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(3)精神医学から見た「幸福」 [2024年02月01日(Thu)]
◆大地震の被災地でもマインドフルネス心理療法SIMTを
 〜 長期にわたってうつ病、PTSD、睡眠障害のおそれ

◆マインドフルネスは第2世代へ
◆マインドフルネスは日本の非二元論へ

書籍紹介
『幸福をめぐる哲学 者たちの大冒険!15の試論』
(3)精神医学から見た「幸福」

 五十嵐沙千子編『幸福をめぐる哲学 者たちの大冒険!15の試論』春秋社、2024年1月20日発行

https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393341247.html
春秋社のホームページから「目次」を見ることができる。

 西洋、東洋の哲学者による「幸福論」を紹介しているが、精神医学の対象になる人は、精神疾患やひきこもり、ケアされるべき人々は「幸福」をおびやかされるだろうから、斎藤環氏が「精神医学から見た「幸福」について紹介しているのを見てみよう。

第1章 精神医学から見た「幸福」
 ポジティブ心理学と「死」の哲学

 幸福に関するキーワードは6つあるという。

 「私はかつて幸福に関する数々の箴言を分類し、そこから6つのキーワードを抽出したことがある(『人間にとって健康とは何か』PHP新書)。それは「@意味と目的」「A関係性と利他性」「B平凡性と反快楽」「C過程性」「Dいまここ・あるがままの肯定」「E抹消性」である。」(同書、p11)

 Aについては「利他的行動としては、隣人に始まり隣人に終わる範囲にとどめておくほうが無難なのかもしれない。」(p12)といい、身近な人のために働くことでよい。

 Cは「幸福を「過程」のなかにこそ宿るものと見なす考え方である。」(p12)

 Eは「簡単にいえば「幸福のふりをしていれば、幸福になれる」というほどの意味である。」(p14)

  もう一つ「幸福の資質」があるという。「訓練によって得られる境地」(p14)だという。
  「幸福は「すべてが奇跡であるかのように生き、その過程がことごとく必然だったと思えること」から生まれる、ということになる。奇跡は感謝につながるし、必然は自己肯定感をもたらす。「資質」と書いたが、訓練によって得られる境地とも思えるので記しておく。」(P14)
 この訓練は、マインドフルネス心理療法SIMTの訓練でもできそうである。

 「「どうすれば幸福になれるのか」を目指そうとする学問がある。「ポジティブ心理学」がそれだ。(中略)
「ポジティブ心理学」は量的研究に基づくエビデンスが裏付けとなっている。まさに「幸福の科学」である。」(p15)

 こういうことを聞くと、別に検討してきたアメリカに起きている第2世代のマインドフルネスは、どういう方向を目指しているのか、まだ合意が得られていないようであり、むしろ、 「マインドフルネス心理療法SIMT」は、「ポジティブ心理学」に近いと思えてきた。

 「ポジティブ心理学」で、「幸福の条件」がわかってぃるという。その中からいくつか挙げる。

 「幸福に関連する人間性として、以下の特徴が重要だった。人に対する信頼感、感情の安定、コントロール意識、コントロール欲求、忍耐力、緊張しにくさ、自尊心、神経症的傾向の少なさ、社交性、同調性など。」(p15)

 「以下のことがらは幸福度を上昇さえることがわかっている。
 社会的なつながりがあること、結婚していること、情熱を傾ける仕事があること、宗教やスピリチュアリテイ、趣味、良い睡眠と運動、社会階級、主観的な健康。」(p15)

 これを見ると、SIMTは、ポジティブ心理学に大変類似していることに驚いた。というよりも、SIMTは後期西田哲学の実践を指針とするから、当然かもしれない。「至誠」を方針として、共生社会を実現する生活法であるから。

 ポジティブ心理学のセリグマンは、「ポジティブ心理学のテーマを、たんなる「幸福度」ではなく「ウェルビーイング」であると考えるようになった。(中略)
測定可能な五つの要素、「PERMA」としてまとめられている。」(P16)

 「共生」ということを、鈴木大拙が華厳経や禅にもあるというが、SIMTもそれを目指すが、ポジティブ心理学に似たところがある。別な機会に述べたい。

 世界は無数の人間が自由に行動して変化させるので、予測ができない「必然」と受け止め、 たとえ不快であろうとも、自分の選択した価値を実現するような行為を選択していく、その時、他者も世界を共生していく存在であることを認めて自己も他者も苦しめない「至誠」を指針として生きていく。これが西田哲学を背景にしたSIMTであるから、ポジティブ心理学と類似している。 そして、すべてが、自己のものでなくて超越の自己否定態とみるところは、ポジティブ心理学の「宗教やスピリチュアリテイ」に類似したところがある。

(注)
SIMT:自己洞察瞑想療法。第2世代のマインドフルネス。3つの著書がある。
1)大田健次郎『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社
 (超越=非二元論的マインドフルネス=宗教レベル)
2)大田健次郎『 不安、ストレスが消える心の鍛え方――マインドフルネス入門』清流出版
3)大田健次郎『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4500
【目次】西洋哲学の瞑想・観想〜「マインドフルネス瞑想の哲学」

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4478
【目次】哲学、宗教、仏教学、心理学、医学、脳神経科学、精神療法、マインドフルネス、マインドフルネス学、留まることのない哲学に導かれるマインドフルネス実践

 西田哲学の西田幾多郎は、いかにいきるかというテーマでは、認識論(対象的な世界の見方)、 実践論(行動、生き方)、実在論(自己とは何か)が哲学のテーマになるといった。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3346
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3391
★実在論、認識論、実践論の探求の学問

【書籍紹介】
『幸福をめぐる哲学 者たちの大冒険!15の試論』
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5331
Posted by MF総研/大田 at 18:11 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL