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(2)期待されたイギリスの認知行動療法を取り入れたプログラムも問題あり [2024年03月29日(Fri)]

NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 今もなお精神療法が普及していない(2)

  ◆期待されたイギリスの認知行動療法を取り入れたプログラムも問題あり

 14年前、NHKがうつ病が治らずに自殺が多いことを取り上げていました。それに、私が論評を加えた連続記事でした。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1835
【目次】NHK「うつ病治療 常識が変わる」(2009年)

 当時は、年間の自殺が3万人以上でした。1998年から3万人以上となり、10年以上にわたって、3万人以上でした。2012年から最近は、2万人代になりました。少し、減少しました。自殺防止の対策の効果があったのです。

 しかし、限界があります。うつ病を治す治療法が進展しませんでした。精神療法が重要なのに普及しなかったのです。これを改善しないと、うつ病からの自殺の減少には限界があると思います。 この点について、述べています。

 前の記事は、うつ病の治療法として薬物療法がありましたが、完治率が高くはありませんでしたと述べました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5389

 NHKが、薬物療法で治らない患者さんが多いことを指摘しました、イギリスでは、認知行動療法が進められる、という報道もありました。 以前に、次の記事がありました。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1834
★イギリスでは国家の費用でまず認知行動療法を受ける

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1853
★認知行動療法で治ると再発率が低いというメリットがあるから

 2009年に、これがNHKの書籍で紹介されたのですが、その後、このプログラム(IAPT)はどういう進展をみせたのか、興味あるところです。 その点を、かなり詳しく説明した本が出版されました。

『精神科医に、ご用心!』西城有朋、PHP文庫、2022年12月

 IAPTや認知行動療法についてかなり詳細に述べています。簡単には、要約できないほど微妙な状況のようです。関心のある方は、直接、本書にあたってください。 ここでは、断片的に引用させていただきます。

 一部の患者だけが、CBTを受ける仕組みである。また、どういうCBT(ベックの認知療法なのか、マインドフルネスのMBCTなのか、どうなのか)であるのかは述べていない。また、「最低2セッション参加すれば「完走扱い」というゆるい基準だ。」(p223)
 「うつや不安の点数の低減だけで、「回復を達成した」というのは言いすぎである。本当に回復した患者は、IAPTの回復者のなかではひと握りにしかすぎないのだ。」(p224)
 西城氏もIAPTを評価していない。
 2009年、NHKで紹介されたイギリスの方式は期待されたが、問題含みである。 本書を読んだ私なら、IAPTは採用したくないです。

2023年の自殺者数の確定値が公表された〜44人の減少

 警察庁と厚労省によって、本日(29日)、2023年の自殺者数の確定値が公表されました。 2万1837人でした。 前年より44人の減少でした。

【読売新聞】2023年の小中高生の自殺513人、前年から高止まり



(続く)


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5329
【目次】今年も第2世代マインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5223
【目次】地方創生SDGs 3.4 自殺の減少 〜 2023年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893
【SDGsターゲット3.4 自殺の問題】種々の問題がここに集約されています

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
【目次】孤独孤立対策にうつ病の視点を

第4世代の認知行動療法を活用します
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
【目次】第4世代の認知行動療法としての自己洞察瞑想療法SIMT
Posted by MF総研/大田 at 18:47 | 自殺防止対策 | この記事のURL