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全日制高校の生徒にも自殺防止の教育と治す支援を [2024年03月03日(Sun)]

子どもの不登校、いじめ、自殺の問題には新しい対策を
(4)全日制高校の生徒にも自殺防止の教育と治す支援を

 前回、定時制・通信制高校の子どもに、うつ病について理解することを中核とした「自殺予防教育」と「臨床支援の対策」を提案しましたが、高校生のすべてにも、同じことが言えます。

 政府が発表した、2023年版の自殺対策で、詳細な分析がありました。

 22年に亡くなった高校生352人のうち、原因・動機では、全日制の高校では、学業不振やいじめなど「学校問題」の占める割合が大きかった。

https://www.asahi.com/articles/ASRBM7QYZRBMUTFL01X.html
【朝日新聞】

2023年 自殺対策白書
第2章第3節 82ページ

 全日制高校の生徒が自殺する原因として「学校問題の占める割合」大きく、「健康問題」が小さい。また、次のように分析されています。
     「女性は男性に比して「学友との不和 (いじめ以外)」、「いじめ」が大きい、男性は女性に比して「入試に関する悩み」が大き い。」

     「高校生について、性別、高校の課程別に通 院の有無の構成比(第2-3-39図)をみる と、女性は男性に比して精神科・心療内科に 通院している割合が大きく、定時制・通信制 は全日制に比して精神科・心療内科に通院している割合が大きい。特に、女性の定時制・ 通信制において精神科・心療内科に通院して いる割合は約7割と顕著に大きく、男性の全 日制における精神科・心療内科通院割合は約 1割と顕著に小さい。」
 要点は、病院に通院しているのは、定時制・通信制のほうが多いです。女性のほうが、病院に通院しています。男性の全日制高校の子は通院が少ない、という特徴が指摘されています。
 原因は何でも、悩みが大きいと、うつ病になります。持続する長期のストレスでも、うつ病になります。急に起きた出来事でも短期間合にうつ病になります。悩み事から、扁桃体、HPA系が亢進して、ミクログリアから炎症性サイトカインが分泌されて、脳の各所に炎症を起こしてうつ病を発症します。

 定時制・通信制の生徒は入学前から通院していた持続的なうつ病である可能性が高いでしょう。全日制の子どもは、入学後に起きた出来事で、うつ病になった可能性が高いでしょう。
 通院していた生徒はうつ病であることがわかっていて通院しながら、治療を受けていたのに、自殺されたのでしょう。通院せずに自殺した生徒は、うつ病であることを知らないとか、急にうつ病になり、治療を受けずに、死なれた可能性があります。

 いずれにしても、高校生に、うつ病、自殺予防対策の教育と、薬で治らない生徒を精神療法で治す支援をする仕組み、制度を作ってほしいです。第2世代の認知行動療法、および、第4世代の認知行動療法ならば、治る患者があいるのですから。

 現在、薬物療法で治らない場合、放置されて、精神科医も心理士(傾聴、相談は「治す」ことを任務としない)からの支援もない状況でしょう。通院していても死なれているのですから。

 今度こそ、自治体、学校で検討してほしいです。

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