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(3)観察の範囲の違いー自己の深さの違いー自己とは何かという存在論の哲学 [2022年06月30日(Thu)]
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マインドフルネス心理療法SIMTの特徴 (3)観察の範囲の違いー自己の深さの違いー自己とは何かという存在論の哲学

 マインドフルネスには、種々の流派があります。仏教が苦の解決、自分とは何かという探求をするものであったために、時代、環境、思想、科学の発展などの変化によって、仏教も種々の宗派に分かれています。同様に、「マインドフルネス」も問題を解決したい、自己存在とは何かの探求をしたいという要求によって、多くの流派があります。 世界は、各人の夢を実現していくものですので、各人が違う価値を求めます。学問、医療、芸術、教育、ビジネス、・・・。
 世界観、人間観の見方の違いも観察されました。ここでは、「マインドフルネス」の「自己」とは何かの哲学の違いを見ておきます。

 西田哲学によれば、自己は図のように深くなっていきます。

知的自己から人格的自己まで.jpg

 無評価で観察のマインドフルネスは、自己については何も探求しません。 MBSRにもありません。

 アクセプタンス・コミットメント・セラピー(ACT)には、3つの自己を観察するといいます。最も深い「文脈としての自己」は、西田哲学の階層でいえば、叡智的自己の一番浅いところに該当すると解釈されます。
https://blog.canpan.info/jitou/archive/2080
★ACTにおける自己の階層

 弁証法的行動療法にも、自己の哲学があります。

 賢明な自己が深いといいます。

 西田哲学でいう人格的自己なのかどうかわかりません。

 SIMTは、後期西田哲学の生活実践化ですので、西田哲学によります。最も深い自己が人格的自己です。これは、中国禅の「十牛図」でいえば、最も深い段階の「第十」です。道元も、ここを言います。日本の禅も深いのですが、宗教者の独特の言葉の使いかたがされた文献ですので、現代人にはわかりにくいです。西田哲学が論理的に説明しました。深い深刻な苦悩は、深い自己にかかわります。古代の思想、哲学による自己観で、現代人が納得して、真剣に実践するか考えたいものです。
 西田哲学は、図のように深まるとします。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3914
★叡智的自己です。
  内在の世界、世界の中に自分の生きがい(価値)を見つけて、それの実現維持に一生を捧げる自己。人はみな、違う叡智的世界を生きています。時に、それができる自分に執着してうぬぼれて、自分の価値を死守しようとするエゴイズムの行為をするひとがいます。異論の排除、殺戮、左遷、ハラスメント、差別、・・・。学問も争います。学問的な議論批評をすればいいのに、そして、受益者がちがうので共生すればいいのに、議論もせずに、異説、少数説を権力により排除します。
 叡智的自己は、執着する「自己」が残っています。「十牛図」でいえば、第7「忘牛存人」です。対象的に見る価値に執着なくても「人」つまり、「自分」が残っています。自己があるので、その自分の「死」の問題が残ります。「がん患者の死の問題」は、この階層の自己では解決しません。西田哲学は、第8以降は、宗教的であるといいますが、そこまで支援する宗教者を見つけることが難しい状況になっています。

https://blog.canpan.info/jitou/archive/3029
★人格的自己です。
 固定した自己はなかった、根底に自己を超えたもの(超越)がはたらいていることを知ります。叡智的自己、自分は、超越が超越自身を否定した影(脱落現成、超越即内在などと言われる)であったと自覚する段階です。最も深い大乗仏教、最も深い禅、最も深い自己の哲学は、ここまであると西田哲学は、教えています。自己の心を観察(=マインドフルネス)して、こうした、浅い自己から深い自己までの探求があります。

 自己の哲学は、精神療法にすれば、種々の問題に貢献できる可能性があるのに、学問的な検討が深まっていません。自己の意識を観察する「マインドフルネス」が科学学問とされたので、いい機会なのです。
 しかし、学者もまた、叡智的自己であるために、自分の解釈、学説、意見、それによる技術手法などで地位、名誉、収入、そして、生きがいを得ているので、自分のものを死守しようとすると、異説、少数説、革新説と学問的な論争をすることを避けるようなことをすると、国民、社会の利益を害します。
 こういう傾向のために、浅い療法、手法などに閉じ込めて、救える命も救えない状況も起きているでしょう。治せる精神疾患も治らないところに留めてしまうことも起きるでしょう。スキル、知識の未熟な支援者ならば、悪意はなくても、クライアント、支援される人の自立、回復を妨げるでしょう。
 マインドフルネスは、発展途上です。学問的な議論を重ねて、世界の問題のゴールに近づけるように、どこまでも学問的な検討を続けるべきでしょう。

(続く)

(注)マインドフルネス心理療法SIMTとは
 自己洞察瞑想療法のこと。日本で開発された深い観察。
大田健次郎(2013)『うつ・不安障害を治すマインドフルネス』佼成出版社
大田健次郎(2014)『 不安、ストレスが消える心の鍛え方――マインドフルネス入門』清流出版
大田健次郎(2022)『「死」と向き合うためのマインドフルネス実践』佼成出版社

【第4世代の認知行動療法】
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4236
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4887
https://blog.canpan.info/jitou/archive/4947

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【22】(1)観察の範囲の違いー生活場面・時の違い
【23】(2)観察の方法の違い
        ー無評価だけ、さらに6つの態度、本音・価値
【24】(3)観察の範囲の違いー自己の深さの違い
        ー自己とは何かという存在論の哲学
【25】(4)観察の範囲の違い
         ーハラスメントする心理・エゴイズムの心理
【26】(5)観察の範囲、説明のしかたの違い〜禅との違い

【27】医療従事者の自殺が多い
  ハラスメントがうつ病に追い込み自殺もあることを最も知るべき医師が!!

(以下続く)
Posted by MF総研/大田 at 07:37 | さまざまなマインドフルネス | この記事のURL