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(3)がんを宣告された人 その補足 [2024年03月25日(Mon)]

孤独・孤立がこんなところに
 (3)がんを宣告された人 その補足

がん患者さんのメンタルヘルスの支援について補足します。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5384
孤独・孤立がこんなところに
 (3)がんを宣告された人

 ここに述べましたが、具体的にどうアドバイズするかです。

 西田哲学によります。がん患者さんには「死」の問題が迫ります。

 これは、通常「幸福論」「幸福の哲学」とは、レベルが違います。 通常は、「当為価値」です。自分の生きがいとして選択した職業が「当為価値」です。 それを順調に実行できることで、幸福だと感じます。
 このために、うつ病や不安症、PTSDなどで、職業につけない状態にある人を、社会に出て参画できるようにアドバイスしていく「認知行動療法」的な精神療法が有効です。

 ところが、がん患者さんの苦悩は、「存在価値」の問題です。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2617
★こちらに存在価値について述べています。

 職業ができない苦悩ではありません。自己の存在が消滅する苦しみです。通常の認知行動療法や対人関係療法では間に合いません。

 「宗教レベルの苦悩」になります。ロゴセラピーで有名なヴィクトール・フランクルは、これを支援するのは、精神科医ではなく、宗教者であるといったくらい、次元の違う問題です。

 宗教者が、支援していただく問題です。がんになって後悔したことで、よくあげられるのが、宗教を勉強しなかったことだというひとが多いといいます。

 拙著(『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』)でも、紹介しました。本の紹介のところです。

『死ぬときに後悔すること25』
 「この本は、死に際の人が後悔することを大津医師が聞き書きしたものです。死にゆく人が後悔することのうちで「宗教」に関連することがあるといい、「自分の生きた証を残さなかったこと」「生と死の問題を乗り越えなかったこと」「神仏の教えを知らなかったこと」の三点が挙げられています。」(大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社、p238)

 こういう要請に応える宗教は少ないと言われます。だからでしょうか、がん患者さんがうつ病になって自殺されることがあります。
 (話は、違いますが、性犯罪などの被害者の苦しみも「存在価値」に該当するでしょう。人格を否定された苦しみ、自己肯定感の苦悩として)

 がん患者さんがうつ病になって自殺されないように、存在価値レベルの認知行動療法(第4世代の認知行動療法)が必要になります。

 宗教(たとえば、禅とかキリスト教で)で説明することは信じてもらえそうもないので、西田哲学で説明できます。西田哲学が「当為価値」と「存在価値」の違いを論理的に説明しています。(『叡智的世界』や『場所的論理と宗教的世界観』)

 がんになって私らと瞑想して逝った人たちがいますが、この本にも紹介しています。(p248〜)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2379
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3036
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3037

(続きは次の記事にします)

【以下は、がん患者さんのためのメンタルケアに関する記事】

https://blog.canpan.info/jitou/archive/1783
<ブログ目次>がん患者の心のケア、スピリチャルケア、うつ、自殺予防
〜 入院患者の自殺、告知後の自殺、がん患者5−10%がうつ病

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2869
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2870
★がん患者にマインドフルネス心理療法

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4917
★がん哲学マインドフルネス

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4902
★日本にあった深い自己探求 それを「マインドフルネス」として実践する本です
 最も深い自己を探求するマインドフルネス心理療法です

 日本には自己を超えたもの、つまり、宗教的なレベルの自己を表現した芸術家が多いのです。 次はごく一部です。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3738
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4905
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4862
☆ 金子みすゞ、平塚らいてう、遠藤周作、茨木のり子、神谷美恵子、永井隆

 次にがん患者さんの自己探求を述べています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2868
★がん患者のメンタルケアにマインドフルネス心理療法を

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
【目次】孤独孤立対策にうつ病の視点を
Posted by MF総研/大田 at 18:55 | 自殺予防対策 | この記事のURL