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(4)観察の範囲の違いーハラスメントする心理・エゴイズムの心理 [2022年07月01日(Fri)]
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マインドフルネス心理療法SIMTの特徴
(4)観察の範囲の違い
    ーハラスメントする心理・エゴイズムの心理

 自己の種々の意識現象を観察することによって、自分の苦悩を解決しようというところが仏教であるが、時代が変わるにつれて、苦の内容も変化しました。それを解決する精神療法に似て、当然、その時代の苦を解決しようとしました。 だから、観察の内容も変化していきました。たとえば、エゴイズムの心理の観察をするかどうかの違いを検討しましょう。

 マインドフルネス心理療法SIMTは、感情を引き起こす自分の独自の評価基準を観察します。好き(強くなると「執着」)、嫌いがあります。評価基準が、各人ちがっています。
 仏教ならば、禅が嫌い、禅が好き、悟りをいう臨済禅が嫌い、悟りを言わない曹洞禅が好き、嫌い、密教が嫌い、好き、などあります。
 マインドフルネスも、無評価で観察のマインドフルネスが好き、いや、嫌いだ、とあります。
 学校に行くべきだ、いや、行かなくてもいい、マスクをすべきだ、いやしなくていい、ワクチンを打つべきだ、いや、打たなくていい、個人によって違います。

 ロシアの行動には、反対だ、賛成だ、あるでしょう。

 見たもの、考えたことが、個人の基準に違うと、不愉快な感情を起こします。 その感情が起きたとき、どう反応するかによって、人間関係が悪化したり、うつ病になったりします。
 自分の勝手な欲求(好き、執着)によって、他者にハラスメント、いじめ、差別、排除、暴力などで苦しめます。他国を 侵略して、苦しめることもあります。

 自分が、つらく感じる「感情」、他者をつらくさせる感情を観察することは、無評価で観察するマインドフルネスでは、ただ、感情をそのままにしているだけでしょう。対人場面ではなくて、瞑想時だから、すぐに対処行動をしなくてすみます。それでは、深い問題は解決しません。MBSRもMBCTも、うつ病を治す効果はないことが知られています。

 観察、マインドフルネスには、感情の背後にあるエゴイズムの心理を観察するものとしないものがあります。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3605
★マインドフルネス心理療法SIMTは、自覚することの少ない「本音」を観察します。
    (注)大乗仏教では「煩悩」といい、西田哲学では「独断偏見」というのに似ています。他者から意識される「エゴイズム」に類似します。うつ病などになる本人には「エゴイズム」という用語ではふさわしくないし。「煩悩」では苦悩する人に、この用語は難しく、宗教用語は使いたくないので、心理a療法としてなじみやすく、使いやすい用語として「本音」と呼ぶことにしました。また、日本では、「宗教」とみなされると、公的場所を利用できませんので。「宗教」が日本では、尊重されていません。公的場所では「ふさわしくない」と「評価」されているのですね。幸い、マインドフルネスSIMTは、「公的場所ですから、利用できません」と断られることはなくなりました。どうして、日本では、宗教が尊重されないのでしょうね。

    https://blog.canpan.info/jitou/archive/4136
    ★「本音」を英語ではどういうでしょうか。アメリカにはない概念でしょう。アメリカの学生に、日本のマインドフルネス心理療法として説明しました。通訳の方が、適切に訳してくださいました。「煩悩」の和訳(passions?)はつかわれませんでした。
    http://mindful-therapy.sakura.ne.jp/english/japanese-mindfulness.htm
 人は、自分の仕事の専門家になり、権力(人事権、評価する上司、政治家、宗教者、大学教員、院長も)を持つと、他者を苦しめる行為をするものがいます。権力を持つ者に迎合、忖度する者も同じです。独断偏見の気づき抑制を、西田哲学では重視します。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/2228
★専門家のエゴイズム  無意識的に、あるいは、意図的に、好き嫌いの基準、独断、偏見を持つものであるから、これを「本音」といいます。幅広い概念です。宗教者、政治家、学者の独自の解釈もそれに執着すると「本音」です。SIMTでは本音を観察します。

 道元禅も、独断偏見を観察します。次で説明しています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3251

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3277

 瞑想や坐禅でない時に、不快な感情が起こります。そこにある独自の好き嫌いの基準に気づき、言葉や行為を抑制しないと、他者を傷つけるが、自分も批判されて苦しめられます。
 このように、家庭や職場のようなところでは、独断、本音に気づくことで、衝動的、独断的な発言や行為を抑制できるようになります。

 自己、他者を苦しめる言葉、行為は、瞑想でない 時に、起こります。従って、家族の対面時、職場での行動時、インターネットでの言葉、映像の受け取り、発信時のエゴイズムの心理の観察、その影響の評価、抑制するかしないかの判断のあるマインドフルネスと、それがない「瞑想時」だけの、観察では、圧倒的な違いが予想されます。

 最近、無評価で観察のマインドフルネスの限界が報告されています。
 一方、行動時の評価現場でのマインドフルネス心理療法SIMTは、まだ、臨床試験をしてくださるところがない(マインドフルネスの専門家からSIMTはつまらないと「評価」されているのでしょう、まさに「評価」です)ために、限界が確認されていません。効果は、ある程度、報告されています。難治性のうつ病、パニック症などに寛解でなく完治の効果がみられます。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4988
★SIMTによる効果

【専門家のエゴイズムに関する記事】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/3611

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4100

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3589

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3669

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3853

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3928

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4413

https://blog.canpan.info/jitou/archive/4052

(続く)

(注)マインドフルネス心理療法SIMTとは
 自己洞察瞑想療法のこと。日本で開発された深い観察。
大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
大田健次郎(2014)『 不安、ストレスが消える心の鍛え方――マインドフルネス入門』清流出版
大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

【第4世代の認知行動療法】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4236
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4947

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【目次ー自殺対策〜心理職に期待】
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【22〜2?】マインドフルネス心理療法SIMTの特徴
【22】(1)観察の範囲の違いー生活場面・時の違い
【23】(2)観察の方法の違い
        ー無評価だけ、さらに6つの態度、本音・価値
【24】(3)観察の範囲の違いー自己の深さの違い
        ー自己とは何かという存在論の哲学
【25】(4)観察の範囲の違い
         ーハラスメントする心理・エゴイズムの心理
【26】(5)観察の範囲、説明のしかたの違い〜禅との違い
【27】医療従事者の自殺が多い
  ハラスメントがうつ病に追い込み自殺もあることを最も知るべき医師が!!

(以下続く)
Posted by MF総研/大田 at 19:30 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL