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(13)認知行動療法の学問研究も期待したが [2022年08月15日(Mon)]
【連続記事】専門家の倫理〜学者・医師・宗教者・マインドフルネス者

(13)認知行動療法の学問研究も期待したが

 マインドフルネスは、第3世代の認知行動療法とも言われて、期待もされました。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2109
★第3世代の認知行動療法

 うつ病を完治させて自殺の防止に貢献できるのではと期待しました。しかし、日本では、 「うつ病」の完治には、目立った貢献がありません。

 次の表は、2005年に、春木豊氏によって紹介された書籍の目次で、アメリカの種々のマインドフルネスの流派です。

http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/m&a/prf-01--p14.pdf

 これを見ると、うつ病に関するものが多いです。うつ病になると、仕事ができなくなるとか、自殺するとか、重大な症状があるから、治療法の開発は真剣です。
 しかも、薬物療法では完治しない患者がかなり多い(3−4割)ので、深刻です。

 あれから、17年も経過しました。アメリカでは、その後も、臨床的な研究が続いていました。2ケ月が標準であるMBCTでは、「完治」までは効果がないことがわかりました。うつ病は深刻であり、1年近くかかります。
 パーソナリティ障害の治療という、大変魅力ある弁証法的行動療法(DBT)(表の2章)が開発されました。これは、うつ病にも改善効果があるという発表もありましたが、 最近(2022年)、DBTの中核的手法であるマインドフルネスのスキル訓練では、自傷、自殺のリスクを高めるという研究報告が発表されました。すなわち、DBTは、重いうつ病に用いることは危険です。うつ病の大部分の患者に、「死にたい」という自殺念慮の症状があります。
 「改善」は「完治」とは限りません。うつ病は、大変深刻な病気であり、2か月ほど改善しても、何かの出来事でまた悪化することが多いです。 最近のうつ病の神経生理学の研究によれば、ストレス(心理的、過労など、ウイルス性もあるかもしれません)によって、免疫細胞から炎症性サイトカインが分泌されて、脳の種々の部位に炎症が起きているようです。これが、回復しないと「完治」にならないようです。
 私どものマインドフルネスSIMTによる支援経験によれば、症状の上下を繰り返して、完治までには、最低6カ月、できれば10ー12カ月、継続してみていないと、また悪化するおそれがあります。

 日本では、うつ病の完治のためのマインドフルネスは、ほとんど発表されません。 これも、日本で、自殺が減少しない理由の一つでしょう。薬物療法を何年も継続しても、QOL がよくないという研究も発表されました。日本では、MBSRのストレス低減、集中力の向上、そして、MBCTの再発予防法は盛んですが、「完治」させるマインドフルネスはほとんど受けることができません。

 このように、日本では、第三世代の認知行動療法は、うつ病の完治、自殺防止のためには、ほとんど貢献していません。「完治」の支援をするマインドフルネスを提供するところがありません。
 わづかに、マインドフルネスSIMTによる支援がみられるだけです。研究者からもメディアからも紹介されることもなく、うつ病の患者の目にふれることはありません。

 「マインドフルネス」は、第3世代の認知行動療法と期待されたのに、うつ病の治療法になれないのは、いくつかの理由があるでしょう。

1,無評価観察の瞑想であるから。
2,哲学、理論がないから
3,無評価で観察だけになっているから。MBSRは7つの態度で観察するのに。
4,うつ病の実際とは、哲学が違うものがあること。
    たとえば、ACT,アクセプタンス・コミットメント・セラピー。ACTは症状の緩和はめざさないが、うつ病は治る病気であり症状が苦しいので、症状の改善をめざすので、治りたい意思を強く持つひとは治るようである。 また、思考の抑制のパラドックスをいうが、ACTは短期であるからである。うつ病は長期的に現在の目的方向には無用な思考全般を抑制したり、思考に気づいた時、価値ある行動への注意転換など心的スキルを向上させることでストレス反応が変わり症状を改善することを目指すことができる。うつ病は、1年近くかかる重い症状がある。重い病気の標準治療期間がわかって支援すれば、依存にはならない。症状が軽くなれば、クライアントは自己への信頼が高まり自立できるものである。 さらに、文脈としての自己よりも深い自己の哲学でないと支援できない問題がある。
5,アメリカのひとが、東洋哲学を尊重しているというのに、日本では研究しないから。
6,マインドフルネスSIMTでも、1回90分ほどかけたいが、健康保険の対象にできないから。 医師の経営がなりたたないから、医師はできない。
7,精神療法、心理療法が重視されず、心理職による支援は、健康保険の対象とならず、これを生業にできないから。


 専門でない私ども、ちっぽけなNPOの意見では、耳を傾けてくれません。「SIMTなど多くのひとが必要としないから、無用だ」という大学人もいました。彼の人生にはうつ病のことは眼中にないのでしょう。うつ病のことを「見て見ぬふり」、無視傍観する専門家が多いです。
 マインドフルネスの研究者は、国や大学に提言できる地位、権力を持つはずですから、真剣に研究すべきです。うつ病で苦しみ続け、自殺していくひとを無くすために。
 今の研究者は、従来のことで忙しいのであれば、「これではよくない」という若手の研究者に真剣に開始していただきたいのです。毎年2万人も自殺があります。早く止めるために。
 始める若手の研究者がいないのでは、何かがおかしいです。

 日本で開発されたマインドフルネスSIMTは、「無評価で観察」「瞑想」だけではありません。 対話、行動の現場での意識の観察が重視されます。うつ病、パニック症、PTSDなどの「完治」が見られます。完成とはいえませんが、臨床を重ねて改良してほしいです。開発者は、老齢により引退がまじかです。若手の研究者が、「社会のために」「苦しむ患者のために」研究を開始していただきたい。
 「マインドフルネス」も現在の定義を超えたものを社会のために研究していく学問を検討してほしいです。集中力やストレス緩和などとは、かなりめざすところが違うので、うつ病などの治療法を研究する新しい認知行動療法の学会も。

【参考記事】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2736
★患者の利益に立つ医療

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2320
★セラピスト・カウンセラーを育成する人には哲学が必要になる

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3551
★マインドフルネスを説く人(マインドフルネスの専門家らしく見える人)が  己のエゴイズムの心を観察しない
この記事は、次の記事の一部です。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/5018
【連続記事】専門家の倫理〜学者・医師・宗教者・マインドフルネス者
Posted by MF総研/大田 at 19:37 | エゴイズム | この記事のURL