• もっと見る
«いじめ・不登校に学校側と子ども側とで認識の違い | Main | (2)期待されたイギリスの認知行動療法を取り入れたプログラムも問題あり»
【目次】NHKが14年前とりあげたうつ病の実態 〜 今もなお精神療法が普及していない(1) [2024年03月27日(Wed)]

NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 今もなお精神療法が普及していない(1)

 14年前、NHKがうつ病が治らずに自殺が多いことを取り上げていました。それに、私が論評を加えた連続記事でした。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1835
【目次】NHK「うつ病治療 常識が変わる」(2009年)

 当時は、年間の自殺が3万人以上でした。1998年から3万人以上となり、10年以上にわたって、3万人以上でした。2012年から最近は、2万人代になりました。少し、減少しました。自殺防止の対策の効果があったのです。

 しかし、限界があります。うつ病を治す治療法が進展しませんでした。精神療法が重要なのに普及しなかったのです。これを改善しないと、うつ病からの自殺の減少には限界があると思います。 この点について、少し述べます。

 うつ病の治療法として薬物療法がありましたが、完治率が高くはありませんでした。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1823
うつ病の治療法の現在と問題(2009年の記事)
★抗うつ薬治療は5割が再発、3割が効果なし

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4848
★うつ病の治療法の現在と問題(2021年の記事)
 「抗うつ薬の有効率は60〜70パーセントにとどまっています」

 私が開発した「自己洞察瞑想療法」(SIMT)は、2013年の著書で発表しましたが、その数年前までのうつ病の改善効果がグラフで示してあります。
(大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社)

https://mindful-therapy.sakura.ne.jp/kikansi/hp-07/ohta6-kaizenrei.pdf
機関誌「マインドフルネス精神療法」第7号

 46ページに「 著書(2013)の出版前数年から行った事例。次ページ のグラフJで示した。」と述べているように、すでに2005年ころには、こういう効果が表れていました。出版前から、ホームページで募集していて、おいでいただいた人々を支援した結果でした。薬物療法で治らないうつ病の患者さんが、マインドフルネスSIMTで治ったのです。

 この心理療法で支援するためには、カウンセラーは、かなり多くの時間を費やします。私だけが支援しているのでは、年間、数十人にしか支援できない、これでは少なすぎると思い、 本の出版後、私以外のひとでも、SIMTで治す支援をしてほしいと思い、「マインドフルネス瞑想療法士レジスタードマーク」(商標登録、MMT)を養成する講座を開催してきました。
 ここに、記したように、10期開催中です。

https://mindful-therapy.sakura.ne.jp/kouza/kouza-history.htm
★マインドフルネス瞑想療法士レジスタードマークの養成講座の歴史

 NHKが、薬物療法で治らない患者さんが多いことを指摘しました、イギリスでは、認知行動療法が進められる、という報道もありました。
 そして、ジョン・カバットジン氏の「マインドフルネスストレス低減法」(MBSR)を活用した、「マインドフルネス認知療法」(MBCT)、弁証法的行動療法などが紹介されたので、うつ病の精神療法が日本でも盛んになりそうだと、期待したのですが、結果は違いました。

 NHKで紹介されたイギリスの方法は、うつ病を治すような精神療法にはなりませんでした。
 もう一つ、MBSR,MBCTなどもうつ病を治す効果が期待されたのですが、欧米からの「無評価で観察の瞑想」は、うつ病の「治療法」にはなりませんでした。

 この2点は、別の記事で述べます。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5390
★イギリスの認知行動療法のゆくえ


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5391
★マインドフルネス(第1世代)もうつ病の治療法にならなかった

 こうして、2009年のNHKの問題提起にもかかわらず、うつ病を治す治療法は進展していません。
 ほかに、有効な精神療法がない現時点では、「うつ病が治らない」ための自殺の減少のためには、日本で開発されたSIMTの普及に努めざるを得ません。

 日本では「相談」事業が普及していますが、うつ病は、脳内に炎症が起きて脳神経の機能が低下しています。相談だけでは治りません。だから、「相談」を受けて「うつ病らしい」とわかったら、炎症を回復させるような「治す精神療法」に導くことをしないと治らないのです。日本では傾聴型の支援をする心理士が多いのですが、傾聴だけでは治りにくいのです。この点についても、西城氏が触れています。




【連続記事】NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 今もなお精神療法が普及していない


https://blog.canpan.info/jitou/archive/5407
★精神療法らしい治療法に苦言
 〜精神療法の研究・普及をすすめないからこういうことが起きるのでは?

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5404
★学者、官(自治体)は最初にはできない、まずNPOがするしかない(その3)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5403
★学者、官(自治体)は最初にはできない、まずNPOがするしかない(その2)

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5402
★学者、官(自治体)は最初にはできない、まずNPOがするしかない

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5401
★専門家のエゴイズムによる犠牲という面も

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5400
(7)NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 そもそもうつ病の薬物療法では効果がない人が3−4割
 新しい治療法がすすんでいないから自殺が起きる

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5399
 〜その3 奥深い瞑想は期待できる

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5398
 〜その2 認知行動療法が普及しないがなお期待がある

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5397
★(6)瞑想は大きな期待ができる
 〜その1 再発予防効果はある

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5396
★NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
(5)認知行動療法が普及しないがなお期待がある

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5392
★NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
(4)心理士を国家資格にすればという期待があったが

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5391
★NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
(3)期待されたマインドフルネス(無評価で観察の瞑想)もうつ病の治療法にはならなかった

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5390
★NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
(2)期待されたイギリスの認知行動療法を取り入れたプログラムも問題あり

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5389
★NHKが14年前とりあげたうつ病の実態
 〜 今もなお精神療法が普及していない(1)


【関連記事】

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5329
【目次】今年も第2世代マインドフルネスでSDGs3.4 自殺の減少を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5223
【目次】地方創生SDGs 3.4 自殺の減少 〜 2023年

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4893
【SDGsターゲット3.4 自殺の問題】種々の問題がここに集約されています

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
【目次】孤独孤立対策にうつ病の視点を

第4世代の認知行動療法を活用します
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5348
【目次】第4世代の認知行動療法としての自己洞察瞑想療法SIMT
Posted by MF総研/大田 at 21:28 | 孤独孤立自殺うつ病不安症 | この記事のURL