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(8)研究者には自殺対策はインセンティブが働きにくい [2024年06月14日(Fri)]
【目次】第4世代の認知行動療法SIMT
  (「マインドフルネス」は第2世代)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348

(8)研究者には自殺対策はインセンティブが働きにくい
   〜 無視傍観、そして、無関心ではいけませんが
   〜 自殺防止対策、孤独孤立対策

 自殺対策には、種々の人材が関わっているが、最前線の活動をする人材は必須である。それを理論づける研究者も必要である。政策を方向づける行政官も必要である。対策にかけられる予算には限度があるので、研究者が政策の効果があるか測定して、行政に提言する仕事も必要である。

 しかし、研究者にはインセンティブが働かないので、自殺対策はなかなかすすまないようだという。 「インセンティブ」は重要である。これをすれば、自分のメリットになるということである。収入、栄誉、地位、評価のアップ(論文数、出版数、など)、昇進 など。
 インセンティブは、重要であり、別件(関係はあるが、直接、自殺対策ではないという意味)でそれが話題になった。「医師の偏在」の問題である。医師の偏在、無医地区の問題があるが、医師にも職場の住所地を選択する自由がある、インセンティブがないと・・・。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240416/k10014423291000.html  「これについて武見大臣は16日、記者団から問われたのに対し、「前例にとらわれない対策の検討を行うべきで、規制的な手法だけではなく、インセンティブやオンライン診療の活用も組み合わせて、包括的に検討したい」と述べました。」

https://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/0000194708_00688.html
武見大臣会見概要 - 厚生労働省
「検討を行う際には、規制的な手法だけでなく、インセンティブを組み合わせる方法やオンライン診療の活用等も組み合わせて包括的に検討したいと思っています」

自殺対策の評価はただでさえ忙しい研究者にインセンティブが働かない

 自殺対策には、困った人に最前線であう人材が必須である。相談と治療である。NPO、行政、医師などである。 研究者は再前線の行動はしない。村木厚子氏はこういう。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3928
村木厚子さん・まず現場の活動者、それから学者

 問題をかかえた人と直接あうのは、相当の時間を割くので、最前線の人材は研究の時間はとりにくい。しかし、必要なのは最前線の医師や相談者、NPOである。そして、これらNPOなどが実践するのを見て科学的な考察をしてNPOの行動を評価したり、政策の費用効果の検証も研究者の役割のはずである。しかし、研究者は、自殺対策の評価には積極的に取り組むインセンティブが働かないようだ。末木氏はこういう。

  「研究者にとっても、政策の効果を検証するためのインセンティブはほとんどないのが現状です。ただでさえ本業の大学などでの仕事が忙しい中、こうした仕事をやるとすればほぼボランティアです。研究者の評価は学術論文によって決まるのですが、政策の効果を検証するような場合、政策の実行前の段階から行政に関わり、きちんとした効果の検証が可能なデザインで自殺対策を実施しなければ、学術論文になるような成果はあがりません。 しかし、現実には、そのような機会はほとんどなく、政策が実行された後になって、場当たり的に「どうすれば効果が検証できるでしょうか?」と相談されることがほとんどです。これでは、研究としての意味はほとんどありません。」(p174)

 私が見た、科学、学問の領域にでも、うつ病を治し、自殺対策に関係するテーマがあるのだが、評価することを研究者は乗り出そうとしないようだ。まして、最前線に乗り出すことをや。
 「本業で忙しい」のだ。そういう有様を、西田哲学では、叡智的自己といい、意識作用を「行為的直観」といっている。自分の選択した「いきがい」「価値」のために働く。「自殺対策」の前線の実践のスキルを持つ人、そして、効果の評価をする研究者は極めて少ないようだ。実践と研究とは別物である。前線で実践する人材がいないと、自殺対策は全くすすまない。
 (医師の場合、多くの医師が最前線の「治療」と「研究」を行う。「評価」は別である。難治性の「うつ病」を認知行動療法(CBT)で「治療」するとか「研究」する医師がどこにいるのか、わかりにくい。CBTで治療する心理職も大変少ない。何年も薬物療法をだけを受け続ける患者が多い。)

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(続く)

注)末木新『「死にたい」と言われたら 〜 自殺の心理学』ちくまプリマ―新書


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
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https://blog.canpan.info/jitou/archive/5441
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Posted by MF総研/大田 at 08:01 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL