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(4)心理士を国家資格にすればという期待があったが [2024年03月31日(Sun)]

NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 今もなお精神療法が普及していない(4)

  ◆心理士を国家資格にすればという期待があったが

   14年前、NHKがうつ病が治らずに自殺が多いことを取り上げていました。それに、私が論評を加えた連続記事でした。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1835
【目次】NHK「うつ病治療 常識が変わる」(2009年)

 今でもなお、薬物療法の完治率は高くありません。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5389

 15年前、NHKが、指摘し期待した重要なことがもう一つありました。 心理士を国家資格にすることでした。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/1843
★心理療法の壁
カウンセラーの国家資格への動き

 これは実現しました。しかし、心理士は、認知行動療法(CBT)には進出せず、「傾聴」を重視し続けています。うつ病は、炎症性サイトカインによって、脳の種々の部位に炎症が起きているのですから、そのような傷が大きいうつ病の患者は、相談、傾聴では治りません。 相談を受けても、死んでいかれる現実が証明しています。
 結局、次の構造が変化していません。

@ 心理士に「治す」役割は期待されていないこと、
A 医師はCBTのスキルを持っていないこと、
B 医師が本格的CBTをやろうとしても診療報酬が低額であるために、医師はやらないこと、
C 心理士を雇用をしている病院でCBTを導入しているところがあっても、健康保険扱いにならないので患者負担が高額にならざるを得ないため、広くは行われていないこと、
D 医師と心理士に相互不信があること、
E 以上のような構造があるために、日本ではCBTでうつ病の患者を治したいという人生価値(生業にできて収入があること)を選択するひとはいないこと、
F このような構造で、CBTは社会に要求されないため、心理士もうつ病でCBTを治すスキルを大学で身につけることがないこと、
G 傾聴のカウンセリングや相談もある程度はうつ病を軽くするとしても、心理士が行う傾聴のカウンセリングを健康保険の扱いにできるような国家予算がないこと、
H 薬物療法で治らないうつ病を「傾聴」で治すことができるというエビデンスがないこと、

 こうした構造を次の書籍が詳細に紹介しています。

『精神科医に、ご用心!』西城有朋、PHP文庫、2022年12月

 こういう構造は容易に変わりませんので、うつ病になって薬物療法で治らない場合、患者さんは悲惨です。「不登校」から、「ひきこもり」とならざるを得ず、その状態が長引くと、自殺とか「7040問題」「8050問題」になります。

 こうして、うつ病で治らない患者さんは、どの専門家(医師、心理士、宗教者、哲学者、マインドフルネス推進者、学者・研究者など)からも、無視、傍観、放置される状況が続いています。15年前から続いていて、今も変わっていません。

 専門家も「いのち」が大切ですから、家族と自分が暮らしていけるだけの「収入が得られること」が必要ですから、自分の職業とならないような事業ができないのは当然です。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4939
★【精神科医:和田秀樹さん】現在の制度のままでは医師は経営的に精神療法を提供できそうもない

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1812
【2009年開始の連続記事】無視・傍観・軽視・放置・見放される病

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3461
★見て見ぬふりする社会

 患者さんは、こういう構造的な問題の中で、無視放置されたような状況、すなわち、「孤独・孤立」を深めています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5144
【2023年の記事】引きこもり146万人 内閣府調査

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
【2024年、現在】孤独・孤立のところにある「治らないうつ病」

 警察庁と厚労省によって、29日、2023年の自殺者数の確定値が公表されました。 2万1837人でした。 前年より44人の減少でした。なかには、うつ病だったひとがいます。他の原因からもうつ病になります。治らなければ自殺するひとがいます。

【読売新聞】2023年の小中高生の自殺513人、前年から高止まり


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5329
【目次】今年も第2世代マインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5223
【目次】地方創生SDGs 3.4 自殺の減少 〜 2023年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893
【SDGsターゲット3.4 自殺の問題】種々の問題がここに集約されています

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
【目次】孤独孤立対策にうつ病の視点を

第4世代の認知行動療法を活用します
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
【目次】第4世代の認知行動療法としての自己洞察瞑想療法SIMT
Posted by MF総研/大田 at 07:18 | 自殺防止対策 | この記事のURL