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衝動的な反応を抑制するSIMTで双極症が軽減する可能性 [2023年08月25日(Fri)]

双極性障害(双極症)には、第4世代の認知行動療法SIMTを

 〜 衝動的な反応を抑制するSIMTで双極症が軽減する可能性

双極性障害(双極症)は、抑うつエピソードと軽躁エピソードを繰りかえして、大変につらい病気です。 長引くひとが多く、死亡率も一般人に比べて高いという研究報告がありました。これでは、真剣に支援対策を構築すべきです。

また、日本うつ病学会のガイドラインにあるように、薬物療法だけではなくて、精神療法による心理社会的な支援が双極症の症状の 安定に効果的とされます。しかし、ガイドラインにも記されているように、 日本では、それを支援する専門家が極めて少なく、利用できる患者さんは限られています。 ガイドラインや加藤氏の著書を検討した結果、マインドフルネス心理療法SIMTも、双極症の軽症化に貢献できると 確信しました。そこで、SIMTによる双極症の軽減についての試験的な活用を開始しています。

 非定型うつ病には、過食、過眠、鉛様麻痺感がありますが、これは、SIMTで完治することは確認されました。双極症の抑うつエピソードで、似た症状があります。だから、双極症も抑うつエピソードは軽減する可能性があります。完治までするかどうかが、これからの試験です。

双極性障害(双極症)は視床室傍核の過剰興奮かもしれません(加藤氏)。室傍核は、側坐核に投射して報酬に関連する行動を選択することに関連しています。また、扁桃体に 投射して、陰性の感情を大きくします。双極性障害の躁エピソードは側坐核に関係するでしょう。

☆ 脳科学辞典で、こう述べています。「ドーパミンの作用・・・。報酬を得られたらその行動を学習し、報酬を得られなかったら柔軟性を発揮して別の行動を選択する。この相反する行動決定の切り替えのメカニズムの少なくとも一部に、側坐核における、、、ドーパミンの作用のバランスが関与している。」

☆ 室傍核が過剰に興奮すると、このバランス崩れて短期的な目的の行動を思いつくまま促進(つまり、長期的な価値を考慮することなく)してしまう。こうではないでしょうか。これまでは双極症の人のSIMT実践は効果が不明として、受け付けませんでした。 SIMTは「宗教」ではなくて、「精神療法」ですから、効果が確認されることしか支援できません。

しかし、これから、1,2年、試験します。まだ、効果不明ですが、理論的には軽減の可能性があるということでよければ実践していただきます。1―2年ほど。マインドフルネス心理療法SIMTは、目的への行動は、長期的な価値(人間関係、仕事など)を崩壊させない行動を選択する生活実践を繰り返してもらいます。これで、抑うつエピソードも躁エピソードの期間も短くなるとか、起きなくなる(抑うつでもなく躁でもない期間が持続)ことを期待する。

こういう仮説で、何人か試験的に実践していただきます。効果があれば、公表させていただきます。(現在のところ、効果不明としてマインドフルネスのカウンセラーは引き受けていないはずです)

(続)
    【参考】
    ★日本うつ病学会診療ガイドライン  双極性障害(双極症)2023) 第5章
    ★林(高木朗子)・加藤忠史編著『「心の病」の脳科学』講談社 
    ★大田健次郎『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
    ★SIMT=マインドフルネス自己洞察瞑想療法。Self Insight Meditation Therapy(SIMT)
改善事例
http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/kikansi/hp-07/44-satou-all.pdf

http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/kikansi/hp-07/ohta6-kaizenrei.pdf
 非定型うつ病も(p49〜)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5197
【目次ー双極性障害(双極症)に、マインドフルネス自己洞察瞑想療法SIMT

Posted by MF総研/大田 at 07:07 | 双極性障害(双極症) | この記事のURL