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本来、宗教とは何か(2) [2022年11月03日(Thu)]

本来、宗教とは何か(2)

 本来、宗教とはどういうものであるのか、学問としての宗教学ではどう定義しているのか。

宗教の課題(1)救済 〜 その2

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2588
★救済ということ

 宗教哲学者の量義治氏は宗教には、5つの課題があるといいます。「苦悩からの救済」が宗教であることの課題の一つです。

 宗教の課題は、現実に苦しむ人を救うことでしょう。四苦八苦というように、種々の苦があります。つい最近、三浦綾子を読みました。13年もの長い年月、治るかどうかわからない病気になっていたのを救っていたのは、キリスト教でした。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5048
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5049
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5067

 治るかどうか わからないような病気になる苦痛をキリスト教でささえてくれたひとがいて、彼女は自殺しなかったといえます。現在でも、がんになって自殺する人もいます。 こういう病気であることの苦、死の不安、などの心理的苦悩を救うことができる宗教があります。 がんのような病気が治るというのではなくて、がんであることの心理的苦痛の救済です。うつ病の場合は、一部、治りますが。
 うつ病というのは、今では「病気」とされていますが、昔は、うつ病を引き起こす天災の苦、病気の苦、愛する人に先立たれた苦、生活苦、いじめられての苦などが、現実の苦であり、これらも昔は(大乗仏教)、仏教によって救済されていた可能性があります。仏教に似た、自己洞察瞑想療法でうつ病の「死にたくなる」苦悩が治るからです。

 大乗仏教は、元来、「利他」を重視していました。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3930

 中村元氏も、利他のないのは仏教ではないと言っています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2555

 こうしたことから、大乗仏教は、現実に人々の苦悩を救済していたものと思われます。大乗仏教は、苦悩からの救済、という重要な課題を遂行していたのです。
 大乗仏教は、実践は六波羅蜜とされて、苦を克服する智慧や瞑想のような実践が含まれていますから、現実に上記のような心理的苦悩を救っていたはずです。

 「宗教」の本質は、苦からの救済、利他が重要であるということは、大乗仏教は「苦からの救済」が含まれていたとして、宗教の本質を満たしていたといえるでしょう。

 ところが、現代の仏教は、檀家信者の苦の救済は、実践に弱いと指摘されています。だから、現代、苦悩する人は、仏教に期待しないのでしょう。

 しかし、マインドフルネスのいくつかの流派の実践は、現実に苦悩を救済しているので、これにならって、仏教の各宗派が、実践方法を開発すれば、現代人の現実の苦悩を救済できる可能性があります。

自己洞察瞑想療法SIMTは宗教ではなくて科学的な言葉による心理療法

 自己洞察瞑想療法・SIMTは、宗教(科学的に真実であるかどうかわからないものが含まれている)であることをやめて、西田哲学や神経生理学、社会心理学などを参照して、これら科学学問の知見、言葉を用いて実践する心理慮法(真実かどうかわからないことを含む宗教ではなくて)としました。

 宗教の本質は、現実の苦悩(心理的)を救済することが含まれるといってよいのでしょう。 ただし、カルトの場合、一つの苦悩は解決できたとしても、人道的な人権が侵害されていて、苦悩があれば、「宗教」といえるのかどうか、疑わしいでしょう。


(P )は「宗教哲学入門」量義治、講談社学術文庫,2008

大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
 (これが、通常のうつ病、不安症などを改善するマインドフルネスSIMT)

大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社
 (これが、がん患者の死の不安とか、人格否定の苦とか、宗教的苦悩などを乗り越えるためのマインドフルネスSIMT)

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 今年こそマインドフルネスSIMTで実現を
Posted by MF総研/大田 at 21:03 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL