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見捨てられている重大な日本の社会問題 〜3) 非二元論の哲学でない [2024年02月04日(Sun)]

【連続記事】マインドフルネスは、第1世代から第2世代へ
 〜 批判された特徴を克服する第2世代マインドフルネス

今後の課題 見捨てられている重大な日本の社会問題
 〜3) 非二元論の哲学でない

 MBSR,MBCT、簡素化MBSRなどの「第1世代マインドフルネス」は批判が多いことを見ました。

 第1世代のマインドフルネスは、倫理性、社会問題の無視傍観の態度助長、スピリチュアルな問題の回避などの問題を助長するなどの批判が続いてます。

 次の論文で指摘された。

(B) 池埜聡・内田範子「第2世代マインドフルネス」の出現と今後の展望ー社会正義の価値に資する「関係性」への視座を踏まえてー、Human Welfare, 12:87-102,2020年 (これは、雑誌、「精神科治療学」2023年1月号で、林紀行氏が注9)で紹介している。(p15) )

 第1世代マインドフルネスを克服する第2世代マインドフルネスの特徴は、3つあるという。それらを見終わった。こういう特徴をもった第2世代マインドフルネスの萌芽が見られるという。 続いて、「今後の課題」を見ている。

 池埜内田論文は、今後の課題として、次の点を指摘している。(p98)

1) マインドフルネスという言葉に多様な概念が詰め込まれようとしている危うさ

2) エネルギーに満ち溢れた「器」に多数の柵を作り区分けすることの是非 たとえば、マインドフルネスは、satiの訳語を超えて、生き方、ウェルビーイングの意味、そして社会正義のあり方などを包含する動きがあるのだが。 この器に柵を作り区分けしていくことは、新たな苦悩を脇に追いやってしまう危うさ

 そこで、次の点を展望ないし期待している。(p98-99)

A) マインドフルネスの概念拡張を見守る
B) 国内で第2世代マインドフルネスに関わる議論や実践報告の活性化の期待
C) 深遠な禅文化に根ざした日本おいて独自のマインドフルネスがすでに日本各地で進行している可能性
D) アメリカでの第2世代マインドフルネスを日本でも展開していく可能性
E) マインドフルネスの指導者育成
 国際マインドフルネス指導者協会(International Mindfulness Teachers Association : IMTA)に認証される指導者養成プログラムが日本に発足することを期待

見捨てられている重大な日本の社会問題
〜C) 非二元論の哲学でない

 池埜内田論文にないものの一つが「非二元論」がまだ今後の課題にあげられていないことです。 日本こそ、貢献できるはずなのに。

 「精神科治療学」(2023年1月号)で、指摘されました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5283
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5284
★佐久間健一、佐久間伸子の両氏

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5288
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5290
★佐渡充洋氏

 ジョン・カバットジン氏は、一生かけて探求する「全体性」をいうのですが、これは大乗仏教がいう非二元論の基礎となるはずです。

  幸福論の哲学でも、竹村牧男氏が指摘してきたものでしょう。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5331
★実存的苦悩の解決はこれです。非二元論です。
 MBSR、MBCT、ACTは、二元論です。「死」の問題の解決にはなりません。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5313
 大震災がまたまた起こりました。大切な家族を失った人が多く、その苦しみ、悲しみは、実存的な苦悩です。何かをするという実践的な苦悩ではありません。
 うつ病になる人も多くて、自殺のリスクもかかえてしまうひとがあらわれるおそれがあります。
 大震災の被災地には、最も深刻な長く実存的な苦悩が続きます。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5338
★孤独孤立対策のところにも、実存的な苦しみがあります。
 不登校、引きこもり、自己存在の意味に苦しみ、うつを深めるひとがおられます。
 うつ病や不安症、双極症などになると、長く完治しない人が孤立し、孤独感で、苦しみが続きます。自殺もおこります。
 双極症は、抗うつ薬は有効ではなく、本当は、うつ病の早い時期に薬物療法ではなくて、心理療法で治すことができれば、双極症を発症しないかもしれません。
 がん闘病中の患者さんも家族も「死」の不安をかかえます。
 https://blog.canpan.info/jitou/archive/3038
 ★がんの人は抑うつになる割合が高いという研究
  癌患者の3人に1人は不安障害などの精神的な健康問題を抱えて いる

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5329
 日本は、毎年2万人ものひとが自殺しておられます。だからこそ、SDGs 3.4がターゲットとしてあり、自殺の減少に取り組むべきです。薬物療法だけでは、治らない患者さんが3〜4割と言われます。この領域も「死」の問題があります。

 日本は、精神社会問題が充満しています。マインドフルネスも欧米でいつになるのかわからない、うつ病などを治療するマインドフルネスを早く開発すべきなのです。 アメリカで開発されるマインドフルネスを待つのではなくて、日本が独自のものを開発すべきです。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5312

 臨床の現場におられる医師や心理士でないと、うつ病や「死」の苦しみを実感できず、新しい心理療法の開発に真剣に生きがいにするひとはおられないでしょう。
 新しい心理療法の研究開発は、論文にもなりません。大学などの研究者からは、上記の問題への提言は見られず、現在専門にしているテーマの研究と学生の教育で一杯のようです。
 多くの専門家から、無視傍観、見て見ぬふりのような様相を呈していると感じるのは私だけではないはずです。多くのひとが苦しんでおられます。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4719
★うつ病が治らず自殺されていく。薬物療法で治らないうつ病を治す方法を真剣に研究するひとはいない

 政府、自治体は新しい事業を開始していただきたいと切に思います。さもないと、多くの人が苦しみつづけます。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5312
【目次】マインドフルネスは、第1世代から第2世代へ  〜 孤独孤立の対策・自殺防止対策  〜 大震災からのうつ病、自殺の予防に  〜 至誠・社会創造・平等・無差別・無闘争・共生
Posted by MF総研/大田 at 18:10 | 新しい心理療法 | この記事のURL