第3の次元「精神」 〜 ヴィクトール・フランクル
〜それでも人生には意味がある 〜第3の次元「精神」
[2025年11月01日(Sat)]
ヴィクトール・フランクル
〜それでも人生には意味がある
第1回の(2) 第3の次元「精神」
NHK Eテレビで、オーストリアの精神科医 ヴィクトール・フランクルを紹介する放送が始まりました。ドイツのアウシュビッツの収容所で、ユダヤ人の虐殺が行われた、ナチスドイツの収容所に収容された精神科医。ロゴセラピーで知られているひとです。
日曜日の「こころの時代」です。これから、毎月1回、全6回です。
第1回目は、10月26日でしたが、今日(11月1日)、再放送があります。
彼の思想、哲学は、日本の著名な哲学者西田幾多郎の人生哲学に似ているのです。
フランクルがいいたいことを、日本の西田幾多郎は、「場所の論理」と「逆対応の論理」で説明できたと思います。西田哲学の紹介、現代の精神社会問題の解決への活用を盛んにしてほしいと思います。
放送の進展につれて、フランクルと後期西田哲学の類似性をみようと思いたちました。
テレビ放送のテキスト(注1)にあるもので、第1回のところにある重要な言葉を西田哲学との関連で、
いくつか見ます。
◆心理、身体、精神の3つの次元
「従来の心理学が想定する人間の要素は、「心理」と「身体」の二つです。フランクルはそこに「精神」という第3の次元を加え、ロゴセラピーの基軸に据えました。身体的な病気であれ、心理的な病気であれ、病気を治す自己治癒力を発揮するのは「精神」だというのが、フランクルの基本的な考え方です。」(注1のテキスト,p29)
「心理(感情、情緒、知識など)と身体(体の生理、機能など)の二つの次元に、精神的次元が加わることで、人間は初めて人間にしかない特色を鮮明に見ることができます。」(p31)
マインドフルネス心理療法、SIMTでは、西田哲学を背景にして、宗教以前の領域は、知的世界、意志的世界、叡智的世界を扱います。ロゴセラピーの「精神」は、後期西田哲学の「叡智的世界」に類似します。
西田は、「場所の論理」で、対象的な意志作用よりも深い内奥の働き、「行為的直観」をすべてのひとが用いていることを明らかにしました。それが働く精神世界が「叡智的世界」に該当します。
短時間的な「目的」を遂行する「意志作用」は、対象的な心理作用ですが、すべて、ひとは、各人の独自の長期的な意味、価値を実現するために、意志作用よりも深い行為的直観を用いて、各人の価値、意味を遂行していくのです。この時の、心の作用を後期西田哲学では「行為的直観」といいます。
その内面の領域が「精神」「叡智的世界」です。うつ病、不安症、過食症などは、この領域の問題なのです。
ロゴセラピーでは、もっぱら、「精神」の領域を重視しています。SIMTでも、自分の「人生価値」を実現できるような心の成長を目標にしています。よく、似ているので、
両方とも、うつ病、自殺念慮の「治療」ができるのだと思います。
うつ病の生理学の研究がすすんできて、うつ病の患者の脳内で、機能が低下した部分があります。眼窩前頭皮質、背外側前頭前野、帯状回認知領域などです。心理的ストレスによって、副腎皮質からストレスが血中に放出され、脳内に入り、ミクログリアから炎症性サイトカインが分泌されて、こういう部位の神経細胞に炎症を起こし、機能低下が起きていると推測されます。
だから、うつ病が「完治」するためには、特に、長期的な人生価値を実現していこうとしたり、仕事を遂行する幅広く深い視点から、背外側前頭前野を行使して、今の瞬間の行動に方向を指示するような働きをする眼窩前頭皮質の機能回復が必要だろうと推測されます。
こういう生理学の視点からも、希死念慮をもたらすうつ病が完治するためには、フランクルのいう「精神」領域の「意味」、SIMTでいう「価値」を活性化する精神的な反応(みかた、考え方、行為)ができるように患者を支援することで、自殺することをやめる決意をすることができるでしょう。そして、完治するためには、一定期間こういう部位が回復する支援が必要で、そういう意味でのトレーニングが含まれている精神療法ならば、うつ病が治るのだろうと推測されるのです。
こういう意味からも、第1世代マインドフルネスを用いた「第3世代認知行動療法」は、浅い作用の「無評価で観察」にとどまるので、うつ病の「治療法」にはならないことが明らかです。認知行動療法も、こういう視点からの療法、「第4世代の認知行動療法」を開発していくことが求められます。
フランクルに関する放送は全部で6回ですが、第1回では、「意味」「意味への意志」などの語がでてきます。勝田さんのテキストに説明がありますので、マインドフルネス心理療法、SIMTとの関連をみながら、理解します。(次の記事)
【参考】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4361
★この記事にも「精神」
(注1)NHKこころの時代 テキスト
『ヴィクトール・フランクル 〜それでも人生には意味がある』勝田芽生、NHK出版
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5750
【目次】ヴィクトール・フランクルと後期西田哲学の実践論
〜それでも人生には意味がある
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Posted by
MF総研/大田
at 07:23
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孤独孤立自殺うつ病不安症
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