反社会的「カルト」の被害の防止(1) [2025年03月20日(Thu)]
【全体展望】
どの領域にうつ病・自殺のリスクがあるか
〜 不安症、PTSDも 反社会的「カルト」の被害の防止(1)ここも、自殺対策、孤独・孤立対策が遅れているでしょう。3月20日、地下鉄サリン事件(1995年)が起きて、30年です。 反社会的団体を「カルト」と言います。(注4) このような事件を二度と起こさないように、孤独・孤立のひとが、「居場所」を求めてカルトの被害にあわないようにしなければなりません。 表面では、ヨーガへの名目で、正体を隠して勧誘するそうです。「マインドフルネス瞑想」も隠れみのに使われます。 朝日新聞に、元警察庁警備局長、菅沼清高さんに取材した記事があります。 https://www.asahi.com/articles/AST210DQVT21UTIL01HM.html
「当時と今の共通点も感じる。・・・国も教育も答えを示せていない。」 政治家でさえも、県民、国民を「ハラスメント」により、うつ病、自殺に追い込む状況です。これでは、自殺防止活動が 進まないでしょう。 宗教的な問題に応えていくのは、伝統仏教の教団でしょう。すなわち、信頼できる「宗教」を教育してくれる役割は、仏教教団に期待できます。 どうしたらよいのでしょうか。仏教学、哲学の中に探ります。3つあげておきます。 ◆「釈迦の仏教」で新しいサンガ 仏教学者、佐々木閑氏(注1)が、現代の伝統仏教教団の仏教は、このようなものだと紹介しました。 そして、現存の教団ではなしえないことをしてくれる集団、サンガができることを期待するといいます。 「実現するのは非常に難しいとは思うのですが、「釈迦の仏教」のサンガのようなものが日本にあれば、自殺者は減らせると私は思います。」(注1,p244) 「ですから今の時代であっても、サンガのような受け入れシステムを仏教集団が用意して、悩んでいる人に向かって、「あなたの人生を丸ごと引き受けます。うちのサンガへおいでなさい」と声を掛けることができれば、大勢の人を救うことができるでしょう。」 (注1,p245) 「釈迦の教えのうち、現代の科学的世界観においても通用する部分を抽出して、それを自分の「生きる杖」にするというのは 全く当然のことであり、それ以外に自分の心を偽らずに生きる道はないということです。」(注1,p273) ◆「大乗仏教」の真意を活用 別の次の連続記事で紹介したもの(注2)です。
【書籍紹介】『はじめての大乗仏教』竹村牧男、講談社現代新書 「日本の仏教は多くの宗派に分かれていますが、本書ではそれぞれの宗派の背景にある共通の世界観を明らかにする ように努めてみました。それぞれの宗派には、救いの極意のような核心が、簡潔な信・行に集約されて明かされています。しかしその背景には、いのちと世界に対する広汎な探求がひかえているのです。 それらを知ることによって、各宗の極意の意味もより深く了解されてくることと思うのです。」(注2,p316) 「根本をないがしろにして、小手先だけで現代の諸問題に対処しとりつくろうのみでは、問題を後世に 先送りするだけで、かえって混迷の度合いはますます深まることと思われます。」(注2,p316) ◆西田哲学 上記の著書1にある言葉、 「現代の科学的世界観においても通用する部分を抽出して、それを自分の「生きる杖」にする」 ですが、これの一つの回答を西田哲学が教えているはずです。 宗教以前の世界観は、「叡智的世界」でしょうし、宗教レベルの世界観は「宗教的世界」でしょうが、それは著書2で紹介する大乗仏教の世界観(特に華厳の世界観)に類似するでしょう。 「自分の「生きる杖」として、現実の家庭、職場でにどう生きていくのか模範を示してくれなければ、現代の人の苦悩が現実には解決せず、「自殺者を減らせる」(注1,p244)ことはないでしょう。 西田哲学も現実には生かされていません。活用したいものです。(注3) 実際に行動する時日本には、こういう魅力ある世界観、自己観、生きる実践の可能性を秘めた精神的宝物があるようです。 これを活かして、魅力ある「宗教?」を国民に提供していけば、「カルト」の被害は少なくなるのではないでしょうか。そのためには、反社会的な団体でないことが明らかな伝統教団が、その担い手になっていただけないかと思います。 私たちも、新しい精神療法によるカウンセリングで実験してきましたが、力が弱く、たいして貢献できませんでした。 伝統教団の若手が上記3つ(ほかにもあるでしょうが)に含まれる宝を研究し遂行していくしかないでしょう。長老がたは、若手の新しい動きを暖かい目でも見守り、応援していただくことが条件になります。反社会的カルトは、新しい動きを排除、抑圧します。 そういうことをしないで、若手に上記のような深い世界観、自己観、人生観を各宗の宗派の尊重する開祖と経典から掘り起こしたものを、各宗派が県民、国民に示してくだされば、「カルトによる被害」も「自殺者も減らせる」のではないでしょうか。 地方では、人口の減少で、檀家が減少し、寺院の廃絶が進行しつつあるでしょう。教団の存続がかかっていると思います。 「カルト」の被害にあう国民をなくすためには、信頼できる「宗教」、人生とは何かという哲学を 学ぶことが、被害防止に役立つに違いありません。 宗教なら、教団が提供する行事や実践(注1)に参加して、そこで同時に深い「仏教」(注2)も学び続ければ、孤独・孤立もなく、人生を生き抜いていけるでしょう。人生哲学は、西田哲学(注3)もあります。これらを学ぶことで、「カルト」に向かわないですむでしょう。 ほかにもあるでしょう。今、日本では、日本人が日本人をいじめ、排除し、苦しめています。つらい人が居場所を求めています。「カルト」へも向かってしまいます。 学者も宗教者も新しい方向を見せてください。教育してください。
(注2)『はじめての大乗仏教』竹村牧男、講談社現代新書 (注3)https://blog.canpan.info/jitou/archive/5450 「西田哲学が先細り」 (注4)カルトの定義など http://mindfulness.jp/kunou/fl-cults/cults-menue-yoko.htm https://blog.canpan.info/jitou/archive/5058 ★カルトの被害 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5252 ★カルト信者を脱会させることは困難 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5115 ★「既存の宗教はなぜカルトに走る人を救えないのか」 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5102 ★カルトの被害にあわないように導く誠実な宗教的支援活動を https://blog.canpan.info/jitou/archive/5081 ★伝統仏教は救済できなかった。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5074 ★宗教2世、親から暴力、自由の束縛 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5071 ★本来、宗教とは何か(1)「苦悩からの救済」 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5069 ★家族が自殺することになるのは宗教なのか https://blog.canpan.info/jitou/archive/5056 ★別のカルトか? https://blog.canpan.info/jitou/archive/3073 ★反社会的集団のカルトも、マインドフルネスの看板をかけるかもしれないことを警戒する必要がある。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/4919 ★親の宗教で苦しめられる子ども https://blog.canpan.info/jitou/archive/4911 ★日本人は何を宗教に求めているのか 〜 グリーフケア・科学・スピリチュアル (直接、カルトの記事ではないが、宗教2世の問題も論じられている。悩む人が、スピリチュアルで犠牲になることもあるだろう) https://blog.canpan.info/jitou/archive/3537 ★学問らしいものがこうですから、マインドフルネスや瞑想にも、独断的な解釈をするカルト的なものがはいりこむおそれがあります。3,40年前は、カルトは、ヨーガ、自己啓発セミナーなどで誘うといっていました。今は、「マインドフルネス」でも誘うでしょう。 用心が肝心です。健全な「マインドフルネス」は、どういうものか、大学生は知っていたほうがいいはずです。 http://mindfulness.jp/kunou/fl-cults/cults-menue-yoko.htm マインドフルネス総合研究所のホームページ 「カルト」について
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Posted by
MF総研/大田
at 10:05
| 孤独孤立自殺うつ病不安症
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