(3)人生価値の確認、想起 [2022年09月23日(Fri)]
マインドフルネス心理療法、SIMTとは
(3)人生価値の確認、想起
人生には多くの出来事があります。つらいことをも何度も起こります。そういうなかで、生きていくためには、人生価値の確認、想起が大切です。生きがいを感じて、幸福だと感じるのは、その人生価値を維持できる場合だからです。
人生価値の確認、想起
自分が人生を通して継続して大切にしたいことを人生の価値といいます。心身の健康の維持、平和な家庭生活の持続、職業生活を持続させること等が多くの人に共通の価値です。自己中心的な本音で、自分と他者の苦しみを引き起こすような発言や行動をしないで、お互いが納得できるような言葉や行為を選択するのが、賢明な価値実現の反応です。そういうわけで、次のような反応の仕方を繰り返し実践します。
なお、職業だけが価値ではありません。家庭にいて家族のために働くのも重要な価値です。
「今」という瞬間は、すごい速さで移り変わっていきます。人は、複数の価値をもっていますが、一つの瞬間は一つの価値のためにしか行為できません。
複数の価値を持っていることを確認します。そして、時々刻々の瞬間にどれかの価値なのか判断して、思考・発語・行為を選択するトレーニング、執着せずに適切に価値を移動するトレーニングも自己洞察瞑想療法SIMTの中のトレーニングに含まれます。
価値の領域が違えば、評価の基準が変わります。評価の仕方も適切でないと自分や他者の価値を崩壊させます。
また、そういう職業とか家庭での仕事だけが価値ではありません。
こういうことは、他者に何かを提供する、行為をして喜ばれて、自分も喜びを得ます。当為価値といいます。
当為価値だけが人生価値ではありません。病気や事故、高齢により、
仕事ができなくなる、家族のためにも働くことができなくなることもあります。病気になったり、介護される状況になったりした人がそうでしょう。こういう人にも、態度価値、存在価値があります。フランクルが態度価値について、述べています。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2681
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2648
さらに西田哲学では存在価値があるといいます。(注:
大田健次郎2022著書で詳細に述べました)
家族が家族に対する愛による価値がそうです。家族は、家族が働けなくなっても、病気になっても、価値を認めます。何かをするからという当為価値ではありません。
さらにひとりぼっちの孤独な人であっても、愛してくれる人々がいます。人間としての生命を認めます。存在そのものを愛します。
家族のない人であっても、生きていることを愛します。自分自身が存在価値を認めます。
そして、宗教的なレベルの存在価値があります。すべてのひとが、自己、人間を超えたもの(超個)において包まれていて、生かそうとしていることを意識できることがあります。日本に昔からあります。日本の自己洞察は、そこまであります。
どんなに、つらいことがあっても、これらの価値を思い出して(想起して)、これを崩壊させないようにします。自分の見方、考え方、欲望、行為などが、価値を崩壊させないか、現在進行形で評価し、抑制し、価値実現かどうか評価します。後でも、述べます。
カルトは、家族の存在価値や個人の現在の当為価値よりも、組織の価値を優先させる恐ろしいところがあります。そこには、組織のトップ、幹部の利益を優先させるエゴイズムが働いているのです。そういうエゴイズムの心理を観察して抑制すべきなのですが、カルトの幹部はそういう誠実さを失っています。
自分の意識を瞑想時に無評価で観察するだけではなくて、思考し、行動時のエゴイズムの心理、欲望、行為が自分、自分の組織、他者の価値を崩壊させないかまでも観察して、共生社会を建設していくのが、西田哲学を基礎にした生き方ですが、おそらく、人類共通の生き方にしてもらいたいものです。そういうところには、他国の侵略、戦争もカルトもありえません。
みな、違う価値の世界を生きていきますが、みな互いに他者の価値世界を尊重します。金子みすゞが「みんな違ってみんないい」ということでしょう。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2376
★当為価値、存在価値
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2828
★フランクルの価値
(注)
大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社
(続く)
https://blog.canpan.info/jitou/archive/5042
【連続記事】マインドフルネス心理療法、SIMTとは
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Posted by
MF総研/大田
at 17:01
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SDGs
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