(3)西田幾多郎の孫の嘆き 〜 西田哲学が現実に活かされていない [2024年06月22日(Sat)]
西田幾多郎の孫の嘆き
〜 西田哲学が現実に活かされていない
〜 西田哲学が「先細り」(3)
西田哲学が先細り、というニュースが走った。
https://www.asahi.com/articles/DA3S15957450.html
(朝日新聞ニュース)
西田哲学は、ヴィクトール・フランクルの人間哲学に似ているのです。産業、政治、文化、すべて人間のすることですから、人間哲学をいかした行動がされてもいいはずなのですが、西田幾多郎の孫、上田薫氏が嘆いていました。現実に活かされていないと。二度ほど取り上げたことがあります。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2367
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3495
「日本の学問 の最悪なところだと思います。祖父の哲学は、絶対にそれをやらないということに意味があった のだと思うのです。」
西田哲学のすばらさしが学生に教えられないのですから、先細りになるのは当然です。
種々の領域に活かされるはずだと上田氏はいっておられます。
たとえば、仏教や禅について西田は言っていますが、それの神髄を学生に教えると、カルト宗教の被害が少なくなったかもしれません。カルト宗教教団だけではなくて、れっきとした仏教教団で女性をマインドコントロールにかけて苦しめていた事件が報道されています。
仏教の若手に西田哲学による宗教観を教育すれば、ハラスメント行為をすること、「利他」をしないのが仏教でいいはずがないと気づく若手が多く出現したかもしれません。
空海、道元も良寛も深い根底を言っていたと竹村牧男氏が解明しました。浅い命題を「開祖」のものと押し付けることをしなければ、若者が学問の自由を享受して、竹村牧男氏のような深い学説が外部から出てくるようなこともないかもしれません。もっと仏教が活用されたかもしれません。
種々の領域に、仏教が活用されたかもしれませんといいましたが、「マインドフルネス」は「坐禅するだけ」というのと類似します。あまり深い問題の貢献=「利他」になりません。大乗仏教は「利他」を強調しますが、深い問題の解決ができると主張したのではなかったのでしょうか。
第一世代の「マインドフルネス」は、MBCTには、批判も起きたとはいえ、MBSRはかなりの効果が見られます。「マインドフルネス」は日本から生まれず、アメリカのジョン・カバットジン氏が開発しました。
日本の仏教者は、開発できませんでした。
ヴィクトール・フランクルは、長老などが、一つの側面だけを抽出したものを真理だと全体に押し付け、批判を許さないやりかたを還元主義、
画一主義、全体主義と批判しました。日本の多くの集団でそれが行われている可能性があります。学問の自由、宗教の自由がないわけです。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2670
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2672
★一つに還元して、集団のメンバーに画一のものを押し付ける全体主義を批判
メンバーに自由がない
集団の外部からは、異様に見えるのです。「共生」の思想に違反します。集団内に種々の信念、学問解釈を許せば、一つの集団が、多様なものを外部に提供できるのです。企業で言えば、多種の製品を製造販売するか、単一の製品を売り続けるかにたとえられます。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4417
★小坂井敏晶氏
「重箱の隅をつつくことばかりに夢中」「哲学の議論や認識論の考察に耳を塞いではいけない」
「心理学は重心を失い、一貫性もなくなろうとしている。それぞれの分野ごとに固有の組織が生れ、その内部だけでしか通用しない理論枠に縛られている」「研究発表も内輪でしか行われない」
「自分の頭で考えることがない」「先入観を捨てない」「名誉白人症候群」(=舶来重視、日本のよきものをみず、欧米だけをみている)
日本の多くの集団で長老によるメンバーの自由の束縛、批判的学説の排除があり、その雰囲気を感じて自分がいじめられることを恐れて忖度し、いきがいは別のところに求めることが起きているかもしれません。
第一世代の「マインドフルネス」は、アメリカの一部の研究者から、社会問題を見て見ぬふりをすることを助長するおそれがあると、倫理的な批判があるそうです。日本では、そういう反省は起こらないのでしょうか。
西田哲学もフランクルも学問の装いによる還元主義、画一主義、全体主義を批判しています。こういうものが、大学で学生に、社会教育で国民におしえられれば、すこしは、日本の若手の学問が発達したかもしれません。
西田哲学が先細り、だそうです。確かに。若手の新説を許さず、いよいよ、日本の科学学問が衰退していくのでしょうか。
西田哲学は、自己の心理現象を観察してうつ病、不安症を「治療」する精神療法になるのではないかと研究しているのが、自己洞察瞑想療法、SIMTです。第4世代の認知行動療法の一つに該当します。(注1)。宗教的レベルまで西田哲学で記述してみたのが、拙著です。
大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社
がん患者はうつ病になり自殺も多いのです。がん患者のメンタルケアに活用したいと思います。上田薫氏は、西田哲学は種々の領域に活かせるはずだと思っておられるのです。政治にも経営にも学問にも、ハラスメント行為の批判のための教育、カルト宗教の被害防止にも、戦争殺戮の批判などにも。
うつ病が治らないと苦しいです。自殺も起きます。精神療法も研究して国民の生命を守れないものでしょうか。
(注1)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
【関連記事】第4世代の認知行動療法、自己洞察瞑想療法
【関連記事】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3032
★井筒俊彦の哲学と道元と西田哲学
この記事は次の一部です。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5450
【目次】西田哲学が先細り
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Posted by
MF総研/大田
at 20:42
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エゴイズム
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