいと思います。
SIMTでは、注3の著書を用いて、さらに身振り、図示で説明しつつ実践します。SIMTは、その一例にすぎません。ほかの人材もこのレベルの支援方法を研究開発していただきたいと思います。
(注7)後期西田哲学の「場所的論理」と「逆対応の論理」を理解する。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
〜それでも人生には意味がある
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Posted by
MF総研/大田
at 17:22
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孤独孤立自殺うつ病不安症
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